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コンサルティング最前線

北九州市立大学 都市政策研究所 教授 伊藤 解子さんに聞く
地域に貢献する大学研究所を目指して

取材・文:村橋保春

【第2回】大学におけるシンクタンクとして(2)

取材日:2008年9月23日

伊藤氏:都市政策研究所として、まず力を入れたのは、過去20年間にわたり、北九州市ルネッサンス構想のもとで行われてきた行政の取り組みを総括しようという研究です。北九州市の新しい総合計画の検討に役立てるためで、一昨年度からおよそ2年かけて、市からの受託研究として実施しました。

― ものすごく大きな仕事ですね。これだけの大都市の20年間を総括するのですから、これは結構大変でしたね。

伊藤さん

伊藤氏:そうですね。都市政策研究所が中心となって、学内外の18名の研究者と協力し、私は幹事として研究フレームの組み立てやとりまとめも行いました。新しい総合計画の検討に関わる市民の方々にも理解しやすいものにしたいと思いながら取り組みましたが、結構大変でした。

大変でしたが、私自身とても役立つ経験になりました。都市の課題、例えば文化から、医療から、自然保護から、もちろん財政、市民参加など、いろんな分野について、過去から現在まで、見渡してみることができました。

この業務を通じて、私自身は一応、都市計画という看板を掲げていますが、今からの時代は、専門性はもちろん大事だけれど、目いっぱい分野を広げて他分野に対しても見通そうとする姿勢が大切だと改めて思いました。

― 都市は非常に多くの要素が関係しあって動いているわけであり、北九州市の20年間を総括する業務は、都市政策を研究する上でいろいろな視点を持つことができたといえますね。

伊藤氏:自分の専門分野でないと思うと、他分野への関心や理解は表面的なものにとどまってしまいがちです。私の場合は、この業を通じて、医療制度の問題などについても、研究していきたいと考えるようになりました。

それと、政策や施策の評価をする場合には、それらが実施される以前のことをきちんと把握しておく必要がありますが、過去の実情を把握することの難しさを実感しました。。評価対象となる施策や事業が行われたのは、どういう状況のなかで、どういう理由だったのか。そうしたことをきちんとつかむことによってはじめて、達成度や効果を理解することができるのだと思います。昔から取り組まれてきたことが今もほとんど進んでいなかったり、場合によっては後戻りしていたり、そうしたこともあることがわかりました。区切りとなるような時点で、総括することの大切さを改めて認識しました。

そのような、過去を振り返り検証しながら将来を考えるといった「地道」な調査や研究は、民間ではなかなか大変だと思いますし、大学の研究機関が担っていかなければならないと思います。

(つづく)

プロフィール・研究所概要

伊藤 解子さん:北九州市立大学都市政策研究所 教授

伊藤 解子(いとう ときこ)/民間コンサルタント会社の嘱託として全国各地の都市計画関連業務に携わった経験を経て、1990年より、財団法人北九州都市協会において、また、2006年より現職において、都市政策やまちづくり、都市整備プロジェクトになどに関する各種の調査・研究業務を行っている。博士(人間環境学)、技術士、一級建築士。
北九州市立大学 都市政策研究所ホームページ:http://www.kitakyu-u.ac.jp/iurps/