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コンサルティング最前線

株式会社三菱総合研究所 地域経営研究本部 地域経営コンサルティンググループ
山田 英二さんに聞く
総合力の中で個人の力量を高める

取材・文:村橋保春

【第3回】研究所の特性と業務について

取材日:2009年2月28日

― 日本と欧米のコンサルティングの違いについてお話をいただきましたが、今後のコンサルティングのあり方は欧米に近づいていくと考えていいのでしょうか。

山田さん

山田氏: 長期的に見ると、経済のグローバル化が進んでいるので、欧米のようなコンサルティングスタイルに近づくと思います。日本だけは特殊で違いをそのままにして進むことはないでしょう。

ただし、企業の経営スタイルについては何度も揺り戻しがあると思います。今のような経済環境の激変期には、嵐が過ぎ去るのを身をかがめてやり過ごすような効率性や生産性の向上、また、本業回帰の縮小均衡型の考え方が台頭してきます。ある程度景気が回復基調になれば、積極的な事業展開に関する欧米と比べて日本は金融資産を保守的に運用していたから、比較的損害が少なかったなどといった考え方が勢いを増しています。こうした揺り戻しを繰り返しながらも、長期的には欧米化に進んでいくと考えるといいかと思います。長期的にはグローバル化の中にあって、日本が先進国の域内で成長していく上では避けられないことですね。

― コンサルティング業界に関するあらましについてお話を伺ってきましたが、業界リーダーとしての三菱総合研究所についてもお話をお聞かせください。

山田氏:三菱総合研究所は、三菱グループの100周年を記念して設立されました。そのため、例えば金融会社とか特定の企業にぶら下がって位置するのではなく、三菱金曜会の構成する企業を中心として出資を受け設立したわけです。

― 総合シンクタンクとしても歴史がありますね。

山田氏:そうですね。設立の古さからいうと、野村総合研究所設立の数年後の設立となります。

われわれのクライアントは主に公共が多いですね。当研究所はコンサルティングファームというより、シンクタンクとして設立されていますので、こういった特徴が現れます。

規模の大きい総合シンクタンクは金融機関にぶら下がった形で活動しているものが多いんですね。その点、当研究所は三菱金曜会に入っていますので、グループ内の企業間では横並びに位置づけられています。研究所としての独立性が高い分、三菱グループの企業からは業務は少なく、自由にいろんなクライアントから業務を受託しています。

官庁から委託される業務は多いですね。当研究所は、科学分野が強く、エネルギー、原子力、航空工学などは実績評価を受け、いろんな委託をいただいています。総合シンクタンクたるところかと思います。

― 山田さんが所属されている地域経営研究本部について、お話をお聞かせいただけますか。

山田氏:組織としては地域経営研究本部というのがあり、その中にいくつかのグループが増殖的に増えてきています。今は地域経営コンサルティンググループをはじめ、7つのグループがあります。私は、地域経営コンサルティンググループに所属しています。

当グループは、名前の通り、地域経営、公共経営に関して、役割を果たしていきたいと考えています。

・地域経営コンサルティンググループ
 持続可能な地域経営の実現に向けて、少子高齢・人口減少など地域の動向を踏まえた将来予測やビジョンの策定、地方分権・道州制や規制改革・民間会報等に対応した国や地域の施策・制度の調査・研究、また、行政・市民・企業の協働のもとで、行財政改革や戦略立案、公的団体の業務革新・見直しなど公共経営に関するコンサルティングを行っています。
(地域経営研究本部リーフレットから抜粋)

― 三菱総合研究所は全社的にいうとシンクタンクだという話でしたが、山田さんが所属する組織はコンサルティンググループとなります。この辺はどのような捉え方をすればいいですか。

山田氏:当研究所は全体としては総合シンクタンクなのですが、その中でシンクタンク部門、コンサルティング部門、ソリューション部門に区分されています。

コンサルティング部門はクライアントが民間企業に特化して活動している部門であり、ソリューション部門はシステムの開発運営を担当しています。シンクタンク部門は立ち位置が公共に近いものや、調査を中心として活動しているものが含まれます。社内の区分でいうと地域経営コンサルティンググループはシンクタンク部門に所属します。地域経営コンサルティンググループは公共部門の仕事が多いのですが、当本部に所属する都市事業コンサルティンググループは民間ディベロッパーをクライアントとする場合が多く、PPPや医療経営のコンサルティンググループも民間企業をクライアントとしますので、コンサルティンググループと名乗っています。

― 所属されているコンサルタントはどんな方々が多いですか。

山田氏:当研究所は、MBAとかではなくて、工学系の出身者が多いですね。シンクタンクとしての当研究所への入社を望む学生さんが多いですね。一番、アグレッシブな人たちは外資系コンサルティングファームを望んでいるようです。そういったことに関しては、当社は公共系の仕事が多いですし、安定しているといったイメージの強い会社だとみなされていると思います。

― コンサルティングファームに見られる成果報酬的な枠組みなどはないでしょうね。

山田氏:世の中が変わってきていますし、当研究所でも成果報酬的な考え方も取り入れなければいけないと考えています。そうした意味では、おっとりした社風が少しずつ変わっていくのかもしれません。

ただし、短期的な利を追うのではなく、中長期的にしっかり先を見据えての仕事がこれからも中心になると考えています。

― 公共関連のお仕事をされているので、そうしたスタンスはふさわしいことなのだと思います。

(つづく)

プロフィール・会社概要

山田 英二さん:株式会社三菱総合研究所 地域経営研究本部 地域経営コンサルティンググループ

山田 英二(やまだ えいじ)/昭和32年生まれ。建設コンサルタント会社を経て株式会社三菱総合研究所に入社。専門は地域政策・都市政策で、これまで都市住宅政策、地域産業振興、少子高齢化対策などのテーマに取り組み、近年は行政経営や行財政改革のほか、中心市街地活性化などの業務に携わる。
株式会社三菱総合研究所 http://www.mri.co.jp/