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地元に根付いた活動報告

地産地診

(15)静岡県編

取材・文:平井 彩子(中小企業診断士)

【第3回】経営改善・企業再生を通じた中小企業診断士の活躍

2016年9月1日更新(取材日:2016年7月14日)

第3回は、浜松を中心に経営改善・企業再生のご支援をされている小楠貴宏さんに、現在の活動ならびに静岡県での独立開業のチャンスについて、お話を伺いました。

経営改善・企業再生を中心に活動

―現在の活動についてお聞かせください。

私は、大学院を卒業後、矢崎総業に入社しました。ガスメーターの分野に所属しており、開発設計の技術者として10年間ほど経験しました。中小企業診断士の資格を取って独立をと考えていましたが、自分が製造業の研究開発部門しかわからないことに気付き、1年間は会計事務所で事業計画書作りを経験して独立しました。創業地は浜松です。

現在、自分の仕事の9割は信用金庫や保証協会からの依頼による、改善計画、再生計画の策定です。あと1割はISOの取得支援です。今一番ニーズがあるのは改善計画ですね。最初の1、2年は診断協会からの紹介で計画の策定を行っていましたが、現在は、自分自身も認定支援機関の資格を取得しましたので、直接受注を受けるようになりました。また、農林水産業関連で、県西部地区の6次産業化サポーターの業務も行っています。

―お客様には、どのような入り込み方をされていますか。

会計事務所さんが認定支援機関になって、計画を進められていてもなかなかクローズできない企業さんに事業面だけ入るというスタイルも多いです。

昨年、静岡県の経営改善は167件あったそうです。そのうちの94件、56%を中小企業診断士が担当しています。今後また増えてくると言われています。3年間で318件は全国2位ですから静岡県は経営改善や再生案件が多いです。静岡県は、地場の信用金庫の数が多い地域ですし、金融機関からの要請での案件も多いです。その場合は、金融機関と経営者との間に入って、ヒアリングをして社長の考えを噛み砕いて翻訳し、双方の橋渡し役としての役割を担うこともあります。

―やりがいをどのあたりにお感じになりますか。

経営改善や企業再生の仕事が中心ですので、本当に改善している姿を見られると嬉しいですね。やりがいにはなりますし、感謝してもらえるとそれで良かったなとは思いますね。また、調査やヒアリングの課程で、どうやって具体的な話を経営者から引き出して、先方が自ら動いてみたくなるようなアプローチをこちらから提案できたときは嬉しいですね。

製造業の品質管理のご支援

―今後の事業の展開はどのように考えていますか。

経営改善の分野でニーズがあるうちは受けていきますが、ISOや製造業の品質管理の分野も広げていきたいと思っています。もともと製造業の出身ですし。

―品質不良ゼロで「3H」と名刺に記載があるのはどのような意味ですか。

品質管理の中で、不良が起こる場面というのはほとんど「初めて取り組んだとき」、「変えたとき」、「久しぶりに行ったとき」に起きるということで、「初めて、変更、久しぶり」の頭文字をとって「3H」と呼んでいます。不良を削減していくために、工程を徹底的に管理するマニュアルを「3Hマニュアル」とうたって商品化しているんです。これからしっかり販売していこうと思っているところです。ISOの支援や経営改善で入ったお客さまにもご紹介していけると思っています。

―結構活動領域は広いのですか?

そうですね。浜松を中心とした静岡県西部が中心ですが、中には全国規模のプロジェクトでご支援することもありますので、他県に行くこともあります。

県内は広いため、移動が大変ですよ。西部地域であれば車で移動したり、浜松を北上して長野県境くらいまでは静岡ですから、信用金庫の案件になれば、支店があればそのくらいの距離を移動することもあります。

静岡の農林水産業と中小企業診断士としての支援

―静岡は農業も盛んですが、6次産業化での一番の成功事例はなんでしょう。

浜松の「うなぎいも」ですね。うなぎの残渣を肥料に使って育てたさつまいもです。浜松で一番有名なのは、「うなぎパイ」でしょう。もう一つ作りたいと考えて、「うなぎパイ」が売れている横で売るにはどうしたらよいかと考えられた商品だそうです。いわゆる産業廃棄物の会社が、残渣で肥料を製造していて思いついたのです。今では東南アジアへも進出しているようです。

―中小企業診断士が農林水産業に求められていることはなんでしょう。

県の農林事務所も、6次産業化とは言います。それは農家さんが儲かる仕組み、生活がもう少し豊かになる仕組みのひとつですね。もちろん、6次産業化にこだわらず、そういう意味での支援は求められています。法人化も含めて、農家の方が経営を意識して農業を行っていくためのご支援は、中小企業診断士としてサポートできる範囲と考えています。

静岡県での独立のチャンスについて

―独立してすぐに仕事のチャンスがあり、素晴らしいですね。

ちょうど、国の認定支援機関の補助金の始まった時と、タイミングが同じでした。自分自身、まったく仕事がないものだと思い、ISO構築支援の会社で修行をしようと思っていたくらいです。しかし、たまたま改善計画のニーズが高まっていたときでしたので、チャンスがあるなら取り組んでみようと協会からも仕事を頂きながら広げていきました。

―静岡県協会の特徴をお聞かせください。

他県の人と話しをすると、静岡県協会は面倒見がよいと、とても羨ましがられます。仕事の紹介もありますし、企業内中小企業診断士の方への支援も協会から実務ポイントの研修を開催していますからね。

あとは研究会が充実しています。中小企業診断士自体、静岡にたくさんいるわけではありませんから、浜松地域で独立して、研究会に出席して人脈を広げていると仕事のご紹介を頂くことも多いです。静岡県中小企業診断士協会で研究会に入って顔を覚えてもらえるからこその紹介ですから、大変ありがたいですね。

(おわり)

プロフィール

小楠 貴宏(おぐす たかひろ)
株式会社アイソコンサルティング 代表取締役。
製造業にて10年間、計量器の研究、開発・設計を行う。中小企業診断士の資格取得後、会計事務所勤務を経て独立、中小企業の経営改善計画や再生計画の作成支援に従事している。また、地域の専門化と協力しながらISOマネジメントシステムの構築支援や、不良ゼロを目指した3H(初めて、変更、久しぶり)マニュアルの構築支援を行う。
会社名:株式会社アイソコンサルティング
所在地:静岡県浜松市中区泉2丁目10-8
TEL:053-489-3603
ホームページ:http://www.3h-iso.com/