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地元に根付いた活動報告

地産地診

(19)静岡県南伊豆町の将来像を提言――企業内診断士による地方創生のカタチ

取材・文:奥村 直樹(中小企業診断士)益田 知幸

【第3回】南伊豆町商工会経営指導員の挑戦

2018年11月27日更新(取材日:2018年8月15日)

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々を紹介する「地産地診」。今回は、東京都内に勤務しながら、静岡県南伊豆町の産業振興にかかわる皆さまを紹介しています。
最終回となる第3回目は、南伊豆町商工会の経営指導員として、日々小規模企業への伴走型支援に奮闘されている中小企業診断士の木下和孝さんにお話を伺いました。

現地におけるコーディネーターとして

―南伊豆町支援プロジェクトとの出会いをお聞かせください。

2017年11月頃、中小企業基盤整備機構の職員向けに、地域の経営指導員がどのような支援活動を行っているかをお伝えする研修が都内で行われ、そこに登壇しました。その日の懇親会で、「都内の会議室ではなく、実際に現場に来てもらいたい」という話になり、中小企業基盤整備機構の岩井智洋さんと意気投合しました。岩井さんとは元々、中小企業診断士養成課程の同期で知り合いでした。

その後、NECの土屋俊博さんが幹事を務めた企業内診断士会の交流会で、ワークショップのお題として、「人口減少が続いている南伊豆町の地域活性化」を岩井さんに取り上げてもらったのが始まりです。そして、南伊豆町支援をプロジェクトとして継続したい有志を募集したところ、24名もの方々が集まりました。まさか、そんなに来るとは思っていませんでしたね。

―地方創生が叫ばれる中、地域支援プロジェクトは企業内診断士にとって関心が高いのかもしれませんね。

私は「企業内診断士」という言葉は知っていましたが、金融機関などに勤める中小企業診断士養成課程の同期を除き、直接の知り合いはいませんでした。企業内診断士は、それぞれの所属企業内でスキルを活かしていると思っていましたが、社外活動としてこのような地域振興に興味やニーズがあることを初めて知りました。

南伊豆町商工会経営指導員の木下和孝さん
南伊豆町商工会経営指導員の木下和孝さん

―プロジェクトを進めて行くうえで、現地のコーディネーターとして重要な役割を果たされたと伺いました。

ブロジェクトのチームは課題ごとに分かれていましたので、各チームのメンバーが現地で話を聞きたい人物のアサインは、町役場から漁協まですべてコーディネートしました。町長が商工会青年部OBの方だったことから、近い関係にあったことも幸いでした。

また、皆さんが動きやすいように、プロジェクトを商工会事業にして取り組みました。メンバーの方々にも、無償ではありますが、「専門家委員」という役職を委嘱させていただきました。

そして、プロジェクトの第1フェーズの終着点は、「町長に提言内容を報告すること」になりました。町役場でも、10年おきに策定する総合計画の策定が2年後に迫っており、この内容が参考になればとの思いがありました。提言は、町の課題ごとに分かれたチーム別に作成し、現地調査を含めてさまざまな分析をしてもらいました。

―提言結果はいかがでしたか。

2018年の4月16日に提言を行い、概ね高評価でした。町長をはじめ、町役場の職員から町議会議員まで60名ほどに参加してもらい、チームごとにプレゼンを行いました。当日はプレゼン内容のコンペも行い、たいへん盛り上がりました。

参加者からは、地元とは異なる都会の人の視点ということ、また中小企業診断士ということで新たな知見が得られたという感想が寄せられました。町役場でも、職員から「良かったよ!」と声をかけられたりもしました。今は第2フェーズとして、提言した内容を実行段階に移す取組みを行っています。

―このような企業内診断士による地域支援は、今後、全国的に展開可能ではないでしょうか。

そうですね。小さい商工会のエリアでは、人材も決して多くはありません。プロの専門家にもお願いはしていますが、企業内診断士の皆さんにはその部分を補完してもらえないかと考えています。たとえば、副業解禁の流れの中、われわれには企業内診断士が実績を積める場、活躍の場を提供できるのではないかと考えています。その経験を活かして、全国に展開できればよいですね。

―企業内診断士が求める活躍の場を地域が提供するというのは、理に適った取組みですね。

支援を必要としている小規模企業は星の数ほどあります。われわれ地域の支援機関が企業内診断士の方を受け入れて、スムーズに企業支援が行える環境を整えられれば、と個人的には考えています。

企業内診断士の皆さんには、岩井さんが言うところの「バッターボックスに立つ」ステップアップの場として利用してもらい、まずは家族経営で少し売上が傾いてしまったようなケースの支援からお願いできればよいですね。結果として、個々の企業の売上増を通じ、地域全体の底上げが果たせるのではないでしょうか。

決してプロコンの活躍の場とバッティングする話ではなく、新しい市場を作るイメージです。そのような環境を作ることができれば、企業内診断士の皆さんの力を借りて、地域経済がもっと潤ってくるのではないかと思っています。

(おわり)

プロフィール

土屋 俊博さん

木下 和孝(きのした かずたか)
2012年中小企業診断士登録。南伊豆町商工会の経営指導員として、町の経済活性化のため、約400の会員企業の発展のため、商工会の事務局長と2人3脚で日々、企業支援に奔走する。小規模企業に寄り添い、支援内容は補助金申請から確定申告のお手伝いまで多岐にわたる。



【事業所】南伊豆町商工会
【所在地】静岡県賀茂郡南伊豆町下賀茂323-1
【TEL】0558-62-0675
【URL】http://www.minamiizu.or.jp/