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地元に根付いた活動報告

地産地診

【第2回】具体的なソリューションの提供がカギ
(社)山口県中小企業診断協会副会長・原義夫さんに聞く

取材日:2010年12月11日

「地産地診」コーナー・山口県編の第2回目は、(社)山口県中小企業診断協会の副会長であり、はら経営株式会社代表の原義夫さんにお話を伺います。

会社員時代の経験を活かして

― 独立の経緯を教えてください。

私は、生まれは山口県ですが、東京の大学を卒業してそのまま出版社に入社し、営業や新規事業開発を担当しました。平成14(2002)年に山口県にUターンし、中小企業診断士として独立開業しました。生まれ故郷とは言っても、ビジネスの人脈が少ない中での独立でしたので、当初は仕事の確保に苦労しました。

原義夫さん

翌年、中小企業再生支援協議会が立ち上がり、当時の診断協会の会長にご推薦いただいて、サブマネージャーに就きました。この職を、平成20年までの5年間、担当しました。

私は会社員時代に、マーケティング戦略の立案力と実行力、新規事業を立ち上げる力をつけさせてもらいました。キャッシュが潤沢な企業でしたので、やるべきことが資金によって制約されることは、ほとんどありませんでしたが、中小企業再生支援協議会では一転して、資金繰りに苦しむ企業と接することになり、資金繰りや収益性の改善について多くの経験を積みました。そのおかげで現在、私が経営するはら経営株式会社では、前向きな中小企業、改善が必要な中小企業の両方に支援を行っています。

― 現在は、どのようなお仕事が中心なのでしょうか。

事業の割合は、経営革新や創業塾等、セミナーの講師が2割、中小企業のコンサルティングが8割です。コンサルティング受託先としては、民間と公的なものの割合が7:3くらいでしょうか。そのうち、経営改善支援と、将来に向けての経営戦略立案や新事業開発といった前向きな企業の支援の割合は、5:5くらいです。

最近は、製品開発や新事業創出、新市場の開拓といった依頼が増えています。会社員時代に培ったマーケティングスキルを活かし、効果的な販売促進の方法や、Webやさまざまなメディアの活用方法を指導することが増えています。

やるべきことは決まっている

― どうすれば、原先生のように経営改善が必要な中小企業と前向きな中小企業、両方の支援ができるようになるのでしょうか。

経営改善を必要としている企業の多くは、資金が円滑に循環しないという問題点を抱えていますので、第一に資金を何とか回してあげることが必要です。やるべきことは決まっているのです。

また、改善を必要とする会社が陥っている業績悪化の原因のパターンは、それほど多くありません。その中から原因を見極め、ピンポイントで改善方法を提示することです。中小企業は大企業と違って、いくつもの改善策を同時には実行できないのですから。

経営改善を必要とする企業の多くは、当たり前のことを当たり前に実行できるようになれば、ゼロベースに戻ります。支援先企業を、当たり前のことを当たり前に実行できる企業へと導くことは、経験さえ積めば、すべての中小企業診断士ができるようになる領域だと思いますし、また、ならなければならないと思っています。

(社)中小企業診断協会として、中小企業診断士の知名度を上げるためにどのような広報活動をすべきかという議論が交わされますが、1人ひとりの中小企業診断士が中小企業の経営改善という結果を出せなければ、どんな広報活動をしても成果は出ないでしょう。

― 前向きな中小企業に対する支援方法は、いかがでしょうか。

業績のよい前向きな企業に対する支援には、中小企業診断士個々のオリジナリティが求められ、ある程度の専門分野の確立が必要だと思います。しかし一方で、すべての中小企業診断士が貢献できる方法があります。それは、企業間のマッチングの機会を提供することです。

原義夫さん

成長志向の会社に共通してみられる特徴に、技術、ノウハウ、情報に関して、他企業とのマッチングの機会を欲していることが挙げられます。そして、前向きな中小企業はマッチングの相手を県外、さらには海外に求めます。そのため、県が活動の単位である個人の中小企業診断士や、都道府県の(社)中小企業診断協会の支部では現在は、それら前向きな企業のニーズに十分には応えられていないのです。

しかし、個人ではそのニーズに応えられなくても、中小企業診断士同士が都道府県の枠を超えて情報交換をできれば、その場に参加する中小企業診断士を介したビジネスマッチングの機会が提供できるようになります。地域の有力な中小企業には、誰かしら中小企業診断士がかかわりを持っているはずです。全国の中小企業診断士が、各県の前向きな中小企業の代理人として一堂に会し、マッチングの相手を探す―そうした場を、(社)中小企業診断協会本部が中心となって創造することが必要だと思います。もし、こうした場の創造がリアルでもバーチャルでも実現すれば、中小企業診断士が全国の前向きな中小企業に提供できる新たなソリューションとなり、中小企業診断士の社会的存在意義は必ず、上がってくるはずです。

現在は、診断助言をして、「あとは企業が自力で頑張ってください」という時代ではありません。経営改善を要する中小企業、前向きな中小企業のどちらに対しても、具体的なソリューションを提供できてこそ、中小企業診断士の社会的存在意義を示すことができるのではないでしょうか。

(つづく)

原 義夫(はら よしお)
はら経営株式会社代表取締役。教育系出版社で新事業開発部門等に従事後、独立開業。現在は、中小企業の新事業開発、販路開拓等の成長戦略支援を中心に、経営改善支援まで行っている。(社)山口県中小企業診断協会理事・副会長。

会社名 はら経営株式会社
設立 2009年11月
代表取締役 原 義夫
所在地 山口県山口市黄金町2-19-903
TEL 083-921-3295
FAX 083-921-3295