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地元に根付いた活動報告

地産地診

(12)宮城県編

取材・文:細野 哲平(中小企業診断士)

【第2回】新人企業内診断士の被災地支援にかける思い

取材日:2014年6月30日

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々をご紹介する「地産地診」宮城県編の第2回です。(一社)宮城県中小企業診断協会では、多くの中小企業診断士が被災地の復興支援に関する業務に従事していますが、今回は、平成25年4月登録の企業内診断士である高木順さんに、被災地支援に取り組んだきっかけや地元ならではの被災地支援のあり方について伺いました。

何か自分にできることはないのか

― 高木さんが中小企業診断士資格を取得しようと思ったきっかけを教えてください。

高木 順さん
高木 順さん

私はシステムエンジニアとして働いていますが、お客様と話す際には業務知識が必要となります。そのバックボーンには経営がありますので、共通言語として経営の知識を身につけたいと思い、自己啓発にも役立つ中小企業診断士資格に関心を寄せました。

― 震災当時の様子をお聞かせいただけますか。

当時は中小企業診断士試験に向けて勉強中でしたが、震災から1ヵ月くらいは、まったく勉強できませんでした。それよりも、「どこへ行けばガソリンを入れられるのか」、「生活必需品をどのようにして手に入れようか」といったことばかり考えていました。

しかし、ある程度時間が経つと、震災から立ち直ろうとする人々の姿が目に入るようになりました。そして私も、「自分もやることをやらなければ」という気持ちになり、勉強を再開しました。

― 被災地支援に取り組もうと思ったきっかけは何ですか。

四六時中、中小企業診断士の勉強をしている中で、「こんなに多くの時間を費やしているのに、自己啓発目的にすぎないのか?」という思いが生まれました。震災の被害を目の当たりにし、困っている人が大勢いることを感じる中で、「何か自分にできることはないのか」と思うようになったのです。

― 高木さんが行った被災地支援の取組みを教えてください。

県内の中小企業支援機関の方からの紹介で、震災復興関連の調査分析の仕事をいただきました。アンケート項目の考案からアンケート配布、クロス集計、レポート作成までひととおり行いました。その過程で、沿岸部の大変な状況を思い知りましたが、それがどのように変化しているのかを数字で把握することができ、意義深い仕事でした。

また、沿岸部の仮設商店街移設に関する意見集約のために、事業者の方に対して基礎調査のヒアリングを行ったこともあります。その際は、現地の商店主の方からさまざまなお話を伺いました。

― 地元の中小企業診断士だからこそできることは何でしょうか。

やはり一番は、被災事業者の方の思いを自分のこととして捉えることではないでしょうか。それが地元の中小企業診断士にできることであり、やるべきことでもあると思います。私は幸い、自分も家族も大きな被害は受けませんでしたが、沿岸にいる友人や知人の中には、大きな被害を受けた方もたくさんいます。それゆえに、他人の痛みを自分の痛みとして感じることができますし、そうあるべきだと思っています。

組織の力を使って支援につなげたい

― 企業内診断士ということで、活動にはいろいろと制約があるのではないでしょうか。

実は、私は会社から診断士活動を認めていただき、かなり自由に活動させてもらっていますので、あまり制約を感じることはありません。もちろん、仕事をきちんとやった上で、診断士活動をやることになりますので、時間的に、時には体力的に厳しいこともありますが、好きでやっていることですので苦にはなりません。

― 逆に、企業内診断士だからこそできることはありますか。

高木 順さん
被災地支援に対する思いを語る高木さん

組織の力を活かせることが強みだと考えています。1人ではできないことでも、組織を巻き込み、複数人で取り組むことで、対応が可能になることもあります。先ほどお話ししたように、私は勤務先からかなり自由にやらせていただいていて、収益を出せるのであれば、会社の仕事として取り組み、会社の人員を使うこともできますので、そういった取組み事例を増やしていきたいと考えています。

― 最後に、今後取り組んでいきたいことについてお聞かせください。

これまでの仕事で培ってきた、システムエンジニアとしての経験を活かせるような企業支援をできるようになりたいと思っています。パソコンの使い方ひとつにしても、自分なら当たり前にできると感じていたことが、実は多くの人にとってはそうではないことに気づきました。それができるだけでも、大きな効果が上がることもありますので、そういったことを今後は積極的に発信していきたいですね。

また現在は、受験校の講師をやっております。自分が受験勉強で得たものを、中小企業診断士を目指す受験生の方へ伝えることは、社会に何かしら還元することになると考えています。受験生に対しては、勉強のテクニックだけでなく、中小企業診断士に必要なマインドも含めて伝えていきたいです。

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(おわり)

【関連情報】

高木 順(たかぎ じゅん)
1978年宮城県仙台市生まれ。宇都宮大学卒業後、システムエンジニアとして業務系やインフラ系のシステム開発を数多く経験。2013年中小企業診断士登録。現在は各種システム開発のかたわら、受験生指導や中小企業支援なども行う企業内診断士。