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地元に根付いた活動報告

地産地診

(10)長野県編

取材・文:住田 俊二(中小企業診断士)

【第1回】産業経済人、地域づくり人を支援する

取材日:2013年9月12日

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々をご紹介する「地産地診」。今回は、長野県の皆様をご紹介します。
 長野県中小企業診断協会は、独自の活動に積極的に取り組み、企業支援や地域づくり支援、さらには人づくりの支援を強化しています。今回は、長野県協会会長の滝澤恵一さんと中堅・若手会員の方にお話をうかがいました。最初に、長野県協会の概要と特色を、会長の滝澤恵一さんにお聞きしました。

長野県協会の概要

― まずは、長野県中小企業診断協会の概要をお聞かせください。

日本政策金融公庫の事業説明会
日本政策金融公庫の事業説明会

当協会は会員数105~110名ほどです。会員以外も含めると、県内に中小企業診断士は220~230名ほどいらっしゃると思いますが、その中で開業者は約30名。中小企業診断士としてバリバリやっている方は、そのうちの15~20名程度です。最近は、若くして独立する方が増えてきているのが嬉しいですね。得意分野もさまざまな方がいらっしゃいます。

― 最近の協会のトピックスとしては、どのようなことがありますか。

昨年来、金融機関や行政など公的機関と連携を深めています。

まず2012年9月には、県内に4支店を持つ日本政策金融公庫と業務提携の包括契約を結びましたが、その事業説明会が、2013年10月に開催されました。長野、松本両支店の支店長および担当者より、農林漁業事業、国民生活事業、中小企業事業の融資制度のポイントなどを、当協会員にご説明いただきました。会員にとっては、各事業について理解を深める良いきっかけとなりました。今後も、公庫様との共同企画による経営セミナーや経営相談会の開催が予定されています。

また今春には、長野県信用保証協会とも連携し、元気な中小企業を診断する取組みを50件ほど行う予定です。これは、ベテランと若手で組んでやっており、若手も2年目からは後輩を指導できるようになることを期待しています。

― 長野県はとても広い県です(面積13,562km2で、北海道、岩手県、福島県に次ぐ広さ)が、広いがゆえの困難さはありませんか。

たしかに広いですが、協会としては特に支部を設けるなどの対策はとっていません。ただ、ベテランの方は、県内で行っていないところはないほどだと思います。たとえば、上田から飯田へは、車で片道3時間かかります。3時間あれば、東京まで新幹線で往復できますが、案件があればどこへでも行きますね。

― 長野県の診断士業務で、特徴的なものはありますか。

長野県は農業林業が盛んですので、たとえば林業では森林組合や木工関係の診断ですとか、農業関係では農商工連携や6次産業化などの案件が多いのが特徴と言えます。

― これからの協会の運営方針をお聞かせください。

平成25年春の総会から新体制になりました。具体的には、副会長と常任理事に担当を持ってもらい、その責任体制の下に若い理事についてもらって、分業体制で活動しています。

また、どこの協会でも同じだと思いますが、プロコンとしての品格と品質アップを心がけています。「プロコン育成塾」を、開業した(もしくは開業予定の)若手中心に平成22年度から始め、現在3期目です。1、2期は私と金丸修一副会長が担当しましたが、3期目は黒沢正行さん、原祐治さんが担当しています。

― 原さんは、この育成塾の卒業生とうかがいましたが、そのように順番に引き継がれていくのは素晴らしいですね。

はい。そのほか、企業内診断士の方の活躍の場を広げたく、企画を練っています。具体的には「ものづくりの再生」として、メーカーに勤めている診断士の方をネットワーク化し、中小企業の企画設計から製品化までを行いたいですね。県の商工労働部からも強く要請されています。

また60、70歳代の会員の方にも、マイペースで診断できる場を提供できるように、プロジェクトを立ち上げる予定です。合い言葉は、「若い者には負けないぞ」です。青年部が元気ですので...。

人づくりを支援

― 「産業経済人、地域づくり人を支援する」というモットーを掲げられていますが、「地域づくり人」とはどのような方をイメージされていますか。

滝澤恵一会長
滝澤 恵一 会長

「商店街の活性化」や「中山間地を元気にしたい」といった課題に取り組む方をイメージしています。これからは、地域づくりに取り組む人材育成や、そのプランづくりの分野が広がりそうです。

