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コンサルティング最前線

株式会社三菱総合研究所 地域経営研究本部 地域経営コンサルティンググループ
山田 英二さんに聞く
総合力の中で個人の力量を高める

取材・文:村橋保春

【第4回】今後注目したいテーマについて

取材日:2009年2月28日

― 山田さんが今後注目したいテーマについてお聞かせください。

山田さん

山田氏:これから成熟社会が進む中で、民の活力を高めていくこととあわせて、公(おおやけ)の領域をどのようにしていくか、社会領域、公共領域にかかわる問題がこれまで以上に大切になって来ると思います。

日本は第三次産業や公共領域における生産性が低いという指摘を受けます。成熟社会においてどこで稼ぐかと考えると、効率性で稼いでいくことが大きいと考えます。効率的な社会システムをどのように構築していくかが、これからの日本の大きな課題になってくると考えます。

民間においては、衣料品の売上が減少しているなかで、ユニクロは結構売れていて、最高益をあげようとしています。全体のパイはシュリンクして縮小しているわけですが、いかにして生産性、効率性を高めて、ふさわしいコストパフォーマンスを確保しているかということがポイントとなってきました。

こうした民間領域での成功例を公共領域でも活かしていくことが大切かと思います。片方で需要の創出や付加価値の創出といった観点で重要ですが、もう片方では効率性や生産性を高めることで付加価値を実現していくといった、これから迎える成熟社会では必要な考え方について関わってみたいと思っています。

― 需要創出よりも生産性の向上がメインテーマに据えるわけですね。

山田氏:これからの社会が、持続可能な社会であるためには、生産性や効率性を重視したシステムにしていかなければならないと考えています。

― 大きな観点では生産性、効率性に関わるコンサルティングということですが、より具体的なテーマとしてはどのようなものをお考えですか。

山田氏:あくまで個人的に思っていることとしてお話します。

今、地域の仕事を中心に取り組んでいます。ですから、地域における付加価値創出について考えているのですが、結構頭を悩ましているんですね。

地方は疲弊しており、地域再生をどのように行うか、このテーマは国や自治体も問題として取り上げてはいるのですが、まだまだ答えが導き出せていないと思います。大きなテーマであり、難しいテーマですけど、これから取り組んで行きたいと考えています。

― 観点というと、どういった観点を考えられていますか。公的セクターの再生ですか。

山田氏:いや、地域経済です。

― 地域経済の中でも、ものづくりとか、第一次産業ですとか、いろいろと想定できますが、この点はいかがでしょうか。

山田氏:基本的に、一定の所得以上のものを稼ぐことを考えると、域外の市場にどのようにコミットするかが重要になってきます。

第一次産業については、水産物のブランド化ということでジャパンブランドがとりあげられることがありますが、第一次産業による農産品等の積極的なブランド化の推進があります。第二次産業、ものづくりに関しては、大きな市場においてセグメントを切ることによりどのようにして支持される製品を生み出していくか、しっかり考えねばならないと思っています。

これだけグローバル化が進むと、単に見た目のブランドではない、指名買いしてくれるような製品・商品をしっかり作り込んでいくことで対抗していかねばならないと考えます。差別化されたバリューをどのように組み立てていくか、地域資源をいかに使って地域貢献できる仕組みを作っていくか、こうしたことをしっかり考えたいですね。

― ブランドにとどまらず指名買いにまで展開させるのですね。

山田氏:そうです。ブランド化の上の指名買いまで推し進めないと、価格競争に巻き込まれてしまいます。価格競争では姿の見えない、外国の生産者と戦わなければならない。指名買いへの展開することで、こうした価格競争から離れることができるんです。こうしたことを地域として考えていくことが大切です。

それと注意しなければならないこととして、企業が脱地域という動きを取りはじめているということです。昔は企業城下町などといって、地域の人たちとの関係を大切にしていましたが、これだけグローバル化すると海外の見えない、地域の力が及ばないところにいるライバルと競い合わなくてはならなくなりました。地域は企業に対していかに地味ある土壌であることを示していくかがポイントになります。

― 地域から期待されるコンサルタント像とはどういったものか、お伺いしたいと思います。

山田氏:基本的には、コラボレーションが当たり前の時代になってきているので、官だ民だといったセクターを超えた協力関係が必要になってきます。地域の価値の最大化を目指していかなければなりません。バウンダリー(境界)を超えてどのように協力し合っていくか、地域は真剣に考えていかなければなりません。

企業はある意味で社会的器です。企業は社会的位置づけがあってこその企業だといえます。地域社会といかに同化していけるかについてサポートしていければと思います。

具体的にどんなことをしていきたいかということに対しては、企業が地域社会にいかに同化していくか、それについてサポートしてみたいと思うのが、私が関わりたいと考えるテーマということになりますね。

(つづく)

プロフィール・会社概要

山田 英二さん:株式会社三菱総合研究所 地域経営研究本部 地域経営コンサルティンググループ

山田 英二(やまだ えいじ)/昭和32年生まれ。建設コンサルタント会社を経て株式会社三菱総合研究所に入社。専門は地域政策・都市政策で、これまで都市住宅政策、地域産業振興、少子高齢化対策などのテーマに取り組み、近年は行政経営や行財政改革のほか、中心市街地活性化などの業務に携わる。
株式会社三菱総合研究所 http://www.mri.co.jp/