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地元に根付いた活動報告

地産地診

(7)埼玉県編

取材・文:鈴木 佳文(中小企業診断士)

【第1回】県協会として診断士が活躍する場を作る

取材日:2012年9月1日

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々をご紹介する「地産地診」。今回は、埼玉県の皆様を取り上げます。埼玉県中小企業診断協会は、関東農政局が公募していた6次産業化の取り組みを行う農林漁業者を支援するために設置する「6次産業化サポートセンター」業務を受託しました。サポートセンター業務を受託するに至った経緯や県協会の活動について、県協会会長の高澤彰さんと3人の若手に伺いました。

◎まずは「診断士を食える仕事にしたい」と力強く話す高澤会長に、埼玉県協会の取り組みと6次産業化サポートセンター業務受注の経緯について伺いました。

診断士の能力を底上げしながら活躍の場を増やす

― 埼玉県協会として、どのような方針で運営・活動をされているのでしょうか。

高澤会長
高澤埼玉県中小企業診断協会会長

高澤:埼玉県中小企業診断協会は、現在約230名の会員で構成されていて、15の研究会と3つのプロコン塾が活動しています。一般社団法人化に伴って、「診断士が食える受注の場を作る」ことを大きな柱にして積極的に活動しており、活動領域を増やしている最中です。組織の力を高めるために、企業内・独立の区別なく、診断士であれば活躍の場が作れるようにしています。特に、親分-子分の関係を作らないように注意しています。

― 親分-子分の関係がないというのは良いですね。

高澤:一言で言えば「閉鎖的にしない」ということです。理事は自分の仕事を取るような動きはせず、会員の活動領域を広めるための活動をしています。

― 「閉鎖的にしない」ということは、広く公募するということでしょうか。

高澤:地域の金融機関と連携して、県協会に仕事の情報が集まるようになっていますが、基本的には受注した人が適任だと思った人を選任します。これは、品質保証の観点からも信用できる人を選ぶ必要があるからですが、同じ人ばかりにしないように注意しています。不足する人員については公募して、選定委員会で決めています。県協会に所属する人には、得意分野などの情報をデータベースに登録してもらって、登録者には情報を回すようにしています。

― なるほど、一部の人だけで情報が止まらない仕組みなのですね。受託する業務はどのようなものがありますか。

高澤:公的機関の相談員、再生支援協議会の専門家派遣、トラック協会の診断業務、福祉関係の診断、融資診断、産業廃棄物関連、街づくり、6次産業化サポートセンター業務などを受託しています。

― どのような人が活躍していますか。

高澤:埼玉県協会は、公的な支援機関などとの連携が取れており、これまで先輩方が蓄積してきた実績や信用から、中小企業診断士に対する理解や期待が高いという特徴があります。年配のベテランから若手まで、幅広く活躍していますよ。案件ごとに担当理事を決めて、品質を維持することに努めるだけでなく、未経験でも成長する機会が得られるように、経験豊富な人と未経験の人をペアで派遣することもしています。いただけるフィーは折半にして、ベテランはノウハウを伝え、未経験の人も先輩に頼りきりにならず責任を持って仕事に臨むことを促しています。一部のスタープレイヤーが活躍するのではなく、全員が何かのオーソリティになることを目指しています。今回のインタビューに参加した若手3名も最前線で活躍していますよ。

― 県協会として若手育成に熱心なことが伝わってきますね、ありがとうございます。若手の皆さんのお話は後でまた伺います。次は、6次産業化サポートセンター業務について、担当の近藤美恵子さんから伺います。

