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地産地診

【第3回】独立1年目で活躍する中小企業診断士
シンプルシステム代表・伊藤勝彦さんに聞く

取材日:2010年12月11日

「地産地診」コーナー・山口県編の最終回は、平成22年に独立開業したばかりのシンプルシステム代表・伊藤勝彦さんにお話を伺いました。

多くの人に支えられて

― 独立の経緯を教えてください。

私は、平成22年2月に独立開業したばかりの駆け出し診断士です。私が開業した周防大島は、瀬戸内海で3番目に大きい島です。私は、この島で育ちました。

伊藤勝彦さん

大阪で10年間、IT系の会社でシステムの運営から開発までを担当していましたが、広島県にJターンしました。就職したのは、中小企業を顧客とする各種データの入力や集計、コールセンターの運営等、企業の情報処理を請け負う会社でした。

広島で中小企業を相手に日々、仕事に打ち込みながら、自分の将来を漠然と描いたとき、自分が生まれた周防大島の地域と企業に対して、何らかの貢献をしながら生きたいという思いがありました。そして、貢献のためにはITだけの知識では足りないと思い、中小企業診断士を目指しました。4年かかって合格し、平成21年に中小企業診断士として登録した後、翌年開業しました。

― 独立されたばかりの伊藤さんですが、現在はどのような分野のお仕事をされているのでしょうか。

周防大島で、中小企業診断士として生活が成り立つのかという不安はありました。いや、いまでもあります。でも、独立して10ヵ月が経ったいまは、毎日忙しくさせてもらっています。それは、こうして谷口会長や原副会長をはじめとする中小企業診断士の先輩の皆さんに出会うことができ、多くの機会をいただいているからです。

現在の仕事は大きく分けると、中小企業診断士としての仕事とIT情報化の仕事、資格取得支援の仕事の3つに分けられます。1つ目の中小企業診断士としての仕事は、公的なものが100%です。そしてそのほとんどが、ここにいらっしゃる谷口会長や原副会長をはじめ、(社)山口県中小企業診断協会の諸先輩方から紹介していただいた仕事です。

― それは、とてもありがたいですね。そのほかの2つについては、いかがでしょうか。

大阪時代のシステム開発の経験が活きて、IT関係の依頼もいただいています。これが、2つ目の仕事です。ホームページを立ち上げ、運営してほしいという依頼や、広島時代の経験から、データ処理や集計の依頼もいただきます。

また、オリジナルの携帯電話を活用した顧客管理システム、日報管理システムを開発し、保有しています。それらの販売や保守も、今後力を入れていきたい分野です。

3つ目の仕事として、関西の資格取得専門学校で通信講座運営を担当させていただいています。自分はとても運がいいと思っているのですが、その学校は関西圏に所在しているにもかかわらず、代表者の方が私にチャンスを与えてくださったのでしょう、周防大島でも可能な通信講座の運営を任せていただいたのです。

私は多くの人に支えていただき、順調に中小企業診断士としての道を歩んでいると思います。

― 順調とは、素晴らしいですね。こうしたお話は、地域で独立開業を志望している中小企業診断士の方に勇気を与えますね。

はい。この山口県で、30代で独立している中小企業診断士は、私だけです。そのこともあるのでしょうが、先輩方からは「伊藤を育てよう」という温かいお心が伝わってきます。まだ独立したばかりの頃、谷口会長は私を公的な中小企業支援機関に連れていき、キーマンの方に紹介してくださいました。そのときにご紹介いただいた方から現在、ご依頼を頂戴することが多くあります。協会の先輩方には、心から感謝しています。

都道府県支部の枠を超えて連携

― 原先生が、中小企業診断士が都道府県支部の枠を超えて連携することの価値をお話しされていましたが、すでに伊藤さんはそのような活動をされていると伺いました。

活動の足は車。自社のロゴマークを入れて.
活動の足は車。
自社のロゴマークを入れて。

(社)中小企業診断協会では、新たな診断支援技術を開発することを目的に、各都道府県の支部の枠を超えた協会会員で構成するグループに、調査・研究事業を委託しています。開発成果は、報告書として診断支援現場において活用するとともに、一般に公開して、中小企業自らが経営改善・経営革新に利用できることを目的にしています。

