アンケートにみる診断士の実像

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第1章 診断士に関する4つの不明を明らかにする

大石 幸紀・東京支部城東支会

1.診断士に関する4つの不明

 筆者は、2004年に勤め先企業を32歳で退職、診断士事務所を開設して、現在は社員3名を雇用するまでに事業を拡大してきた。

 独立する直前には、幾人かの会社の上司や同僚から「診断士で飯が食えるのか? 独立なんてするな」と慰留していただいた。自分自身も、彼らに明確に反論するだけの根拠を持っておらず、自信もなかった。その証拠に、資格を取得してから独立するまで2年間は悩みに悩み、最後は、このままではおかしくなってしまうのではという恐れから独立を決意したのが正直なところである。

 いま、冷静になって考えてみると、なぜ当時、周囲の方々が診断士としての独立に反対したのか、また自分自身が不安を解消できなかったのか、その理由は次の「4つの不明」に集約できるように思う。

(1)資格取得後、独立する者の割合が不明
(2)独立後の継続状況が不明
(3)独立後の年収が不明
(4)独立後の業務内容が不明

 おそらく、現在もこの4つの不明のために、資格取得に踏み切れない方、資格取得後の独立に踏み切れない方が存在するであろう。第1章は、「データでみる中小企業診断士2011年版」を分析することで、これらの不明に答えることを目的とする。
 

2.資格取得後、独立する者の割合は

 1つ目の不明「資格取得後、独立する者の割合が不明」に対する答えを、本調査の結果から検証してみる。

 調査の問2では、「あなたの職業は」と聞いている。このうち、「1.プロコン経営(他資格兼業なし)」と「2.プロコン経営(他資格兼業あり)」と答えた者の割合を、2005年に行われた調査データと比較してみた。

 アンケート回答者のうち、プロコンとして活動している者の割合は、2005年では34.1%であったものが、2011年には40.4%と6%以上増加している。このことから、この6年間に診断士の独立傾向が強まっていることが見てとれる。

 ただし、このプロコンとして独立している者の中には、会社員としての定年を迎えてからプロコンになった者と、会社員を辞めて独立した者が混在している。おそらく読者の関心が高いのは、後者のケースであろう。

 そこで、プロコンとして独立している者のうち、30歳代から50歳代の割合を図に示した。なお、20歳代を除いたのは、データが少なかったためである。

 この結果から、おおよそ有資格者のうち、30歳代では5人に1人、40歳代では4人に1人、50歳代では3人に1人が独立プロコンであることがわかる。企業の中核となる30〜50歳の世代を通してでは、4人に1人が資格取得後、独立プロコンとして活動している。

 2005年調査時の年齢別のデータが存在しないため、推測の域を出ないが、この6年間で独立プロコンの割合が増加しているのは、30〜50歳代の独立者が増えていることがそれに寄与していると筆者は考える。

 この背景には、登録養成機関による養成課程が始まったことで、独立することを前提として勤め先を退職し、診断士になる者が増えていることなどが考えられる。
 

3.独立後の継続状況は

 続いて2つ目の不明「独立後の継続状況が不明」の答えを検証してみる。

 筆者が独立した頃、「独立して3年は我慢しろ。それを越えれば、仕事が安定する」と、先輩からアドバイスをいただいた。逆に言えば、3年を待たずして市場から退場する診断士も存在するのだろう。

 経営コンサルタントを主たる業務とする者を、業務開始後の経過年数によって区分したのが問7-(2)である。この結果を見ると、経営コンサルタント業務を行っている者は5年以内の者がもっとも多く、年を経過するごとに減少している。一見、経営コンサルタント業務を継続することが困難であることを示しているように思われる。

 しかしこの結果も、その回答者の内訳をプロコンと企業内診断士に分けることで、真の一面が見えてくる。

 全体では、経営コンサルタント業務を行っている者のうち、6〜10年以内の者が占める割合は、5年以内の者の割合よりも約8%少ない。しかし、プロコンだけに絞ってみれば両者は、ほぼ同じ割合になる。一方、企業内診断士で6年以上継続して経営コンサルティング業務を続けている者の割合は、52.4%から20.0%へと急減している。

 経営コンサルタント業務に携わるプロコンのうち、5年以内の者が占める割合と、6〜10年以内の者の割合がほぼ同じということは、プロコンは6年を超えて事業を継続できている可能性が高いものと筆者は推論するが、読者の皆さんはいかがだろうか。