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コンサルティング最前線

北九州市立大学 都市政策研究所 教授 伊藤 解子さんに聞く
地域に貢献する大学研究所を目指して

取材・文:村橋保春

【第4回】中小企業診断士に期待すること

取材日:2008年9月23日

― それでは、改めて伊藤さんが考えられるコンサルタントのあり方とはどんなものか、お話しいただけますか。

伊藤さん

伊藤氏:まずは、クライアントのニーズをきちんと把握して、基礎的な調査を的確に行なえることが基本だと考えます。単なるアイデア勝負になってはいけない。クライアントとしっかり話して、クライアントが何を求めているか、ニーズの核心をつかむことが何より大切です。ニーズを把握したら、役に立つと思われる資料をできるだけ広く集め、基礎的な調査や分析もできるだけリアルタイムで行うことが、を、間違いのないコンサルテーションにつながると思います

資料をやたらと集めればよいというのではありません。経験を重ねることで、何を根拠とするかを見定める目を養うことができれば、的確な資料に基づいて分析ができるようになって、何が大事かということをきちんと選び出してクライアントに伝えることができるようになると思います。こうすることで、クライアントも納得し、信頼関係をつくり上げることが、やはり基本だと思います。

クライアントと意識を共有できれば、次のステップに進むことができます。意識とは、問題意識、課題意識です。それが、次のステップに行く足がかりとして必要です。その際大切なのは、目先の動きばかりでなく、できるだけ本質的なところに迫ろうとすることです。

こうした手順は遠回りのように思えるかもしれませんが、結果として効率的な業務になると思います。科学的なコンサルティングだといえます。

― それでは最後に、中小企業診断士に対して期待すること、励ますことについてお話をいただこうと思います。

学内風景

伊藤氏:今回のインタビューを受けるに当たり、私も診断士について調べてみました。大変社会的に重要なお仕事をされていますね。

これから起業したいけれど、右も左もわからないという人が大勢いると思います。こうした人たちが、診断士からきちんとアドバイスを受けられることが、本当に大事だと思います。これから起業する人たちが増えることが、人や街、社会や経済が元気になるためにとりわけ重要です。

これからは都市部の産業だけでなく、農業などでも起業の動きは高まると思います。こうした起業家への的確な指導が求められているのではないでしょうか。

地域資源の発掘も、中小企業診断士に期待される役割ですね。眠っている資源を積極的に活かす。これが売れるとか、これは使えるとか、正しく判断する。診断士の方が使命感をもって動き出せば、いろんな可能性が見えてくると思います。

コミュニティビジネスについてはいろいろな定義があるようですが、同じ地域で活動するに当たり、やはり利益を生むビジネスになることが必要と感じます。コミュニティビジネスもビジネスですから、儲からないことを前提としてしまうと成り立たなくなる。コミュニティビジネスの社会性を活かして、地域やヒト、モノなどに関して潜在的な価値を発見し、新たな価値に変えていく、そのような地域の価値創造に関わることも中小企業診断士の大事な役割ではないでしょうか。

中小企業診断士自身が自ら起業してみることも大事な経験となるかもしれませんね。モデルとして提案できるぐらいに、しっかり実施すると説得力を増しますね。小さなビジネスを中小企業診断士自らが実証する。できればこうしたことまで、期待してみたいと思います。

― 伊藤さんからいろいろな視点で、地域振興やコンサルティングのあり方などを教えていただきました。長い時間、お話をお聞かせいただきありがとうございました。それではこれでインタビューを終わらせていただきます。

(おわり)

プロフィール・研究所概要

伊藤 解子さん:北九州市立大学都市政策研究所 教授

伊藤 解子(いとう ときこ)/民間コンサルタント会社の嘱託として全国各地の都市計画関連業務に携わった経験を経て、1990年より、財団法人北九州都市協会において、また、2006年より現職において、都市政策やまちづくり、都市整備プロジェクトになどに関する各種の調査・研究業務を行っている。博士(人間環境学)、技術士、一級建築士。
北九州市立大学 都市政策研究所ホームページ:http://www.kitakyu-u.ac.jp/iurps/