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コンサルティング最前線

北九州市立大学 都市政策研究所 教授 伊藤 解子さんに聞く
地域に貢献する大学研究所を目指して

取材・文:村橋保春

【第1回】大学におけるシンクタンクとして(1)

取材日:2008年9月23日

今回は大学の中の研究所として、地域に関する研究や情報発信を行なっておられる北九州市立大学都市政策研究所の伊藤解子教授をお伺いしました。地域に根付いた総合的なシンクタンクとしてのご活躍の様子をお聞かせいただきました。

― 北九州市立大学都市政策研究所は、産業経済、社会福祉、都市計画を三本柱として、調査研究に取り組んでおられる総合的なシンクタンクと伺っております。まずは、その歴史をお話しいただけますか。

伊藤さん

伊藤氏:都市政策研究所は、北九州市立大学の産業社会研究所と財団法人北九州都市協会の研究部門とが統合されて2006年に新たに設立されました。北九州産業社会研究所は1959年に設立され、社会科学系の研究機関として、北九州地域の産業経済、社会福祉の分野で調査研究を積み重ねてきました。一方、財団法人北九州都市協会は、1977年に、市民生活と市民文化の向上に役立つ様々な活動を担う組織として設立され、1990年には研究部が設置されました。私は北九州都市協会の研究部に所属していましたので、まず、そこでの経験から、説明をしたいと思います。

同協会の研究部門は、それまで北九州市には都市政策に関する調査や研究を担えるコンサルタントがほとんどなく、大部分が東京や福岡などの会社や研究所などに委託されていたのですが、やはり北九州の地元の様子や事情が良くわかる、地域シンクタンクをつくろうということになり設置されました。その後、17年にわたり、都市計画と市民経済の分野を中心に、北九州市の市民生活やまちづくりについて主に北九州市から受託した業務として、調査や研究、計画づくりなどを行ってきました。

私自身は同協会研究部門に入る前からコンサルティングファームで都市計画の研究や計画作成に携わり、まちづくりやマスタープランに関する業務を行っていました。こうした分野が今につながっています。

研究地域は北九州であり、発注元はほとんど北九州市ということなので、拡げるよりも掘り下げていく感じの仕事が多かったかと思います。専任4名の体制で、外部との協力も図りながらですが、業務量的にもおおむね手一杯のなかで進めてきたといえます。

― 研究提案はどのようなボリュームで行なわれてきましたか。積極的に提案をされている印象を持っているのですが、実際はいかがでしょうか。

都市政策研究所玄関

伊藤氏:提案と受託業務の比率を業務ボリュームで考えると、提案対受託は1対3ぐらいでしょうか。あまり多いとはいえないかもしれませんが、都心のまちづくり、マスタープラン、次世代のまちづくり、観光など毎年地域課題のテーマを設定し、課題提起や提案はしっかり行ってきたと思います。

― 調査対象となる地域を特定し、クライアント層も特定されているとのことですが、受託業務ボリューム、マーケットボリュームについてはどんな感じですか。

伊藤氏:北九州都市協会の時代は、北九州市の総合計画として1988年に策定された北九州ルネッサンス構想に基づいて、積極的に、いろいろな取り組みがたくさん行われていました。そのため研究テーマや仕事の課題は数多くありましたが、ひととおりの課題や対応の方向は明らかになり、かつてのように目新しいテーマはあまりなくなっています。

ただし、時代が大きく変化しており、今からきちんと考えておかなければならないテーマが数多くあります。われわれは、そうしたテーマを今からきちんと提案していかなければならないと考えています。

今年度に、新しい市の総合計画がスタートしましたが、時代の変化を見通して課題をきちんとつかみ、提案していかなければならない内容も数多くあるので、都市政策研究所として、これからもそうした調査や研究に力をいれて行政や市民に提案していきたいと考えています。

(つづく)

プロフィール・研究所概要

伊藤 解子さん:北九州市立大学都市政策研究所 教授

伊藤 解子(いとう ときこ)/民間コンサルタント会社の嘱託として全国各地の都市計画関連業務に携わった経験を経て、1990年より、財団法人北九州都市協会において、また、2006年より現職において、都市政策やまちづくり、都市整備プロジェクトになどに関する各種の調査・研究業務を行っている。博士(人間環境学)、技術士、一級建築士。
北九州市立大学 都市政策研究所ホームページ:http://www.kitakyu-u.ac.jp/iurps/