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地元に根付いた活動報告

地産地診

(8)岡山県編

取材・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

【第2回】商工会・商工会連合会の存在意義

取材日:2012年11月17日

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々をご紹介する「地産地診」岡山県編の第2回。今回は前回に引き続き、岡山県商工会連合会の地域経済対策課で主任専門経営指導員を務める春名文人さんと、同・津田健治さんにお話をうかがいました。

私が考える診断士資格の必要性

「実践と理論」の講義
心の師匠・片岡講師の「実践と理論」の講義

― 商工会と商工会連合会の役割の違いについて、ご説明いただけますか。

春名:商工会連合会は、傘下の商工会を指導する立場にあります。岡山県の場合、20の商工会があり、地区ごとに担当が分かれています。機能別では総務系と組織系、経営支援系に分かれ、商工会のサポートをしています。連合会主体で運営しているのは、人事、研修、商工会の運営に関する指導です。その中でも経営支援系は、商工会の経営支援を指導する立場にあります。

― 商工会連合会や商工会の存在意義は、どこにあると考えていらっしゃいますか。

春名:商工会があるのは、ほとんどが都市部ではないんです。人口減少と高齢化が進む中、商売を成り立たせるには限界があります。一方で、住民の利便性を確保したり、地域の活性化、雇用の創出などを担ったりするのが商工会です。また、全国津々浦々にあるので、インフラ整備ができており、人材も豊富です。中山間地域で、あるビジネスモデルを試して実績ができると、全国津々浦々にある商工会というインフラを活用して、横展開ができることも大きなメリットです。

― たしかに、民間のコンサルティング会社や中小企業診断士一個人ではできないことですね。次に、岡山県商工会連合会の活動の柱を教えてください。

春名:岡山県内の商工会をとりまとめる役割を担っています。具体的には、経営指導員の育成、地域産業を創出する調査・研究です。その取組みの第一歩として、私たちは経営支援強化班(以下、強化班)を連合会の経営指導員3人で発足し、その拡充に努めています。強化班の目的は、経営指導員の資質を向上させることです。その1つの成果が、農商工連携の調査・研究から発展し、岡山6次産業化サポートセンターとして認定されたことです。

― 岡山の地元企業には、どのようなニーズが多いのでしょうか。

春名:最近は、事業承継のご相談が多いですね。財産権ではなく、経営権の承継です。この対応には、中小企業診断士が適任だと思います。税理士ですと、どうしても税金の話が先にきてしまいますので。

そのほかに、多店舗化のご相談もあります。自社の1店舗目の強みを2店舗目に展開させるやり方がわからないんですよね。特に、美容・理容の分野で多いですが、今後は合併や事業譲渡の案件も増えていきそうです。業種で言えば、建設業と自動車販売業です。1社あたりは、3,000~5,000万円規模でも、地域で合わせると3~4億円になります。

― 最後に、経営指導員にとって中小企業診断士の知識は必要でしょうか。

春名:必要ですね。商工会の経営指導員で診断士資格を持っていない人はたくさんいらっしゃいますが、持ったほうがいいと思います。むしろ、それくらいの勉強はしなくてはいけないと、強く勧めたいです。そのうえで、経営に携わったことがある、特定の業種に特化した専門家の力を借りればいいんです。中小企業診断士という肩書きだけでは、専門性があるとは言いがたいですからね。

街づくりに携わりたい!

続いてお2人目は、岡山県商工会連合会で、春名さんと同じく主任専門経営指導員を務め、強化班のメンバーでもある津田健治さんにうかがいました。

津田健治さん
津田健治さん

― 最初に、津田さんのご経歴をお聞かせください。

津田:25歳までは、自動車販売会社で営業をしていました。この仕事に移ったきっかけは、非常に多忙で休みもなく、転職を考えていたときに、新聞に掲載されていた岡山県商工会連合会の研修生募集の記事に出合ったことです。

「あなたも私たちと一緒に、街を元気にしませんか?」というキャッチフレーズにひかれ、商工会と商工会議所の区別もついていないレベルで、面接に行ったんです。とにかく、街づくりに携わりたかったんです。と言うのも、神戸にある大学在学中に、阪神・淡路大震災で被災し、復興にかかわるアルバイトをして、「1回壊れても、また創り上げる人のパワーってすごい。でも、皆の力が合わさらなくてはできないんだ」と痛感したんですね。

― 実際に、商工会連合会に入ってみていかがでしたか。

津田:最初に携わった経営指導員らしい仕事は、連合会主導で行ったFC調査でした。専門指導員を補助しながらFCの実態調査を行ったのですが、当時の飲食店専門のFCチェーン(フランチャイザー)の親会社には、資本の豊富な医療メーカーが多いことを知りました。それを知ったとき、世の中は目に見えるものと実態が違うことを実感しました。これは、実際に対峙している企業の背景がわからなくては、意味がないということでもあります。

もう1つ研修生時代に思ったのが、「経営指導員という名前が怖い」ということです。経営者から教えられることのほうが多いのに、指導員という肩書きで接しなくてはいけない。この怖さが原動力となって、「知識を持っていなくては、話してもらえない」と思い、独学で勉強を始めたんです。税理士や社会保険労務士などの勉強を経てようやくたどりついたのが、診断士資格でした。平成15(2003)年のことですが、私はそれまで専門家を活用したことがなかったんです。専門家が必要な領域に、気づいてすらいなかった。自分ではそれなりにやっていたつもりですが、それまで支援してきた事業所にとっては、最高の選択肢ではなかったかもしれません。

ちょうどその頃、春名さんと出会ったのですが、実は私にとって一番身近な目標が春名さんで、私の原動力なんです。まだ私が知らない世界を教えてくれる存在であり、他の視点での見方も教えてくれる。自分にない人脈、着眼点、発想力を持っていて、自分と同じ場で同じ苦労をしている。だから、目標になるんです。本来であれば自分が失敗すべき失敗を、先にしてくれているんですね。そのうえで、転ばないような杖も作ってくれている。

― 同じ職場の先輩の存在が、診断士資格を取る原動力にもなったということですね。

津田:動機としてはもう1つ、平成12(2000)年に配属先の商工会事務局長の勧めで国の直轄事業を企画提案したことがありました。そのときに、商工会と専門家のつながりと同時に、支援機関の幅の広さも感じました。専門家と話をしていたときに経営用語がわからず、診断士資格を取ろうと思ったんです。ただ、勉強すればするほど、診断士資格取得はスタートラインに立つ手段にすぎないことがわかりました。自分がわからない状態にあることすら気づかずに仕事をしていたことで、経営者を苦しませてしまったこともありましたから。

(つづく)

【参考】

団体名 岡山県商工会連合会
所在地 〒700-0817 岡山市北区弓之町4-19-401
ホームページ http://www.okasci.or.jp/
E-MAIL shokoren@okasci.or.jp
TEL 086-224-4341
FAX 086-222-1672