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地元に根付いた活動報告

地産地診

(6)熊本県編

取材・文:大石幸紀(中小企業診断士)

【第3回】県内の経営に関するお困りごとに、すべて対応したい

取材日:2012年8月3日

「地産地診」熊本県編の最終回は、ブレス・マーケティング代表で、一般社団法人熊本県中小企業診断士協会会長の鹿子木康さんにお話をうかがいました。

中小企業診断士になって、中小商店・企業の経営のお手伝いがしたかった

― 鹿子木会長が、中小企業診断士になられたきっかけを教えてください。

鹿子木康さん

私は、熊本の大手広告代理店で営業をしていました。入社以来営業一筋で、総合広告代理店でしたので、新聞、テレビ、ラジオ、イベントと幅広い媒体を扱い、営業から企画の立案、クライアント担当者との打ち合わせまでをこなしていました。

34歳の頃だったでしょうか、地元の中小企業・商店を担当することになりました。街中の店舗に飛び込み営業をかけ、経営者に広告の必要性を説いては、受注を獲得していきました。

受注後は、大手企業なら販促担当者と打ち合わせをしますが、中小商店では社長やオーナーと打ち合わせをすることになります。彼らからは、広告への投資に対する真剣さが強く伝わってきました。自分が提案した広告の成果が、彼らの経営に直結しているからです。それまでは、受注の数字を追うことばかりに目が向いていましたが、経営者と向き合っていると、否が応でも広告の効果に責任を感じるようになります。決して安くはない広告費という投資をさせておいて、効果がなかったと言われると、心から申し訳ない気持ちになってきました。

そしてだんだんと、営業数字だけでは割り切れなくなってきました。経営者の必死な姿勢と接するうちに、中小商店・企業の経営にもっと入り込んで経営のお手伝いができないか、そんな思いが強くなってきたのです。

そんな時、書店で偶然、中小企業診断士に関する書籍を目にします。それまで私は、中小企業診断士の存在をまったく知りませんでしたが、そこに書かれていた中小企業診断士の姿こそ、自分の求めていた職業でした。「素晴らしい。自分は中小企業診断士にならなければいけない」という思いで、私はあれほどやりがいを持っていた広告代理店を、受験勉強に専念するためにきっぱりと辞めてしまいました。思い込みが激しいんですね。

― それは、思い切りのいいことをしましたね。その後、すぐに中小企業診断士になられたのですか。

正直、診断士資格の勉強をなめていました。あまりに中小企業診断士のことを知らなかったため、すぐに合格できるものだと思っていたのです。熊本から福岡の受験校に通って勉強を始めましたが、だんだんと、これはすぐに受かるような試験でないとわかってきました。しかし、時すでに遅しで、元いた会社には戻れません。そこで、1回目の受験に失敗した後、生活のこともあって地元の中小企業に再就職しましたが、合格までには結局、6年間を費やしました。

でも、この6年間は、中小企業で働くことの大変さを、身をもって体験した期間でもありました。現在、中小企業を支援している自分にとって、支援先の人々の気持ちを理解するうえで、とても良い経験になったと思っています。

― 合格後は、すぐに中小企業診断士として活動を始めたのですか。

登録した年の秋、晴れて独立を果たしました。ありがたいことに、中小企業診断士の勉強中に再就職した企業や会計事務所、知人等からさまざまな仕事をいただき、順調な1年目をおくることができました。

現在の専門分野は、中小企業の営業力・販売力強化に基づく繁栄計画書づくりの支援です。中堅の中小企業とは民間対民間の顧問契約を結び、役員の相談に乗ったり、営業社員の営業力強化指導を行ったりしています。また小規模なところでは、支援機関の公的サポートを活用して、支援を行っています。

現在の仕事こそ、中小企業診断士の存在を知って勤め先を退職した当時、夢に描いていたものです。「なんて良い仕事をしているんだ」と思っています。たしかに、中小企業診断士になってからは、年によって仕事量に波があります。しかし、やりがいを持ちながら、その波に乗っていままでやってきました。

県内での認知度を高めたい

― 続いて、一般社団法人熊本県中小企業診断士協会の会長として、お話をうかがいたいと思います。

鹿子木康さん

会長といっても、平成24年5月の総会において就任し、3ヵ月あまりしか経っていません。会長としての仕事はまだこれからですが、まず3つの事業方針を掲げました。

【事業方針】

1.会員向け事業の充実を図り、会員の資質の向上を図る。

2.一般社団法人熊本県中小企業診断士協会の認知度を高める。

3.法人化に伴い、新たな事業機会を確保するために、市場開拓に取り組む。

平成24年4月に法人化したことに伴い、会員の負託に応えるとともに、協会を効率的かつ効果的に運営していくために、会員事業、広報PR事業、研修事業、受注促進事業の4つを柱にすることも決めました。この4事業にそれぞれ委員会をつくり、役員が委員長を兼務し、推進していきます。

― 鹿子木会長が、特に力を入れていこうとお考えの事業はありますか。

一般社団法人熊本県中小企業診断士協会には現在、64名の会員が所属しています。企業内診断士の方が半分くらいです。企業内の方も、独立している方も、それぞれの分野で仕事のスペシャリストであることには違いありません。この熊本で、これほど多様な分野でのスペシャリストが、一堂に属している組織は他にはありません。

自分の役割の1つは、この多様性のあるスペシャリスト集団を、熊本経済を支える中小企業に対して直接アピールし、知っていただくことだと思っています。いままでは、私たちと県内中小企業のかかわりは、公的な支援機関を通じたものが多かったのですが、このかかわり方に加えて、県内の中小企業に接触する機会を増やし、営業活動、PR活動をしていこうと思っています。

たとえば、当協会は36年前から継続して新入社員研修や営業研修を開催し、幅広い県内の中小企業から社員を派遣してもらっています。そういった歴史のある活動を、もっともっと知ってもらいたいと思っています。

― どのような診断士協会を目指されているのでしょうか。

営業活動を通じて、県内での経営に関するお困りごとは、当協会に頼めばすべて対応してもらえる、そのような認知度を高めたいと考えています。

会員の幅広い知識と経験が、協会を通じて熊本県内の中小企業に提供されれば、経営力は高まり、県民の所得は向上します。そして、協会は安定的な運営ができるようになりますし、会員は仕事を通じて、中小企業診断士としての資質を高めることができます。協会では、このような三方良しの姿を目指しています。

― ありがとうございました。最後に、これから中小企業診断士を目指される方にひと言、お願いします。

私は、独立までの経緯で大失敗をしていますから、しっかりとした計画性を持って独立してほしいと思います。もしも1年間仕事がなかったとしても、食べていけるだけの準備をしていただきたいですね。極端な話をすれば、中小企業診断士でなくても食べていけるだけの力を、いまの仕事でつけておいてください。お客さんの見込みをつくっておくなど、独立前に助走期間をとるのもよいでしょう。計画性は本当に大切ですよ。

(おわり)

鹿子木 康(かなこぎ やすし)
ブレス・マーケティング代表。大学卒業後、地元広告代理店等で営業職を経験。1998(平成10)年4月、中小企業診断士登録。同年11月に独立開業。ランチェスターの弱者の戦略を活用した、中小企業の営業力・販売力強化に基づく繁栄計画書づくりを得意とする。

会社名 ブレス・マーケティング
代表 鹿子木 康
所在地 熊本県菊池郡菊陽町原水3245
ホームページ http://f.a-keiei.com/bless-m/
E-MAIL kanakoghi@nifty.com
TEL 096-232-9070
FAX 096-232-9080