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地元に根付いた活動報告

地産地診

(5)沖縄県編

取材・文:宮澤 俊基(中小企業診断士)

【第2回】これまでの経験を活かし、新規事業の拡大に取り組む

取材日:2011年11月17日

「地産地診」コーナー・沖縄県編の第2回目は、(株)ネクストシステム・コンサルティング代表取締役であり、(社)中小企業診断協会沖縄県支部常任理事でもある銘苅康弘さんにお話をうかがいます。

人とのご縁を大切にし、地元・沖縄で独立

― 独立の経緯を教えてください。

銘苅康弘さん

独立する前は、大手コンピュータメーカーで、銀行や小売店向けのシステムを開発するシステムエンジニア(SE)をしていました。30歳くらいまでは、ずっとシステム開発をしていましたね。本当に顧客に求められているシステムは、単に会社の一部分を見ているだけでは作れません。広い視点に立ち、経営全般を見渡しながら仕事をすることが求められていました。

その中で出会ったのが、中小企業診断士という資格です。診断士資格を取得してからは、自社内の原価管理のシステム設計をする部門に異動していましたが、そのときの仕事が経営企画部門のような業務でしたので、しだいに私自身の興味もエンジニアから経営に移っていきました。さまざまな顧客への提案も、経営的な観点から行いたいという思いが強かったですね。

そうした仕事をしていくうちに、独立して仕事をしたいという思いがどんどん強くなってきました。当時は東京で働いていましたが、沖縄出身でしたので、沖縄で独立したいという思いもあり、中小企業診断士の方の飲み会に参加したりして、人脈形成をしていきました。診断士資格を取得したのが40歳のときでしたので、そこから6年間は会社の仕事をしながら独立準備をし、4年前の46歳のときに退社して、独立しました。

実は、会社を辞めてすぐに、中小企業診断士としての仕事を始めたわけではありません。仕事をしながら、もっと経営の勉強をしたいという思いもありましたので、2年間は大学院のMBAに通っていました。診断士事務所として看板は掲げてはいましたが、大学院の勉強が忙しく、ほとんど中小企業診断士としての活動はできませんでした。ですので、大学院を無事に卒業してから、晴れて独立をしたことになりますね。

― 独立して最初に行った仕事は何でしたか。

銘苅康弘さん

私も西里支部長と同じように、(財)沖縄県産業振興公社の嘱託職員として、月に14日くらい勤務したのが最初の仕事でした。元々、会社勤めをしている頃から面識のあった振興公社の担当者の方に、「沖縄に仕事があるから、そろそろ戻ってくる気はないか」と声をかけてもらったのがきっかけです。失礼な話ながら、私も沖縄に仕事があるとは思っていなかったので、東京で仕事を始めようと思っていました。けれども、せっかく誘っていただいたのもご縁だと思い、決心して戻ってきました。自分の中に、やりたいことを実行していきたいという思いもありましたから、月に14日だけしか拘束されないのも魅力でしたね。

当時担当していた仕事は、沖縄県内の離島の特産品開発という仕事でした。県内には、大小さまざまの島がありますけれど、3名の担当者が4島ずつくらいを担当して、支援を行いました。具体的には、島で捕れる魚から加工品等を作る会社等について、平成23年3月まで支援を続けました。いまも那覇空港にある三越の売店では、私が開発に携わった商品が販売されています。

特産品開発といっても、支援する会社の規模も経営資源もすべて違います。その会社に適したものを、いかに作り上げていくかという観点から診断もでき、長期的な視点に立った支援もできましたので、とても勉強になりましたし、やりきったという思いが強いです。

― 現在は、どのようなお仕事をされていますか。

産業公社での仕事は、平成23年3月でひと区切りとなりましたので、それからということになりますが、いまは中小企業支援ネットワーク事業のアドバイザーといった公的な仕事が3割、自分自身がやりたいと考えていたIT系の新規事業が3割、後の4割が中小企業診断士の先輩や企業の紹介等での仕事になっています。

平成23年5月に株式会社を立ち上げましたが、これはIT系の新規事業を進めていくためでもあります。これまでも、コンサルティングを1つのサービスとして提案してきましたが、蓄積した経験を活かすべく、飲食店や小売業向けに、データ分析からコンサルティングに結びつけるようなITサービスの仕組みを、製品として販売する事業です。いまはもう1人、共同経営者として一緒にやってくれる仲間がいて、一緒に製品を販売したりもしています。現在は2社に導入してもらっていますが、販売するものがITなので、よりよいものを追求するためにも、日々改善している状況です。

地元に根ざしたサービスを提案

― ITサービス事業を始めようと考えられたきっかけは何だったのですか。

銘苅康弘さん

平成23年1月に、沖縄県内のIT産業の調査を行ったのがきっかけです。この仕事も、西里支部長から声をかけていただいた仕事でしたが、調査をしていく中で、本当に多くの問題や課題があり、産業自体が自立できていないことを強く感じました。元々いた業界がシステム業界で、IT業界のことはよく知っていましたので、調査報告書にはあるべき姿を書いて提案しました。

けれども、このまま報告書にあるべき姿を書いて提出しただけでは、机上の空論です。自分でそれを形にしてみようと考えたわけです。この調査をする以前から、これまでの経験を整理して支援先に提案できる形にする必要性を感じていましたので、よい機会だと思って取り組みました。できる、できないは別として、言いっぱなしにはしたくなかったですし、しっかりと形にしていきたいと考えたのがきっかけでしたね。

― 今後は、この新規事業を育てていきたいということですね。

そうですね。私は現在50歳ですけれど、55歳くらいまでにはしっかりと形にしていきたいと考えています。そして、できればそのサービスを私個人が属人的にやっていくのではなく、より多くの会社がよくなるように広めていきたいですね。55歳から60歳までの5年間は、そのサービスを広めていくための仕組みづくりに充てたいと考えています。

― 沖縄で仕事をしたいと考えている中小企業診断士に、ひと言お願いします。

私も沖縄に戻ってくるまでは、本当に仕事があるのか、食べていけるだけの収入が得られるのか不安でした。けれども、いまの沖縄は、西里支部長はじめ多くの方が、中小企業診断士を活用するための土壌を作り上げてくれています。ですので、これから独立したい人も、すでに独立している人も、働きやすい環境にあると思います。

慣れない風習はあるかもしれませんが、見えていなかったものが新たに見えるようになることで、新しい選択肢が広がると思いますので、多くの方の新しいエッセンスをどんどん注入してほしいと思っています。

(つづく)

銘苅 康弘(めかる やすひろ)
大手コンピュータメーカーで長年、システムエンジニア(SE)を経験後、2007年に退職し、中小企業診断士として独立開業。並行して慶應義塾大学大学院でマーケティングを研究し、MBAを取得。2011年、SE経験で培ったITスキルとコンサルティング経験を結集し、中小企業向け成果報酬型ITサービスを開発、提供する事業を法人化し、立ち上げた。(社)中小企業診断協会沖縄県支部常任理事。

会社名 株式会社ネクストシステム・コンサルティング
代表取締役 銘苅 康弘
所在地 沖縄県那覇市前島3丁目2-5 仲本ビル2F
TEL 098-988-4581
FAX 050-3033-3503
URL http://www.nextsystemconsulting.com/