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地元に根付いた活動報告

地産地診

【第3回】体験を販売し、地元と都心をつなぐ

取材日:2011年5月1日

最終回となる今回は、篠田さんが実施している地元農家への支援について、お話をうかがいました。

農業体験イベントを通じて、地元農家を支援する

― 農業体験イベントを始めたきっかけを教えてください。

ドリプラを開催する後押しをしてくださった方が、畑を持っていたことがきっかけです。地元の人から見れば当たり前でつまらないことでも、都会の人から見れば新鮮で刺激的な体験になる。体験するためにお金を払う人がいるのだから、これは絶対にビジネスとして成立すると考えました。そこで、有志が集まって「太平楽」というチームをつくり、「てんぐれまんぐれ」と銘打ったイベントプロジェクトをスタートしました。

― これまでに、どのようなイベントを行いましたか。

「たけんこ掘り」の様子
「たけんこ掘り」の様子

「たけんこ掘り」、「お茶摘み体験」、「じゃがいも掘り」、「ホタルの夕べ」、「ジャンボにんにく掘り」、「すだて遊び」、「とうもろこし朝採り会」、「ゆず胡椒作り」などです。

― 楽しそうですね。「たけんこ掘り」は、私もぜひ体験してみたいですね。

次回はぜひ、参加してください。初めは地元の農家の人も、「そんなことをやって、人がくるのか?」と懐疑的ですが、実際にやってみると、若い人や子どもが参加するので皆さん、元気になるんですよ。高齢化が進んでいて、手を入れないといけないところに手が届かないケースでも、代わりに若い人たちが作業してくれる。一方で若い人たちは、都会ではできない体験をして楽しめる。農家の人と若い人たちが交流できてお互いに嬉しいし、私たちは体験コースの提供で商売ができるんです。

― 皆が、Win-Winの関係になるわけですね。

でも実は、苦戦中です。チームメンバーそれぞれがほかにメインの仕事を持っていることや、安定的に集客できるノウハウを構築できていないので、収支はかなり厳しい状態です。

― そうなんですか。イベントだけでなく、特産品などの販売窓口としても期待できるように感じたのですが。

もちろん、最終的には共感の絆でつながった、圧倒的なロイヤリティを持つ消費者コミュニティを形成していくことを狙っています。ただ、現状での販売窓口としては、インターネット経由で紹介する仕組みを立ち上げ、試験運用を始めているところです。

地場産品を販売する新しいチャネルをつくる

― ネット通販ということでしょうか。

単なるネット通販ではありません。私たちのサイトでは、商品というより物語を売ることをコンセプトにしています。商品の背景にあるストーリーや生産者の思いをクローズアップすることで、高い付加価値を提供します。商品そのものが良質であることは大前提ですが、「共感」をキーワードにリピーターを増やしていくことを模索中です。

― 同じようなことをしているネット通販の会社もありますが。

私たちは開発段階からかかわるなど、生産者とじっくりかかわった商品のみを取り扱います。短期間で大量に販売するよりは、生産者と二人三脚で、長い時間をかけてファンを増やしていく作戦です。そういう意味では、ネット通販会社の戦略とは似て非なるものと考えています。いまのところは、ドリプラでかかわった人たちの商品を取り扱っていますが、ノウハウが蓄積できたら、農業体験イベントや地場産品もラインアップに加えていきます。夢を軸に地域の活性化を図っていきたいので、サイトの名前も「夢実現本舗」としました。

(株)さわやの元気な従業員
(株)さわやの元気な従業員

先にお話ししたドリプラで配った、「夢をイメージしたお菓子」も販売しているのですが、これは夢を語る会で和菓子屋さんの従業員が語った夢からスタートしています。夢で企業が元気になるモデルケースになっていると思います。

― あくまで、夢が軸なんですね。

そうです。これまでドリプラにかかわってきた実感として、明確な夢に向かって進んでいる人は強いものです。その一生懸命な姿勢に協力者がどんどん増えていきますし、その姿を見て周囲の人も元気になっていきます。新しい地域活性化の形として、大人だけでなく子どもも一体となって取り組んでいく。その軸として、夢が大きな力を発揮します。大人が夢を語る姿を見て子どもが何かに気づき、大きく成長していく姿は感動的です。まだまだ壁は高いですが、あきらめずにこの取組みを続けていきます。

取材を終えて

工学博士の資格を持つ中小企業診断士と聞くと、理系で堅苦しい印象がありますが、篠田さんは穏やかな笑顔とフランクな語り口で、ご自身の夢を語ってくださいました。「コンサルティングも面白いけれど、自分で商売がやりたいですね」という前向きな姿勢が印象的です。

コンサルティングの1つの形として、クライアントの抱える問題を分析し、適切なアドバイスをするというものがあります。しかし、篠田さんの手法は正反対で、基本的に助言をしません。「中小企業診断士に期待する」で取材させていただいた方々から出てきた「一緒に汗をかく」という課題に対する答えの1つが、「夢を共有し、傍らにいて励ます」ことなのかもしれません。取組み姿勢や視点を変えるだけで、中小企業診断士にはさまざまな可能性が広がっていると思えた取材でした。

(おわり)

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篠田 法正(しのだ ほうせい)
株式会社LBC(ライフ&ビジネスクリエイト研究所)代表取締役。1962年名古屋生まれ。大手化学メーカーの研究開発部門で20年間、キャリアを積む。新素材の研究開発に携わった経験を持つ工学博士として、「理系思考で問題の本質を見抜く」コンサルティングで2007年に独立。マーケティングや新事業展開、起業支援を中心にセミナー、コンサルティング活動を展開中。工学博士、中小企業診断士、(財)生涯学習開発財団認定シニアスキルリーダー、日本FP協会認定AFP(ファイナンシャルプランナー)、日本技術経営責任者協議会認定技術経営責任者、金融検定協会認定ターンアラウンドマネージャー。

会社名 株式会社LBC(ライフ&ビジネスクリエイト研究所)
代表取締役 篠田 法正
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