経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

地元に根付いた活動報告

地産地診

(6)熊本県編

取材・文:大石幸紀(中小企業診断士)

【第1回】税理士事務所内にコンサルティング部門を作りたい

取材日:2012年8月3日

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々をご紹介する「地産地診」。今回は、熊本県の皆様を取り上げます。熊本県は現在、2011年3月の九州新幹線開通、ゆるキャラ「くまモン」の誕生、そして2012年春に熊本市が政令指定都市となるなど、注目を集めています。
トップバッターは、松田中行税理士事務所に勤める企業内診断士の福田和歌子さんです。ご自身の経歴や、中小企業診断士としての今後の展望などをうかがいました。

自分に必要な資格は、中小企業診断士だった

― 中小企業診断士を取得されたきっかけを教えてください。

福田和歌子さん

私は、平成22年10月に中小企業診断士として登録しました。現在も、税理士事務所に勤める企業内診断士です。今の税理士事務所に勤めて、15年ほどになります。

税理士でなくても、一担当者として経営者に接していれば、経営に関するアドバイスを求められる場面が多くあります。しかし自分には、その知識が不足していました。本当の意味でお客様の役に立ちたい、経営者と同じ視線でアドバイスができるようになりたい、そんな思いが日に日に高まっていきました。この思いが、私が中小企業診断士を目指した原点です。

― 税理士ではなく、中小企業診断士を選ばれたのですね。

もちろん、税理士を勉強しようかと思ったこともあります。でも、税金は利益が出てから悩む問題です。それよりもまずは、税金を払える企業になるご支援をしたいと思ったのです。担当している企業さんは、さまざまな経営課題をお持ちでした。自分にまず必要なのは中小企業診断士としての能力だと思い、中小企業診断士を選びました。

― 資格取得には、どれくらいの期間がかかりましたか。

足かけ5年かかりました。最初の1年目は通信講座を利用しましたが、受験校に通ってDVD講義を受講したりもしました。その後、何年も通信講座を続けるのはお金がかかるので、途中から独学に変更しました。勉強するのは、ほとんどが通勤電車とカフェでした。自宅や図書館では静かすぎて、勉強できないタイプなんです。

― 勉強をしていて、孤独感はありませんでしたか。

受験生のためのWebサイトから情報を入手して、モチベーションを維持していました。孤独感はありませんでしたが、「2次試験にはいつまでも受からないのではないか」という気持ちに陥ったことはあります。コツをつかむまでは、無理なんじゃないかなって。自分がどれくらいの実力なのかもつかめなかったので、たまに上京して受験校の単発の講座に参加していました。4回目の受験で2次試験に合格したときは、ホッとしましたね。

小規模企業の力になりたい

― 診断士試験に合格してから、仕事に変化はありましたか。

福田和歌子さん

本当は、税理士事務所内にコンサルティング部門を作りたいという思いがあったのですが、合格しただけの知識ですぐにコンサルティングができるわけではないという現実を知りました。ただ、中小企業診断士になってからは、中小企業診断士のことをご存じの経営者の方から相談に乗ってほしい、監査役になってほしいというご依頼を受けるようになりました。

また、自身の仕事に対するこだわりも変わりました。「私は中小企業診断士なのだ」という自覚から、以前よりも仕事を深く追求するようになったのです。また、「中小企業診断士なのだからやれるはず」という自信や、「ここまでやらないと」というプライドのようなものもできた気がします。

― 勤め先以外で、中小企業診断士として活動をされることはありますか。

勤務先公認のうえで、熊本市のビジネス支援センターで経営相談員を担当しています。私が所属する一般社団法人熊本県中小企業診断士協会には、女性の中小企業診断士が2人所属しているのですが、その1人として窓口で相談に乗っています。

― 中小企業診断士としての活動について、今後の展望をお聞かせください。

今の仕事の環境は、中小企業診断士としては恵まれていると思っています。熊本では、中小企業が経営相談をできる相手は、税理士しかいないと思われている気がします。しかし、税理士事務所で対応できる内容は、どうしても税務中心です。私の事務所には中小企業診断士である私がいるので、幅広い相談内容にも対応できる、というようになればと思っています。私が担当している企業さんには小規模なところが多く、社長室や経営企画室がありませんので、私が外部からそうした役割を担えればと考えています。

実際、私が中小企業診断士になってからは、そういった傾向にあります。同僚から相談を持ちかけられたり、「担当先に一緒にアドバイスに行ってもらえないか」という依頼を受けたりすることも増えてきました。自分は守るよりも攻めるタイプですので、どんどんとお客様のところに出向いて行けるのは、性格的にも合っています。

― 最後に、中小企業診断士を志している方にひと言、お願いします。

中小企業診断士は、人数の分だけ活かし方も異なる資格だと思います。とても自由な資格ですし、自由だからこそ難しい資格です。

私自身は、取得してから逆に悩みが深くなりました。自由だからこそ、自分の進むべき道を決めなければいけません。受験勉強の知識では通用しませんから、取得後にどの分野を深めていくか、その探求は現在も続いています。すべては、受かってからの自分しだい。中小企業診断士は、そんな面白い資格です。

(つづく)

福田和歌子(ふくだ わかこ)
愛知大学文学部卒業。松田中行税理士事務所勤務。平成22年10月中小企業診断士登録。地元中小企業の経営と税務を日常的にサポートすべく活動中。「今日より明日」をモットーに日々、奮闘する。