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地元に根付いた活動報告

地産地診

(14)奈良県編

取材・文:平井 彩子(中小企業診断士)

【第1回】多様なメンバーで多様な活動

取材日:2015年10月5日

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々をご紹介する「地産地診」。今回は、奈良県の皆様をご紹介します。
(一社)奈良県中小企業診断士会では、75名の会員とともに独自の活動を広げています。本連載第1回目は、森昭彦会長に奈良ならではの取組みについてお話を伺いました。

奈良県中小企業診断士会の活動

―奈良県中小企業診断士会の活動についてお聞かせください。

当会では、できるだけ多様な活動を支援していきたいと考えています。メンバーもさまざまで、それが奈良の特徴だと思っています。たとえば、「奈良まほろばソムリエ検定」という、奈良ファンや奈良に精通している方々を認定する検定があるのですが、その最高峰「奈良まほろばソムリエ」に、当会から3名が合格しています。1300年以上の歴史の中から出題されますから、合格することがなかなか難しい試験です。

また、当会の副会長の渡辺は奈良で起業しておりますが、奈良のスポーツ界を盛り上げようと、「バンビシャス奈良」というプロバスケットボールチームの立ち上げを支援しました。奈良といえばの“バンビ(鹿)”と“be ambitious アンビシャス(大志を抱く)”で「バンビシャス」です。奈良県には、それまでプロスポーツチームが1つもありませんでした。

それぞれ対象は違いますが奈良を盛り上げようという意識は年々高まっているように思います。このような活動に、当会が直接関係するわけではありませんが、間接的に応援しています。

―開設10年以上の研究会「奈良活性化研究会」ではどのような活動をしているのですか。

当会で一番古い研究会が、「奈良活性化研究会」です。奈良の活性化ですから観光、まちづくりを含めて、さまざまな形で支援をしていきたいというのが開設当時からの思いです。2カ月に1度の開催で、奈良で面白い活動をされている方に話をしてもらったり、奈良の今後について議論をしたりしています。補助金の使い方や企業支援について、いまならマイナンバーに関してもそうですし、我々自身が知識として学ぶ必要のあることは、この研究会を通じて勉強しています。

調査研究事業の発表の場になることもあります。基本的には、奈良を盛り上げていくための研究会ですから、どれか1つに絞ってということではなく、さまざまな形で継続していければと思っています。また、当研究会だけは協会員以外も入会できる研究会で、オープンな場になっているのと同時に、会員が会の活動に参加する際の入口機能にもなっています。まずは一度ここに来てくださいと新しい方には声掛けしています。

奈良の産業支援

―奈良県の産業や中小企業の状況についてお聞かせください。

奈良県の中小企業は、下請け企業が多いです。最終商品を持っている企業が少ないため、消費者と直接つながりにくい企業が多い。大企業が少なく、これまであった大企業の本社や工場の県外移転も増えています。

産業としては、北部は筆・墨・茶筅などの伝統産業が今でも盛んであり、中南部では繊維、プラスチック、製薬などの地場産業が根付いています。繊維業は農家で営まれた養蚕業が起点になっているとのことで、冬場の収入源を確保するために盛んになった産業も多いと聞いています。

―もともと、かなり農業が盛んなところなのですね。

大和野菜が有名です。昔は高値で取り引きされる野菜だったと聞いていますが、いま作り手が減少してしまったのには、傷みが早い野菜が多く、あまり市場に乗らないという原因もあります。有名なところでは大和いも、大和まな、大和丸なす、黄金まくわ、大和三尺きゅうりなどがあります。

奈良県は、古くは薬草の産地としても有名で、吉野、高取、明日香は薬の町と言われていました。その影響で、富山と勢力を二分する配置薬のメーカーが奈良にはありました。名の知れたところでは、田村薬品、佐藤薬品がありますし、武田薬品の創業者も奈良の出身です。

―支援活動としては、どのようなことをされていますか。

当会としては、奈良県信用保証協会等の専門家派遣事業、奈良県中小企業団体中央会の学生向け就活支援セミナー、奈良県中央信用金庫の助成金事業等を支援しています。また、創業に関しては、市町村に独自の創業支援経路を求める声が大きく、広くお手伝いをしています。

また、県や市とも広くかかわっています。本連載の第3回に登場する野村陽子さんの会社が受託している「Leapなら」では、県の女性起業家事業拡大支援として、女性支援にもかかわるようになりました。さらに奈良市の案件では、障がい者の方が働いている就労支援施設の調査事業もお手伝いしました。

地方創生について

―「地方創生」についてのお考えをお聞かせください。

1つの鍵は商工会だと思っています。商工会は郡部でも、企業や町、市と手を取り合い、あらゆる人の相談に乗りながら活動しています。そこまできめ細やかに活動できないと、本当の意味での地方創生はできないと思うのです。

やっぱり誰かが本気にならないと進みませんし、たとえば「国や県からおりてきたから活動します」というのでは進みません。最近でいうと、商工会や会議所が作成している「経営発達支援計画」がある意味で1つの軸になると思っています。近畿で認定を受けているのは、2015年7月末時点でまだ篠山市商工会の1つだけです(その後、11月に認定が増え、奈良県でも御所市商工会と橿原商工会議所が認定を受けた)。

いままでどおりではダメだということですよね。本気で「地域をどうするんや!」と考え、周囲を巻き込んで立ててきた計画以外は通らないということではないかと思います。当会は本気で地域のお手伝いをしたいと考えています。

(つづく)

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森 昭彦(もり あきひこ)
1984年に入社した精密機械の販売会社に18年勤務し、技術部門、設計部門、営業部門、情報部門等に従事した後、経営コンサルタントとして独立。企業や個人の新規事業の企画・推進、地域活性化活動などのコンセプト設計と実行計画作成を中心に支援中。相談者一人ひとりによりそって、夢や思いの実現のお手伝いをしたいと考えている。
会社名:有限会社オフィス・ビー 代表取締役 森 昭彦
所在地:奈良県奈良市青山2-3-48
携帯電話:090-9212-6994
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