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地元に根付いた活動報告

地産地診

(4)栃木県編

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第2回】業務拡大に注力し、若手診断士の育成に取り組む[2]

取材日:2011年8月4日

新しい事業の創造と開拓に励む

― 現在支部長を務められている(社)中小企業診断協会栃木県支部は、どのような方針で運営されているのでしょうか。

栃木県支部では、商工会議所や行政機関から、継続的に受託している既存事業がいくつかありますが、支部の方針として、なるべく独立してから年数の浅い方に、それらの既存事業に取り組んでいただくように機会を提供しています。既存事業は、ベテランの中小企業診断士ばかりがやるべきではありません。我々ベテランの役割は、新しい事業の創造と開拓だと思っています。

支部の活動に対して、私は明確な考えを持っています。栃木県支部の会員は、大半が独立している方々です。支部の活動は、個人の中小企業診断士ではできない規模の仕事を、組織として獲得または創造することに、直接結びつくものでなくてはならないということです。

新しい仕事の獲得と創造のために、どのような活動をするべきかという意識を常に持ちながら、会員の皆さんにも支部活動に取り組んでいただいています。こういった意識を持つことで、栃木県内での会員診断士の活躍の場が拡大し続けているのだと思っています。

前回、水沼さんの話で中小企業診断士養成塾の話が出ましたが、2005年当時、栃木県の協会加入者数は、ずっと減少していました。業務拡大には、マンパワーが必要です。栃木県は東京からも近いので、さまざまな企業が参入してきます。それなら、自分たちで仲間を養成してしまおうと、若手の伊藤一嘉先生を中心にLLPの形で、別途、中小企業診断士養成塾を立ち上げました。栃木県の産業活性化に寄与する仕事を栃木県支部として創造し、その担い手に会員になってもらうという仕組みを作ってきました。

― 具体的には、どのように業務が広がっているのでしょうか。

栃木県支部が、行政の産業観光系の部署から獲得してきた信頼が、他部署に広がっています。生活系の部署からNPO支援の業務を受託したり、農政系の部署から直売所活性化の業務を受託したりと、幅広い分野で栃木県の産業や生活の向上に、地元の中小企業診断士が貢献する形ができつつあります。

各都道府県の中小企業再生支援協議会が扱う2次案件は、栃木県が全国で一番多いのです。その2次案件の多くを、栃木県支部の会員診断士が支えています。その中で、独立1年目の方にも参加してもらえるように、機会を提供しています。水沼先生のように、その経験をきっかけにして、その後のご自身の業務拡大に活かしてもらいたいのです。もちろん、与えられた機会をその後活かせるかどうかは、その方次第なのですが。

新人にも業務に従事する機会を与えるサイクルを支部が維持するには、ベテランになったら診断協会だけに頼らず、ご自身で仕事を獲得してもらうことが前提となります。そういった意識を、この栃木県支部の会員の皆さんには持っていただけていると思います。

― 次に、栃木県支部の研究会の運営方針を教えてください。

矢口季男さん

栃木県支部には、建設業研究会、企業再生研究会、パブリックビジネス研究会、農業研究会という4つの研究会があります。研究会の方針は、仕事の獲得につながる研究をすることです。単なるスキルアップのみを目的とした研究会は存在しません。昨年から企業再生研究会は、一般の方に向けてのセミナーを始めました。またパブリックビジネス研究会は、地元商工会議所に働きかけて、創業塾を開催することになりました。

「企業内診断士のほうを向いていない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、こうして仕事を創造し続けることで、現在は企業内の方が将来独立を考えられた時に、業務に携わる機会を提供したいと思っています。

― 今後の栃木県支部の方向性についても教えてください。

現在は、1人の中小企業診断士の力では対応できない案件が増えています。企業再生にしても、計画書の作成は1人でできますが、計画の進捗をフォローするには、それぞれの専門分野を持った中小企業診断士が複数人でチームを作って取り組むことで、成果を上げやすくなります。

診断協会として事業を受託し、会員診断士を3~5人のチームに編成して、中長期的に企業の支援に取り組んでいくような仕組みを構築する必要性を感じています。責任の所在や品質の維持等の問題がありますが、診断協会で保証するなど、ある程度のリスクも診断協会が負ってやっていく。そういうことが求められているステージに、この栃木県支部はきているように思います。

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(つづく)

矢口 季男(やぐち としお)
(有)情報ビジネスコンサルティング代表取締役。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、建設業の経営に携わった後、平成元年中小企業診断士として独立。栃木県内の中小企業診断士としてはパイオニア的な存在。現在は、建設業の新分野進出や再生支援にも取り組む。(社)中小企業診断協会栃木県支部支部長。

会社名 有限会社情報ビジネスコンサルティング
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