6次産業化サポートセンターを受託して

― 埼玉県協会は、今年度、関東農政局管内(1都9県)で唯一、6次産業化サポートセンター業務を受託したわけですが、その経緯と受託できたポイントはなんでしょうか。

福田和歌子さん
近藤美恵子さん

近藤:まず、説明会に参加して応募するところからスタートしました。公的支援機関から仕事をもらうという姿勢ではなく、こちらから積極的に取りに行く。仕事をもらうから仕事を作るという姿勢に転換していたことが挙げられます。すでに6次産業化に取り組んでいたノウハウを持っている人と組んで申請書類を1週間で書き上げました。やはり、実務を知っている、現場に精通している人が加わることが大切です。今回は、農業系にノウハウを持つ人、農商工連携に精通している人が加わっていたことが大きいですね。

― 6次産業化サポートセンターとして、どのような業務を運営・管理されているのでしょうか。

近藤:立ち上げが平成24年7月からなので、本格的な運営はこれからです。もともと農業関係は、6次産業化にまで行くような案件は少ないのです。だからこそ、農家に経営の視点を持ってもらうこと、言い換えれば儲かる農業を実践していただくために、中小企業診断士が果たす役割は大きいと思います。センターの業務としては、窓口相談、研修会、交流会(生産者と販売者のマッチングなど)、6次産業化認定支援(専門家の派遣など)、を行っています。現在、スタッフが交代で受付を担当しています。今のところ、埼玉県協会が他の県協会の先駆けとなっているので、しっかり実績を作って、横展開できるように協会をあげて取り組んでいるところです。

― 6次産業化でも人材育成を進めているのでしょうか。

近藤:6次産業化サポートセンター業務の受託に際して、研究会を立ち上げてやる気があれば初めての人でも参加できる体制を作りました。全会員向けの入門セミナーを実施するなど、研究会と併せてノウハウの横展開を図っています。支援の現場で積極的に学ぶつもりがあれば成長できます。

― なるほど、埼玉県協会に所属している診断士はやる気さえあれば支援ノウハウを学ぶ機会が多いのですね。

近藤:重複会員制度がありますので、他の県協会に所属している方でも埼玉県協会で活動できます。特に、埼玉県在住の方は参加しやすいのではないでしょうか。

― 近藤さん、説明ありがとうございます。次は、若手3人の活動について伺います。

(つづく)

高澤 彰(たかざわ しょう)
中小企業診断士 (有)タカザワ企画代表取締役
昭和40年生まれ。大阪経済大学経営学部卒業後、ダイドー株式会社に入社。機械要素品卸売業の営業として従事。平成14年に中小企業診断士として独立。営業を切り口とした企業の事業計画作成から体制構築、運用支援を中心に活動。
現在、(一社)埼玉県中小企業診断協会会長として、中小企業の支援及び地域経済発展に寄与するために活動している。
著書『儲けてなんぼ !!!「法人営業」実習ノート』(同友館)、『儲けてなんぼ !!!「そこそこの営業」実習ノート』(同友館)。
(独)中小企業基盤整備機構関東本部地域支援ネットコーディネータ(中小企業支援ネットワーク強化事業サポート本部)、(財)秩父地域地場産業振興センター産学官コーディネータ、越谷市産業雇用支援センター二番館インキュベーションマネージャー、NPO法人事業活性化支援機構理事、(一社)埼玉県中小企業診断協会会長、(社)中小企業診断協会理事および同業務委員、実務補習指導員


近藤 美恵子 (こんどう みえこ)
中小企業診断士 近藤美恵子コンサルティング事務所代表
中央大学商学部商業貿易学科卒業後、日本インベストメント・ファイナンス株式会社(現大和企業投資株式会社)に勤務。在職中は企画調査部門において営業支援や広報、投資事業組合設立に従事。2001年に経営コンサルタント会社にて株式上場支援、事業計画策定支援。2009年に埼玉県創業・ベンチャー支援センターにて創業アドバイザーに就任。
他に(独)中小企業基盤整備機構にて地域資源、農商工連携支援アシスタントマネージャーとしての経歴もあり。
中小企業診断士登録は2007年。2009年に事業再生士補(ATP)登録。「経営革新の認定とその効果」「農商工連携の現状について」「ビジネスプランブラッシュ・アップセミナー」などのセミナー実績がある。