アンケートにみる診断士の実像

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第1章 診断士に関する4つの不明を明らかにする

大石 幸紀・東京支部城東支会

4.独立後の年収・売上は

(1)売上高(年収)の比較

 3つ目の不明「独立後の年収が不明」の答えを検証してみよう。

 問17では、「経営コンサルタント業務を100日以上行っている者」の年間売上を聞いている。なお、2005年の調査では「年収」を聞いていた。そのため、2011年と2005年の結果をそのまま比べるのが適切でないことは承知しているが、割合の変化をつかむためにあえて比較することにした。

 2005年の調査では、経営コンサルタント業務を年間100日以上行う者のうち、年収300万円以下の者が全体の4分の1を占めていた。それが、2011年の調査では8分の1に縮小している。

 2011年の調査では売上を聞いているため、経費を引いた年収は、この結果よりも小さくなるかもしれない。しかし、診断士の業務は労働集約的なものが中心のため、売上原価はあまり発生せず、さらに自宅を事務所としている者は、固定費をかけずに営業ができる。このことから、今回の質問が前回と同じ「年収」であったとしても、大きく金額が縮小するとは考えられない。

 理由は明確ではないが、この6年間で独立診断士が売上を確保できる市場が整備、拡大されてきたことが推測される。

 また、売上1,000万円以上の診断士の割合が、3分の1以上を占めている。特に売上が2,000万円以上、3,000万円以上の診断士も、それぞれ6%存在している。
 

(2)年齢別の売上高

 では、こうした売上高は、どのような診断士が手にしているのだろうか。年齢と診断士に登録してからの経過年数を用いて、クロス集計をしてみた。

 年齢別の売上高を見ると、30歳代では、501〜1,000万円が44.4%ともっとも多い層をなしており、1,001〜2,000万円の層が20.0%で続いている。40歳代では、1,001〜2,000万円の層が30.8%と最多層で、50歳代でも1,001〜2,000万円の層が35.7%と最多層になっている。また60歳代では、501〜1,000万円が36.3%、70歳代では、301〜500万円の層が34.4%でそれぞれ最多層となっている。

 以上の結果からは、売上高の最多層が、30歳代から50歳代に移るにつれ、高額層へと移動した後、低額層へ順次移動する様子が見てとれる。
 

(3)登録後の経過年数別売上高

 続いて、診断士登録後の経過年数別に売上高を見てみた。なお、独立開業後の経過年数でないことに注意されたい。

 登録後1〜2年では300万円以下、301〜500万円、501〜1,000万円の割合が4分の1程度ずつである。3〜5年では、300万円以下の層の割合が減り、その分、1,001〜2,000万円の層が増えている。6〜10年では、501〜1,000万円の層が最多となり、1,001〜2,000万円の層も3割を越えている。なお、登録後6〜10年の者たちがもっとも売上高の平均値が高くなっている。その後は、300万円以下、301〜500万円の層が緩やかに増え、それ以上の層が減っている。

 このグラフで筆者は、2つの点に注目した。1つ目は、登録後1〜2年で、すでに売上501万円以上の者が300万円以下の者を上回っていることである。2つ目は、6〜10年で、4割を越える診断士が売上1,000万円を突破していることである。

 この2つから、診断士として活動を始め、比較的にスムーズに仕事を立ち上げ、売上高を順調に拡大している姿が見てとれる。診断士という職業が、独立してから着実に業務量を増やしていけるだけの役割を、市場から認知されつつあることの現れのように思うのは、筆者の希望的観測であろうか。