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地元に根付いた活動報告

地産地診

(4)栃木県編

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第1回】企業の事業承継を自分の支援テーマに活動中[1]

取材日:2011年8月4日

地域に根づいた活動を行う中小企業診断士の方々をご紹介する「地産地診」。その第4回目は、栃木県の皆さまを取り上げます。トップバッターとして、(株)サクシード代表取締役の水沼啓幸さんに、お話を伺いました。

銀行員からの転身

― 中小企業診断士になったきっかけを教えてください。

水沼啓幸さん

中小企業診断士の勉強は、大学生時代からしていました。私は2000年の就職氷河期に社会人になりましたが、当時はもう、入社した企業に一生勤められる保証はないというのが当たり前になっていました。ですから私も、「10年でスキルを身につけて独立する」といった思いで就職活動をしていました。そして、銀行なら短期間にさまざまな職種を勉強できて、中小企業診断士の勉強も活かせるのではないかと思い、地元の地銀に入行しました。

しかし、入行当初は、勉強したことを活かせる環境にはなく、勉強するモチベーションも下がっていきました。そんな中、入行3年目の頃でしょうか、金融検査マニュアルができて、行内で中小企業診断士を養成する方針が打ち出されました。融資先企業の事業再生計画を、中小企業診断士が支援するようになったのも、この時期でした。私の銀行でも、現在お付き合いのある先輩診断士の方に、再生計画の策定支援をお願いしていました。こうして、中小企業診断士の職域が、まさに目の前で広がっていくのを、実感していました。

― それで再び、中小企業診断士になりたいという思いが再燃したのですね。

入行5年目(2005年)の頃に、県内在住の中小企業診断士の方々が、若手の育成を目的として、「中小企業診断士養成塾」を始めました。講師の皆さんは、実務をやっている地元の先輩診断士の方々です。私は、その第一期生なんですよ。先輩の皆さんには、「資格を取ったら独立しますのでよろしくお願いします」と言いながら勉強していました。

第1次試験に合格してから銀行を退職し、法政大学大学院の中小企業診断士登録養成課程へ進みました。合格したら、次は社会人大学院のビジネススクールでも勉強したいという思いを持っていましたので、同時に希望が叶う法政大学大学院を選んだのです。

大学院での研究テーマには、「事業承継支援の実態」を選びました。養成塾で教えていただいた現役の中小企業診断士の方々や地元企業を訪問し、栃木県における事業承継の実際を調査しました。また、(社)中小企業診断協会栃木県支部に事業承継をテーマにした研究会があったので、飛び入りで参加させていただき、お話を聞かせてもらったりもしました。

そして、この研究のおかげで、中小企業診断士になる前に栃木県の先輩診断士の皆さんに自分を知ってもらい、独立後の早い時期からお仕事の声を掛けていただきました。

― 実際に独立をしてみて、いかがでしたか。

伊藤一嘉先生(右)と
伊藤一嘉先生(右)と

独立して最初の3ヵ月は、仕事も収入もありませんでした。どうなってしまうのかという不安も、正直ありました。でも、やるべきこと、行くべき場所はたくさんありました。大学院時代に事業承継を研究したことをアピールするために、業務案内を作りました。退職した銀行の支店長や先輩、研究でヒアリングをさせていただいた地元企業、先輩診断士など、訪問すべき先をリスト化し、業務案内を手に一軒一軒、足を運びました。50ヵ所以上回りました。

中小企業診断士としての最初の仕事は、栃木県支部からいただきました。栃木県支部がすごいと思うのが、独立して間もない自分のような者にも、チャンスを与えてくれることです。事業再生のチームに加えていただき、事業デューデリジェンスや計画策定に携わらせていただきましたが、プレッシャーも相当感じました。

事業再生を経験すると、他の先輩診断士の方にチームに誘っていただいたり、銀行時代の同僚から「うちでも経営改善書を作ってくれ」と声がかかったりするようになりました。経験が信用になり、次の仕事をもたらしてくれたのです。栃木県支部には本当に感謝しています。

― 独立1年目にして、順調なご活躍ですね。

順調かどうかはわかりませんが、独立して3ヵ月が経過した頃からは、仕事が途切れることはなくなりました。現在は1年5ヵ月目ですが、なんとか収入的にもやってこれています。中小企業診断士を辞めようと思ったこと、後悔したことは一度もありません。

独立初年度は、事業再生企業の計画策定支援がメインの業務でしたが、2年目に入ると、前向きな企業のマッチングや商品開発、地域活性化の支援が加わりました。自分が大学院時代から研究してきたテーマである「事業承継」が周囲に認知していただけるようになるにつれ、後継者との関わりが多くなったことが理由です。同世代同士の目線で、事業承継を一緒になって進めてほしいという依頼が増えています。

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