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地元に根付いた活動報告

地産地診

(15)静岡県編

取材・文:平井 彩子(中小企業診断士)

【第1回】豊富なビジネスチャンスを提供する静岡県

2016年8月25日更新(取材日:2016年7月14日)

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々をご紹介する「地産地診」。今回は、静岡県の皆様をご紹介します。(一社)静岡県中小企業診断士協会では、198名の会員とともに平成26年度、28年度の2年間の「Wアップ!サポート事業」をはじめとする静岡独自の活動を広げています。本連載第1回目は、大石育三会長に静岡県の取組みについて、お話を伺いました。

静岡県中小企業診断士協会「Wアップ!サポート事業」の取り組み

―静岡県中小企業診断士協会の活動についてお聞かせください。

私どもの協会は昭和34年に設立しましたので、設立57年目です。198名の会員の中には様々なノウハウをもっている中小企業診断士が集まっており、積極的に企業経営の支援をしています。独立開業している中小企業診断士の方はそのうちの約80名程度です。残りは企業内中小企業診断士で、金融機関の方、上場企業に所属している方が多いです。

今年から11月4日は「中小企業診断士の日」になりましたが、静岡県協会では、中小企業診断士が集まってバンドの演奏をする予定です。他県ではセミナーの開催などが多いと思いますが少し変わった取り組みをしようとの思いからバンドで盛り上げることにしました。もちろんセミナーも開催する予定です。

静岡県ならではの取り組みとして大きいところでは、中小企業の成長力・経営力向上支援ということで、「Wアップ!サポート事業」を静岡県から委託を受けて300社のご支援をしました。業績を上げて、賃金アップをするという狙いで、無料で中小企業診断士を4回派遣する事業です。地元の金融機関にご協力頂いて300社集めましたが、あっという間に締め切りになるほど人気の施策でした。

―素晴らしい取り組みですね。

この「Wアップ!サポート事業」というのは全国で初めての取り組みです。静岡で事例発表をした時には、全国から問い合わせが殺到したそうです。賃金アップし、従業員のモチベーションも高まり、企業も業績がよくなるという良い循環を作ることができますし、法人税も所得税も上がるということで費用対効果は大きいです。来年度の予算化を見据えて、自治体へのPRを行っているところでもあります。

また、この300社を集めて何らかの組織化、ないし勉強会などができる体制などを今後作っていきたいと考えています。

他士業連携や海外展開支援

―士業交流会も積極的に開催されているそうですね。

はい。弁理士の方々との交流会をここ2年ほど実施しています。県内の弁理士の方々は、大企業の仕事をされている方が多く、中小企業の実態に触れることが少ないようです。そのため、中小企業診断士との連携を求められることも多いですし、昨年度は当会員が弁理士会で研修を開催することもありました。

―海外展開についてはどのような取り組みをされていますか。

当協会の中に「海外事業展開研究会」という団体があり、食品製造業、小売・サービス業の海外展開が進むことを視野に入れ、海外進出の調査研究事業を平成27年に実施し、「中小企業の海外展開一次支援マニュアル」にまとめました。静岡県は、製造業の海外進出が盛んですが、この流れは今後小売・サービス業でも進むことが予測されています。しかし、ノウハウや人材が不足しているのが現状で、この調査が役立てばとの思いで実施しています。このマニュアルの評判は大変よく、県の担当者からも高評価を頂いております。

―静岡は活動領域が広いですし、皆さん仕事がおありですね。

私どもも、会員の皆さんにはビジネスチャンスを提供したいと考えています。経営改善計画策定支援事業の※事業DD(デューデリジェンス)については、「税理士と連携可能な中小企業診断士」名簿を作成して現経営改善計画の支援もありますが、今年からは保証協会案件で、経営診断の実施を行う事業にも携わっています。また、当協会が入居しているビルの上のフロアでは、静岡市の窓口相談のコーナーもありまして、5名ほど派遣をしています。

※事業DD(デューデリジェンス)...事業DDは事業性を評価するもので、会社が本来持っている収益性を調査することです。

個性的な会員たち

―会員の中には、ご自分で農業法人を立ち上げている方もいらっしゃるそうですね。

ある中小企業診断士の方は、実家の養鶏業は継がないけれど、農業には関わりたいということで農業法人を立ち上げています。その方は、第1回「SOHOしずおかビジネスコンテスト」で最優秀賞を受賞しました。一般的には、農場の上に太陽光の設備を設置すると、日が当たらなくなり生育が悪くなるのですが、日光にさらさないようにする農産物(お茶)もありますので、どうせ遮るなら太陽光発電にした方がよいと過去のデータなどをもとに算出して、日照時間を割り出した上で、太陽光発電を進めていくことを事業化しています。

―他にも面白い取り組みをされている方はいますか。

「魅せる販促コンサルタント」とうたい、「100gで1万円のお茶」の販売のご支援をしている方もいます。前述した「Wアップ!サポート事業」での支援でしたが、ITメディアを活用し、こまめな情報発信と視覚聴覚に訴えかけるコンテンツ作りを徹底することで、半年で法人顧客4社を獲得するという成果を出していました。

中小企業診断士の価値を伝えていくために

―最後に、一言お願いいたします。

私どもは経営改善も行っていますが、その中でも苦しい企業もやはり存在します。このたび「中小企業等経営力強化法」が施行され、私たちが行っていた今までの支援も変化していかなければならないと感じます。また、企業規模が大きくなると、私たちがご支援するときには、時すでに遅しで太刀打ちできないという場合もあります。そうなると地域経済に与える影響も大きくなってしまいます。そのため、私たち中小企業診断士が目利き力を発揮し、再生できる企業かどうかはっきり申し上げるということもしていかなければいけないと思います。

また、「Wアップ!サポート事業」の企業向けアンケートで、中小企業診断士の認知度を聞いたところ、中小企業診断士を知らない経営者の方がたくさんいらっしゃいました。しかし、この事業を通じて知ることができて「よかった」という方が多いのです。これからは、当協会に所属している198名の中小企業診断士にさらなるビジネスチャンスをもたらすとともに、これからも県内の中小企業のご支援を通じて、中小企業診断士の認知度もアップできればと考えております。

(つづく)

プロフィール

大石 育三(おおいし いくぞう)
有限会社大石ビジネスコンサルティング代表取締役。
農林系金融機関の融資部門、研修部門にて34年間、中堅・中小企業や第一次産業に対する融資支援に従事し、その後、東京の金融機関向けの出版社にて新たな銀行業務検定試験に関して企画導入した実績を保有。現在は静岡県内外の小規模企業主・中小企業のお客様に対し、経営改善計画や経営革新計画をはじめとするビジネスコンサルティングに携わっている。行政書士、ITコーディネータ、一級販売士でもある。
会社名:有限会社大石ビジネスコンサルティング
所在地:静岡県富士市五貫島639番地の2
TEL:0545-64-0147
ホームページ:http://ohishi-cons.com/