私は、山口県の中小企業診断士でグループを構成し、首都圏の中小企業診断士と連携することで、山口県の農商工事業者の生産品について首都圏で販路を開拓する事業スキーム、題して「セールスレップによる販売開拓ビジネスモデルの策定・研究」を構築し、この調査・研究事業に応募しました。

首都圏の連携先としては、(社)中小企業診断協会東京支部城東支会の山下義先生を中心とする中小企業診断士の皆さんにご協力いただき、首都圏の小売事業者さんに対して、山口県の生産品の営業活動を行ってもらっています。

― 具体的には、どのような活動をされているのでしょうか。

われわれ山口県の中小企業診断士グループが、県内の前向きな農商工事業者さんを選定し、マーケティングプランを構築させていただきました。その後上京して、山下先生ほか3名の中小企業診断士の方にプランを聞いていただき、プランに関する意見交換を行ったうえで、現在首都圏にいる中小企業診断士の皆さんには、すでに販路開拓活動を行っていただいています。そして、販路開拓に成功した場合は、売上高に応じて事業者さんから一定の成果報酬をいただき、山口県と首都圏の中小企業診断士で分配するセールスレップというスキームです。

非常に真剣に取り組んでいただいている首都圏の中小企業診断士の皆さんからは、「これなら、何とかなりそうだ」というお話もいただいています。活動は、4事業者に対して山口県・首都圏それぞれ1名の中小企業診断士が担当するチーム制で、そのチームに、さらに首都圏の中小企業診断士の方のネットワークを活用していただき、他の首都圏の中小企業診断士にも参加してもらいつつ、販路開拓を行っています。

― 伊藤さんが感じられている手応えは、いかがでしょうか。

私が担当しているのは、ジャムを製造販売している企業なのですが、自分自身でも足を動かし、飛び込み営業も行っています。事業者さんとの連携を強めるために、知識の提供だけでなく、自ら足を動かすことから始めました。そして、飛び込み営業先からの注文をいただくことが出来て成果の一つとなりました。

この調査は、平成23年2月末が報告期限ですので、そこまでの活動を報告書に取り上げますが、その後も首都圏の中小企業診断士の方と相談のうえ、活動を継続したいと考えています。

販売成果はこれからですが、感触としては今後、全国の中小企業診断士が連携して提供できるスキームになる可能性を感じています。1つ心配だったのが、企業さんが成果報酬に対し、どう反応するかということでしたが、この4つの事業者さんにはいずれも、前向きにとらえていただいています。「首都圏に販路を持てるなら、売上高の10%を支払うのはやぶさかではない」と、報酬についてはスムーズに話が進んでいます。

この調査・研究事業に応募したことをきっかけに、県内の前向きな企業さんと触れ合う機会を得ました。今後も継続して支援ができればと思っています。また、周防大島の地域経済発展には、大都市圏での販路開拓という命題は避けて通れませんので、自分が進むべき方向性が見えたことにも、大きな意義があると感じています。

― 本日、皆さんにお話を伺って、山口県の中小企業診断士が活発に活動されていることが強く伝わってまいりました。ありがとうございました。

(おわり)

伊藤 勝彦(いとう かつひこ)
「ITと総合経営コンサルティング」のシンプルシステム代表。IT/情報処理関係の業務経験を経て、2010年2月に山口県周防大島で開業。IT/情報処理を得意としているが、自らも飛び込み営業等の営業経験があることから、販路開拓代行や販売促進支援にも定評がある。

会社名 シンプルシステム
設立 2010年2月
代表 伊藤 勝彦
所在地 山口県大島郡周防大島町東安下庄2811-36
TEL 080-7002-3310
MAIL itoh@hisyscon.jp
URL http://www.hisyscon.jp/