― そのほかに何かお考えでしょうか。

最近は、「鎖国状態から脱しよう」と訴えています。北関東信越ブロックをはじめ、全国の協会と広く人的な交流を行い、さまざまな能力を持つ方々から影響を受けたいと考えています。業務のテーマも複雑多岐にわたっていますし、能力的にも長野県だけでは不足することもありますので。たとえば、県内のある町から依頼された案件では、長野県3人、愛知県3人の診断士がチームを組み、町から高い評価を受けました。

交流・情報交換会の模様
交流・情報交換会の模様

また、本年度からの当協会の新しい企画として、協会会員の交流・情報交換会がスタートしました。会員がそれぞれ自己紹介などを行い、ゲームを通して、普段はなかなか接点のない開業診断士と企業内診断士、若手とベテランが自由に交流することができました。これまで知らなかった会員の意外な一面を知ることもでき、大いに盛り上がりました。

― 県協会のパンフレットにコンセプトマ―クがありますが、一見して長野県とわかるものですね。

これは、平成24年に制定したものです。中小企業診断士が、「成功という頂を目指す道のりをサポートする」という意思を込めています。寄り添う3つの山は、信州の3つのアルプス―北アルプス、中央アルプス、南アルプスで、自然豊かな信州を象徴しており、またこの地域での「協調」や「融合」も意味しています。

診断士資格との出会い、そして独立へ

― では、滝澤さんご自身のことについてうかがいます。まずは、診断士資格を取ろうと思われた経緯を教えてください。

長野県協会のコンセプトマーク
長野県協会のコンセプトマーク

私は上田の出身ですが、東京の大学に進学しました。4年生のときに大学院に進むつもりだったのですが、卒業直前に父が入院し、兄弟では男1人でしたので、断念して上田に帰りました。そのとき、大学の親しい同級生から診断士受験を勧められたのが、資格との出会いです。こちらで就職して働きながら診断士受験の通信教育を受け、一度で合格することができました。

― それは素晴らしいですね。

ただ、それだけでは仕事はできないと自覚し、上京して社会保険労務士事務所に勤めながら勉強して、社会保険労務士にも合格しました。そして30歳で再び帰郷し、10年間、食料品販売会社の営業として勤務しました。その中で仕事の一環として、顧客であるスーパーマーケットのバイヤーなどに対し、売場づくりのアドバイスなども手がけるようになりました。

― いわゆる「リテールサポート」の典型ですね。

そうです。そのスーパーに対しては、値づけやチラシ作成までアドバイスをしました。特売なども成功させましたが、社内で上司から昇進を言われた際に、無意識に「独立宣言」をしてしまったのです。こうして、平成4年1月1日に、40歳で中小企業診断士および社会保険労務士として独立しました。

― 「無意識に」とおっしゃいましたが、日頃から「いずれは独立したい」と意識されていたのでしょうか。

その10年間、意識はしていました。勤務の中でも、経営にかかわること、人事関係などは意識して勉強していましたね。

― 現在のお仕事は、どのような方面が多いのでしょうか。

周りからは、「何でもできるのですね」と言われますが、たしかに建築、メーカー、農業、林業、商店街、中心市街地活性化など多岐にわたっています。1人でできない場合は、チームを組むこともあります。

― 滝澤さんのメールの署名には、「2019年ラグビーW杯選手村を菅平に!」とありますが、ラグビーとのかかわりはどのような経緯からですか。

明治大学で、選手ではありませんでしたが、ラグビーに親しみました。実は、菅平高原のグランドやスキーリフトを設計したのは、私の父です。帰郷したときに上田ラグビークラブを作るなど、何でも言い出しっぺでやってきました。2019年W杯の合宿地は2015年に決まりますので、それまでが勝負です。施設を作るための資金の手当てなどは大変ですし、国内でライバルとなる都市も多数あります。菅平高原には、芝のグラウンドが120面あり、うち人工芝が10面ですが、これはギネスブックに登録される予定なんです。

(つづく)

滝澤 恵一(たきざわ けいいち)
滝澤恵一事務所代表。一般社団法人長野県中小企業診断協会会長。1951年長野県生まれ。大学卒業後、東京での社会保険労務士事務所勤務を経て、1981年より上田市で食料品販売会社に勤務。1992年1月、滝澤恵一事務所を設立して独立。商業、サービス業、飲食業、農林業などの会社、公営施設、農協、森林組合、農商工連携などの経営指導や、経営者、幹部、管理者、営業担当者などの教育研修、さらに商店街、中心市街地活性化、むらおこし、まちおこしにかかわる経営指導を行う。

会社名 滝澤恵一事務所
所在地 〒386-0025 長野県上田市天神3-7-5
ホームページ http://kaisei-japan.jimdo.com/
E-MAIL noside@janis.or.jp
TEL 0268-22-3380