アンケートにみる診断士の実像

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第2章 データでみる診断士6年間の変化

小野 史人・神奈川県支部

 本アンケート調査は、おおよそ5年ごとに実施されている。この5月、中小企業診断協会から2011年の調査結果が公開されたのを受け、本章では、前回調査(2005年実施)に共通の質問とその結果に着目し、ここ6年間での診断士の属性や意識、活動の変化を明らかにしてみたい。

 なお、2011年、2005年ともアンケート各質問に対する回答「無回答」は除いて分析・比較を行った。

2.意識の変化

(1)資格取得の動機

 この6年間で、資格取得の動機にも変化があった。

自己啓発目的と独立目的の差が縮小

 2011年は2005年と比較して、「1.中小企業の経営診断・支援に従事したいと思ったから」、「2.経営コンサルタントとして独立したいと思ったから」の割合が各々0.9ポイントずつ増加した。これは、「プロコンとして中小企業支援に携わる」ことにやりがいを感じ、志を持って診断士資格取得を目指したと言えるのではないだろうか。これもたしかに仮説の1つであるが、先の「プロコンの世界へ飛び込んだ診断士が増加」という仮説とも整合性がとれている。

診断士資格は転職にプラスに働かない?

 転職活動に対する期待にも変化があった。2011年は3.8ポイントに対して、2005年は4.9ポイントで1.1ポイント減少した。これは決して、「診断士資格が転職活動に有利には働かない」ということではないだろう。その根拠としては、2点考えられる。1点目は、「転職目的の資格取得ではなく、独立目的の資格取得が増加したから」である。この点については、前記でも触れている。2点目は、「転職就職等は、資格保有だけで決まるわけではないから」である。人の採用は、資格だけでは決まらない。資格に表れない経験や技能、キャラクター、コミュニケーションスキルなど、総合的に決定されることが多い。この点については、ご納得いただけるのではないだろうか。

根強い自己啓発

 6年前とほぼ同じ結果が表れているのが、自己啓発目的での資格取得である。「6.経営全般の勉強等自己啓発、スキルアップを図ることができるから」は、2011年は29.1ポイント、2005年は29.3ポイントでほぼ横ばいである。これは、多彩なスキルが求められる診断士ならではの結果であろう。

 総じて全体を俯瞰すると、プロコンが選ぶ可能性が高い選択肢1〜3の合計は、2011年は37.6ポイント、2005年は35.4ポイントで2.2ポイント増加、企業内診断士が選ぶ可能性が高い選択肢4〜6の合計は、2011年は45.4ポイント、2005年は47.2ポイントで1.8ポイント減少した。この点からも、わずかではあるが、初めからプロコンを目指して診断士資格にチャレンジし、現在プロコンとして活躍している人がこの5年間で増加したと言えるのではないだろうか。
 

(2)独立予定の有無〜企業内診断士の独立希望者は大幅増加

 この傾向を裏づける結果が、問12である。2011年は2005年と比較して、「1.1〜2年以内に独立したい」は3.1ポイント、「2.5年以内に独立したい」は1.0ポイント、「3.10年以内に独立したい」は6.4ポイントも増加した。診断士資格取得後も、企業内診断士として研究会やプロコン育成塾、マスターコースなどを通じてコンサルの腕を磨き、よいタイミングになったら独立したい―こんな思いを持つ企業内診断士は着実に増えている。独立するタイミングは、人それぞれであろう。資格取得後、すぐに独立して活躍できる場合もあれば、なかなか芽が出ない場合もある。もちろん、ご自身を含む家庭の事情もあるだろう(プロコンには家族の理解と協力は必須と思われる)。

 プロコンとして独立する最適なタイミングはやはり自分にしかわからないし、自分で決めなくてはいけないことである。