アンケートにみる診断士の実像

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第2章 データでみる診断士6年間の変化

小野 史人・神奈川県支部

 本アンケート調査は、おおよそ5年ごとに実施されている。この5月、中小企業診断協会から2011年の調査結果が公開されたのを受け、本章では、前回調査(2005年実施)に共通の質問とその結果に着目し、ここ6年間での診断士の属性や意識、活動の変化を明らかにしてみたい。

 なお、2011年、2005年ともアンケート各質問に対する回答「無回答」は除いて分析・比較を行った。

1.属性の変化

(1)年齢について〜診断士は生涯現役

 年齢については、特筆するほど著しい変化はない。

 わずかな変化としては、2011年では2005年と比較して、20歳代で0.5ポイント、30歳代で1.3ポイント、40歳代で1.5ポイント減少している。一方、2011年では2005年と比較して、50歳代では0.4ポイント、60歳代で1.2ポイント、70歳代で1.7ポイント増加している。

 診断士業界全体の高齢化が進んだと断定するのは早計であるが、アンケート回答者の属性から推測すると、資格保有者の平均年齢が上がっている可能性はある。背景として考えられるのは、「診断士は生涯現役」といったことであろうか。

 診断士の仕事には、年齢に関係なく遂行できる業務も多い。また、実務経験の長さや多さ、深さが、コンサルティング・診断業務にプラスに働いているという要因も考えられる。
 

(2)職業について〜独立診断士は増加

 職業については大きな変化があったため、詳しくみていきたい。なお、分析するにあたり、「1.プロコン(他資格兼業なし)〜3.コンサルティング会社等勤務」を「プロコン」、「4.公務員〜8.民間企業(金融機関除く)」を「企業内診断士」と定義させていただいた。

 まず、2011年のプロコンの割合は44.8ポイント、2005年のプロコンの割合は38.0ポイントであることから、アンケート調査結果は「プロコンの割合が6.8ポイント増加した」ことを示している。目を転じて、企業内診断士の割合は2011年は49.4ポイント、2005年は54.4ポイントであることから、アンケート調査結果は「企業内診断士の割合が5.0ポイント減少した」ことを示している。

 さらに詳しくプロコン割合増加の内訳を確認したい。「1.プロコン(他資格兼業なし)〜2.プロコン(他資格兼業あり)」を「プロコン(独立)」、「3.コンサルティング会社等勤務」を「プロコン(コンサルファーム勤務)」と定義すると、プロコン(独立)の割合は2011年は40.6ポイント、2005年は34.1ポイントで、その差異は6.5ポイントである。たしかにプロコン(コンサルファーム勤務)も2011年は2005年に比べて0.3ポイント増加しているが、増加要因への寄与は低い。したがって大きな目で見れば、この5年間で企業内診断士からプロコンの世界へ飛び込んだ診断士が増加したと言えるのではないだろうか。

 次に、企業内診断士の割合減少についても詳しくみていきたい。

 2011年と2005年を比較すると、「7.金融機関」と「8.民間企業(金融機関除く)」は合計6.0ポイント減少している。これは、先の示唆「独立診断士の増加」と整合がとれている。

 一方、注目すべき結果がある。2011年と2005年を比較して、「4.公務員」は0.5ポイント、「5.公的機関・団体等」は0.2ポイント、「6.調査・研究機関」は0.3ポイント増加した。これは、この6年間で診断士資格が業務を遂行するうえで有用、または必要になったからであろうか。結論は出せないため、ひとまず、「1つの変化の可能性」にとどめておく。
 

(3)診断士以外の保有資格について〜社労士・行政書士は増加、情報処理技術者・ITコーディネータはほぼ横ばい

 診断士以外の保有資格についても変化があったため、詳しくみていきたい。なお下図は、2011年にのみ追加された選択肢「12.販売士」、「13.ファイナンシャルプランナー」、「14.その他」を除き、2005年調査結果と比較できるように再構成したものである。

 診断士資格だけ保有している人の割合は、2011年は40.8ポイント、2005年は43.9ポイントで3.1ポイント減少した。一方で、「6.行政書士」は2011年は7.9ポイント、2005年は5.0ポイントで2.9ポイント増加、「8.社会保険労務士」は2011年は13.1ポイント、2005年は10.7ポイントで2.4ポイント増加している。

 総数としては、「12.情報処理技術者」、「13.ITコーディネータ」といったIT系資格の保有割合は、前回も今回も一番大きいと推測される。加えて、行政書士や社会保険労務士といった診断士以外の資格も保有し、Wライセンスで事業展開を図ろうとする診断士(おそらくプロコン)が増加していると言えるのではないだろうか。背景として考えられるのは、やはり先に挙げた「独立診断士の増加」が考えられよう。そして、独立診断士間の競争が激化し、他の診断士と差別化を図ったための変化と考えることはできないだろうか。「コンサルティング・診断」といった無形のサービスを提供している私たちにとって、クライアントに自身の専門性や業務品質を訴求する手段として、資格はたしかにわかりやすい。