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コンサルティング最前線

株式会社三菱総合研究所 地域経営研究本部 地域経営コンサルティンググループ
山田 英二さんに聞く
総合力の中で個人の力量を高める

取材・文:村橋保春

【第2回】コンサルティング業界を俯瞰して(2)

取材日:2009年2月28日

― コンサルティングの質をしっかり見定められる時代になったといえますね。こんな時代に求められるコンサルタント像とはどのように考えればいいですか。

山田さん

山田氏:バブル期には工学系の学生のうち、成績が優秀な人間が結構コンサルティング業界に入りました。各学部、学科で自分に自信のある学生はコンサルタントを目指していました。工学系もコンサルティングの業務もロジカルな部分が多く、思考パターンがある意味で似通っていることから、学生にとってもすんなりコンサルタント業界に入りやすいのではないかと思います。

― 大学や大学院での成績が優秀な学生がコンサルタントにあこがれたわけですね。

山田氏:大学等での成績というより、様々なアビリティ、総合的な能力に長けた学生と捉えた方がよいですね。コンサルティングファームの中にあっても、コンサルタントは "士(さむらい)"商売的なところがあると思います。精神的に独立して動く人、自分のパフォーマンスに自身があり、積極的にプレゼンテーションが行える人、そんな人がコンサルタントには向くと感じています。またそういった人がコンサルタントを志向します。

しかし、独自性が強すぎる一匹狼的な人は、コンサルティング業務に向かないということも言えます。自分だけで全部出来るようなフルセット型のコンサルタントはなかなかいません。コンサルティングの対象となる企業、クライアントも専門化、高度化しているので、一人のコンサルタントで対応するには能力的に難しい部分があります。ですから、いろいろなメンバーとアライアンスを組むことが必要となります。

― 専門性を持つばかりでなく、時代の変化にも対応するとなると、確かにフルセット型でカバーすることはなかなか大変ですね。

山田氏:これもできます、あれもできます、だからトータルで私にお任せくださいというやりかたはなかなか難しくなってきました。

― コンサルタントに対して、関係するデータを集めて使いやすい資料にまとめてほしいといった要望から、問題点を洗い出して、具体的な問題解決の方法まで提示してほしいといったところまで求められる範囲や質が変わってきていると考えてよいでしょうか。

山田氏:クライアントと打合わせていると、問題をいくつも抱えて、問題相互の関係性について整理(構造化)ができていないことがよくあります。整理ができていないために、問題点は多少わかっていても、その本質がつかめていない。様々な事象を構造化して、問題解決に結びつけることがコンサルティングの基本だと思います。

これに加えて大切なのは、コーチングの役割ですね。クライアントとともに一緒に考える形をとりながら、クライアント自身が気づく、そうした流れを作る役割があると思います。これも、考え方を整理したり、考える枠組みを明示する要素が含まれます。

― 大学や大学院の新卒がコンサルティング業界に入る場合についてお話を伺いましたが、非新卒がコンサルティング業界に入る場合にはどのようなことを考えればいいでしょうか。

山田氏:非新卒でコンサルタントを目指す場合には、それまでの経験が重要となります。つまりいろいろなケースを知っていることが大切です。そして外部環境についても明確なイメージを考えておく必要があります。時代の潮流をしっかりと読み解きながら、自分自身のポジションを客観視できるような、「空気を読める」人材がコンサルタントとして生き残るのではないかと思います。

ただし、こうした人は日本にはまだ少ないですね。ジョブ・ホッピングという言葉がありますが、自分の能力や展開力をマネジメントしてステップアップする人はあまりいないと思います。多くはインハウス、つまり金融機関なら金融機関の中で、それ以外でも大きな組織の中でコンサルティング業務を行う。個人としてジョブ・ホッピングを考えない人たちを多いと思われます。

― それまでの経験を前面に出すのではなく、組織から与えられた仕事に多少の業務経験を活かしながら、粛々とこなしていく感じでしょうか。この分野については、私は得意としている、こういった業務には実績はあるといったことはあまりいわないでおくのでしょうか。

山田氏:いや、専門性や実績は大切です。これだけあらゆる分野で専門化が進んでいるわけですから、コンサルタントも強みというものは持っていなければなりません。それと併せて、MBAのケースメソッドのように、いくつかのパターンに整理することも重要となります。これからもいろいろな経験を積み重ねていくことも重視しなければなりません。このような経験の積み重ねを基本として、時代の潮流を読むとともに、クライアントの強みをきちんと発揮させるコンサルティングが必要だと思います。

(つづく)

プロフィール・会社概要

山田 英二さん:株式会社三菱総合研究所 地域経営研究本部 地域経営コンサルティンググループ

山田 英二(やまだ えいじ)/昭和32年生まれ。建設コンサルタント会社を経て株式会社三菱総合研究所に入社。専門は地域政策・都市政策で、これまで都市住宅政策、地域産業振興、少子高齢化対策などのテーマに取り組み、近年は行政経営や行財政改革のほか、中心市街地活性化などの業務に携わる。
株式会社三菱総合研究所 http://www.mri.co.jp/