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地元に根付いた活動報告

地産地診

(19)静岡県南伊豆町の将来像を提言――企業内診断士による地方創生のカタチ

取材・文:奥村 直樹(中小企業診断士)益田 知幸

【第2回】診断士資格を活かし、ともに地域に貢献しましょう!

2018年11月20日更新(取材日:2018年8月15日)

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々を紹介する「地産地診」。今回は、東京都内に勤務しながら、静岡県南伊豆町の産業振興にかかわる皆さまを紹介しています。
第2回目は、日本電気株式会社(NEC)に勤務しながら、社外で多数の診断士活動をされている土屋俊博さんにお話を伺いました。

南伊豆町支援プロジェクトと中小企業診断士の地域支援

―南伊豆町支援プロジェクトに参加されたきっかけを教えてください。

私はNECグループ診断士会の事務局をやっており、昨年11月に、他社の企業内診断士会の方々との交流会を行いました。その企業内診断士会の中に、岩井さんをはじめ、中小企業基盤整備機構にお勤めの中小企業診断士の方々にも入っていただきました。その際、交流会のワークショップのお題の一つとして、岩井さんから南伊豆町の地域活性化のお話を伺ったのが始まりです。

ちなみに、私自身も南伊豆町には縁がありました。大学時代に大学の寮が南伊豆町にあり、そこで住み込みのアルバイトを行っていましたので、良い思い出がたくさんあります。また、南伊豆町の支援は、企業内診断士が活躍するのに適した場所だと感じていました。

―今回のプロジェクトは、企業内診断士を中心に24人ものメンバーが集まったそうですね。

地域支援に興味をもっている、あるいは社会貢献に意欲をもっている企業内診断士はたくさんいると思います。一方で、何かをやりたいけれど何をやったらよいかわからない人もいます。そこにこのプロジェクトがうまくマッチしたのだと思います。ちなみに、NECグループ内でも6人がこのプロジェクトに参加しています。

NECの土屋俊博さん
NECの土屋俊博さん

―それだけ多くの企業内診断士の方が参加されたプロジェクトを、どのように進めていかれたのですか?

南伊豆町の産業は観光の占める割合が一番大きいため、観光客を呼ぶにはどうしたらよいのか、観光客にリピートしてもらうために特産品の魅力をどう伝えるのか、移住者をどう増やすのか、移住者が仕事を得ていくにはどういう支援が必要か、といった課題ごとにチーム分けを行い、全体を統括するチームを含めた5つのチームでプロジェクトを進めていきました。また、実際に行った提言内容を、南伊豆町に受け入れてもらう態勢を整えていく必要がありました。町のブランディングをどうするのか、プロモーションをどうするのか、担い手となる人材をどう育てるのか、ということをまとめて整理していきました。そして、初回の打ち合わせで各メンバーに自分がやりたいことを決めてもらってチームに分かれ、以後はそのチームごとに検討してもらいました。

―診断士資格を取得されている方にはさまざまなバックボーンがあるため、何かしらの形で地域貢献ができるということでしょうか。

地方創生は、「まち」「ひと」「しごと」の創生と言われています。「まち」であれば、どのようなまちにしたいかという方向性を考えることから、お店をどこに構えるかという立地戦略の提言ができます。「ひと」の面であれば、人材開発、働き方改革などがテーマとしてあります。また、「しごと」の面では、創業支援という形でかかわることができます。このように、中小企業診断士ほど「まち」「ひと」「しごと」のすべてにかかわれる資格はないのではないかと思います。

―現在、プロジェクトメンバーは50人を超えているそうですね。

そうなんです。当初から南伊豆町の事業として建て付けていただき、プロジェクトの提言までやることになっていたからこそ、人を集められたのだと思います。年度末の時期に隔週で打ち合わせをしつつ、「企業内なのに、皆よく集まるな」などと思いながら進めていました(笑)。いまも、「来年2月に、再び町長に進捗報告に行く」という勢いをもって頑張っています。

―この事例の横展開の可能性については、どのようにお考えですか。

全国でのモデルケースとなるのは間違いないと思っています。さまざまな地方創生プロジェクトがありますが、東京からコンサルタントが押しかけて行くのではなく、現地の方がやる気になっているところに東京の知見を活用するという関係性が重要だと思っています。今回も、南伊豆町商工会経営指導員の木下和孝さんの協力なしには、とてもできることではありませんでした。

今後、横展開をしていくとしたら、「中小企業診断士」という共通OSで経営に関する知識がある方とは話が早いので、そういった方々を送り出す仕組みは整えていけるでしょう。その中で、多くのエネルギーの余っている方々を受け入れていただける商工会なり、自治体の体制が必要になってくると思います。

今後の企業内診断士の活動について

―今後、企業内診断士の方々の力を、ぜひ地域支援などに使っていただきたいですね。

そうですね。力は使っているうちに洗練されてくるものですので、とりあえずやってみないと見えない景色があると思います。研究会などで、このような地域支援について話す機会があるのですが、「勉強になりました!」と言われても肩透かしにあった気分になります。こちらは「一緒にやりましょう!」という人を求めていますので(笑)。

―支援に携わりたいけれど、どうしたらよいかわからないという方は、どのようにすればよいでしょうか。

ぜひ、ご連絡をいただきたいです。自分のやりたいことを社内で実現できるならば、それはそれでよいと思いますが、もしも実現できないことがあるならば、せっかく中小企業診断士という外部からも認められる資格をもっていますので、「一緒に外で実現していきましょう!」と言いたいですね。専門性を発揮してご自身の価値を高め、周囲から認めてもらえるような活動をしてほしいと思います。

(つづく)

プロフィール

土屋 俊博さん

土屋 俊博(つちや としひろ)
日本電気株式会社(NEC)勤務。担当業務は、共創活動/地方創生/企業グループマネジメント。その傍ら、中小企業診断士として、商店街支援や被災地復興支援、地域コミュニティ活性化やベンチャー支援に携わる。東京都中小企業診断士協会城北支部所属。