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(10)長野県編

取材・文:住田 俊二(中小企業診断士)

【第2回】診断スキルを後輩に伝えていく

取材日:2013年9月12日

続いて、中堅としてご活躍中の中小企業診断士の代表として、県協会の副会長でもいらっしゃる、黒沢正行さんにお話を伺います。

自身の診断士業務について

― 黒沢さんが診断士資格を取ろうと思われたきっかけは、どのようなものでしたか。

黒沢正行さん
黒沢 正行さん

私は大学卒業後、平成元年から、長野県諏訪市に事務所を構え、外国人と組んで翻訳と輸入の仕事をしていました。輸入では家具を取り扱い、日本の総代理店として、岩手県から熊本県までの家具店を指導していました。その中で、より理論に根づいた指導をしたいと考え、また経営コンサルタントという仕事にも魅力を感じて、経営コンサルタントとして唯一の国家資格である中小企業診断士の勉強を始めました。

一次試験に受かった後の平成10年、「経営コンサルタント募集」に応じて会計事務所に入りました。その後、二次試験にも合格し、平成12年に診断士資格を取得しました。平成16年には、グループ内に会社を作って代表となり、独立しました。

― 現在担当されているお仕事は、どのようなものが主体ですか。

収入面で見ますと、(1)商工団体関係のエキスパートバンクでの経営相談、経営革新の支援、研修など、(2)顧問先からいただく顧問料、(3)その他のプロジェクトなどスポットの業務、がそれぞれ3分の1ずつといった感じです。

(1)は、経営革新はこれまでに約90社の計画承認のお手伝いをしました。(2)は、人事関係の助言や、経営計画を実行する際の、特にお金の面での指導があります。(3)は、賃金の制度改定、会社再建、資金繰り支援などがあります。頼まれれば、「お助けマン」として何でもやるというスタンスです。

― 長野県の診断士業務の特徴として、何かお感じになりますか。

公的機関以外の民間企業では、中小企業診断士の認知度が低いと感じます。「中小企業診断士で○○の仕事ができます」と売り込んでも、なかなか仕事に結びつきにくかったですね。来た仕事は、できる範囲であれば少し無理しても受ける、という姿勢でやってきました。

― 賃金制度についてはご専門ですか。

県内の、この分野に強い先輩に教わりましたし、東京で専門のコンサルタント会社の研修も受けるなどして、スキルアップしました。

賃金の制度改定に関して言えば、東京のように企業数の多いエリアでしたら、当方で「このパターンで行きましょう」と提示してもよいでしょうが、長野県では専門家の数が少ないため、1人のコンサルタントが複数の選択肢を用意し、企業に合わせていくという姿勢がないと、うまく行かないことがあります。また、長野県はそれぞれの地域が盆地ですので、1つの企業で評判が悪くなると風評が広がり、仕事が来なくなる怖さがあります。100点を目指す必要はなくても、ある程度の正解を出し続けていく必要があると思います。経営者のネットワークも密にありますので。

― 研修講師の仕事は、どのようなものが多いですか。

商工団体から受けるもののほかに、社内研修もあります。人材育成、問題解決、目標管理などを内容とする管理職研修を多く手がけています。接遇マナーやコーチングなど自分にできない研修は、ほかの人も入れて、チームで対応しています。

長野県ならではの特徴

― 長野県での仕事の特徴としては、どのようなものがありますか。

黒沢さん、滝澤さん、内田さん
第3回に登場する内田さん(左)と、
滝澤さん(中)ならびに黒沢さん(右)

まず、移動が大変ですね。そのことからか、交通費を考慮されてか(笑)、商工団体では「○○地区なら××さんが優先」などと、いわゆる区割りをされているように思われます。

また全体的に、中小企業診断士として仕事をしている層は薄いと思います。他県のことは詳しくはわかりませんが、県全体としては、コンサルティングの仕事が少ない地域柄かもしれません。私は、34歳のときに診断士資格を取り、仕事としましたが、県内で活動する中小企業診断士としては当時、一番の若手でした。それから10年以上、つい2年前までその状態が続いていました。

― やはり、仕事の絶対量が少ないということでしょうか。

県内の企業は、上場大手はやはり東京のコンサルタントに依頼することが多く、小規模企業は「県内の方で、経営課題に対して適任と思われる方」と商工団体に依頼する傾向があります。その中間の規模で、いわゆる「コンサルティングニーズがあって、お金も多少はある」企業が少ないように思います。そこが空白地帯のようですね。ただ、その市場を発掘してこなかったという点では、地元のコンサルタントとして怠慢な点があったと、反省もしています。

社内研修の講師なども、いまでこそ地元に来ますが、従来は、県内にマネジメント系の研修をできる人が少なく、企業は東京のエージェントに依頼して、東京から講師が来ることが多かったようです。逆に専門性の高い地元のコンサルタントの中には、県内ではほとんど仕事をせず、全国を飛び回っている方もいらっしゃいます。

― 今後の仕事の方向性をどのようにお考えですか。先ほどの「中間規模の企業」という市場を開拓されるとか?

仕事の取り合いはしたくないですね。40代の若手に、取りやすい仕事は取ってもらいたいと思います。自分としては、たとえば賃金制度改定などでも、定期昇給が当然でなくなってきた時代に即した新たな方法を考え、仕事を開拓する必要がありそうです。また、経営計画を作る技術などは汎用的なスキルですので、経験の浅い若い中小企業診断士に、プロコン塾などできちんと伝えていきたいと思います。そのほかにも、いろいろと考えているところです。

― では最後に、これから中小企業診断士を目指そうと考えていらっしゃる方に、資格の魅力を挙げていただけますでしょうか。

中小企業診断士になるには、いろいろなことを勉強する必要がありますが、資格を取っても、その知識だけでは通用しません。企業に実際に適用するには、自分のスキルとして消化し、コンサルティングノウハウにしていく必要があります。その過程は、自由で創造力のある仕事で、そういったことにもっとも魅力を覚えます。

また自分の言ったこと、やったことで企業さんが変わるのを見るのは、やりがいがあります。「収益が上がった」、「会社が明るくなった」、「規模が大きくなった」など、時間はかかってもそういうお言葉をいただくと、この仕事を選んでよかったと感じます。自分自身が成長できるということもありますし、企業が成長するのを目の当たりにできるという両方の点が、中小企業診断士の魅力ですね。

あとは、「自由」ですね。お金は「不自由」かもしれませんが(笑)。たとえば、「来週は1週間休んで旅行に行こう」などと、自分で仕事のペースを選べるのがいいですね。

(つづく)

黒沢 正行(くろさわ まさゆき)
株式会社MKコンサルティング代表取締役。一般社団法人長野県中小企業診断協会副会長。1965年長野県生まれ。1989年より諏訪市で貿易会社を経営。1998年会計事務所勤務後、2004年に株式会社MKコンサルティングを設立して独立。マーケティング戦略の立案支援、賃金体系の構築支援、中期経営計画の立案支援などのほか、研修講師や各種調査研究に携わる。

会社名 株式会社MKコンサルティング
所在地 〒390-0875 長野県松本市城西2-5-12
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