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複数回受験で1次試験を突破した合格者座談会

司会・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

【第2回】苦労したからこその1次試験攻略法

出席者(発言順):安藤実彦/上品香代/大森渚/吉成篤
司会・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

取材日:2012年6月11日

中小企業診断士1次試験を3回以上受験した経験をお持ちの、4名の合格者の方にお集まりいただいた座談会の2回目。今回は、皆さんが1次試験に苦労された理由や、最短で合格するための秘訣についてうかがいました。

1次試験を合格した経験があっても、不合格になる理由

司会:前回に引き続き、皆さんが1次試験合格までに苦労した理由をうかがっていきます。上品さんは、いかがですか。

上品香代さん
上品 香代さん

上品:私は、大森さんや吉成さんとは違って(笑)、過去問を中心にやったので、1回目の1次試験で合格できました。私は、覚えたことを記憶に定着させるコツは、忘却曲線(覚えた事柄が時間の経過とともに忘れ去っていく様子を図示したもの)をなだらかにすることだと思っています。最初に覚えたのと同じ箇所を、1週間後、さらに2週間後、1ヵ月後とくり返すんです。ただ、このやり方自体は効果的だと思うのですが、1次試験に一度受かると、その後はモチベーションが落ちてしまい、学習が面白くなくなってしまって...。そこで再受験時は、試験前の早い時期から学習してもモチベーションが続かないだろうと考え、1次試験前の1ヵ月間に短期集中で取組むことに決めました。でも、過去問と答練を解き直したのですが、その量が1科目あたり50問程度と圧倒的に少なくて、残ってしまったのは苦手科目ばかり。「経済学」、「経営法務」、「情報システム」の3科目だったのですが、「法務」についてはビジネス実務法務検定の2・3級を受けたことで、民法を中心に法律の基本的な論点を学べて、苦手意識が払拭できました。

結果的に1次試験にあらためて合格した年は、2ヵ月ちょっとの学習期間でした。いまになって考えると、不合格だった年は、目標設定が甘すぎたんですね。1回受かったからといって、また受かるとは限らないんです。周りには、短期集中型の学習で受かっている仲間が何人かいたので、自分の実力の見極めを勘違いしたのかもしれません。合格に必要な、解くべき問題量を正確に設定することが必要です。

安藤:私の場合は正直、診断士試験をなめていたんだと思います。それほど勉強しなくても、受かるだろうと。ただ、学習を進めていくうちに科目数が多いこともあって、覚えたことがなかなか記憶に定着していかないことに気づいたんです。もともと私は、記憶力に自信がなかったので、講義では極力、メモをとるようにしていたのですが、それでもなかなか覚えられない。過去問も受験校の問題集もそれなりに解きましたが、1年目は暗記系の科目が足をひっぱり、合格できませんでした。2年目は、しっかり勉強して合格できましたが、今度は2次試験でひっかかってしまいます。そして再受験となった3回目は、試験1ヵ月前から集中的に学習し、何とか420点ジャストで合格できました。もっと、試験に対して真摯に向き合うべきでしたね。くり返し同じ箇所を学習することを怠ったのも、敗因の1つでした。

1次試験に最短で合格する方法

司会:これまで皆さんに話していただいた失敗談は、受験生の皆さんにとって、非常に参考になる情報だと思います。あわせて、皆さんの経験を踏まえたうえでの1次試験の攻略法を教えてください。勉強方法や心構え、科目別の取組み方等をぜひ、お聞きしたいと思います。

上品:1次試験の合格を経験後に再受験する場合は、正確な目標設定が必要ですよね。時間とか期間ではなく、問題数で設定することが有効だと思います。一度合格すれば、自分の実力と合格点とのギャップがわかるので、そのギャップを埋めるためにどの程度問題を解くべきかを、ある程度は見極められます。「この科目は過去問3年分、この科目は5年分」といった具合です。私の経験からいうと、過去問5年分が最適量だと感じました。あとは、自分とタイプ的に近い合格者にアドバイスをもらうのもいいですね。

吉成 篤さん
吉成 篤さん

安藤:問題量で目標設定をすると、所要時間が読めないということはありませんか。

上品:時間を計ってやることで、解説まで読むことも含め、過去問1年分にどれくらいの時間がかかるかがわかります。2回目、3回目とくり返すうちに、その半分、そのまた半分と、時間を短縮できますし。

吉成:上品さんのお話を聞いて、やっぱり最初から過去問をやっておけばよかったと思います。過去問分析さえしっかりできていれば、それだけでどの科目も50点はとれるんじゃないかな。

大森:同感です。100点をとる勉強、テキストの丸暗記というやり方をしてしまったのは、大きな失敗でした。

上品:特に「企業経営理論」、「運営管理」、「経営法務」は、過去問分析の効果が大きいと感じます。「中小企業経営・政策」は、出題内容が毎年変わるので、学校の答練や模試を中心に学習する必要がありますが。

大森:私は、質より量が大事と考え、過去問、答練、問題集をはやく解く学習をしました。解いた問題には、○△×の印をつけるんです。○は自信を持って解けた問題、△は合っていたけれど疑問が残る問題、×は解けなかった問題です。その後、△と×の問題だけくり返しやり、どんどんつぶしていきました。5回転もすれば、ほとんどが○になります。また、問題集の解説の重要なキーワードにマークをつけ、付箋に書いて部屋に貼っていました。歯を磨いたり、ドライヤーで髪を乾かしたりしている時間に、キーワードを見ながらその周辺知識を思い出すという学習をしていました。

吉成:私も、大森さんと同じようなやり方ですね。解いた問題に△と×をつけるんですが、×は間違った問題、△は何となく合ってしまった問題につけていました。私の場合は付箋ではなく、いつも持ち歩いている手帳に重要なキーワードを書いたり、間違えた問題をコピーして切り貼りしたりして、暇さえあれば見るようにしていました。

大森:携帯電話のメモ帳機能も、使えますよね。

安藤:正誤問題では、誤っている選択肢について、その理由を探すことが重要ですよね。ただ単に正解を見つけるだけの学習では、くり返し解いているうちに答えを覚えてしまうので、あまり意味がありません。過去問のくり返し学習の方法は、これに尽きます。「企業経営理論」と「運営管理」、「経営法務」と「中小企業経営・政策」は、このやり方で過去問をくり返し解きました。

効果的な科目別攻略法

司会:「経済学」と「財務会計」、「情報システム」の勉強方法については、いかがですか。

吉成:「経済学」は、苦しかったですね。基本を押さえることが大事です。

大森:グラフの導出ができることが大事ですよね。とにかく手を動かして、グラフを書きながら問題を解くと、効果的です。

安藤 実彦さん
安藤 実彦さん

安藤:私は、「経済学」を診断士試験で初めて勉強したので、大学生向けの噛み砕いた内容の書籍を買い、基本的な論点から理解するよう努めました。

大森:私は「財務会計」が苦手だったので、受験校の担当講師に、過去問から簡単な問題や押さえるべき重要な問題だけを選んでもらい、それだけに絞って何度も回していました。「財務会計」が苦手な人には、オススメのやり方です。

安藤:「財務会計」については、途中から2次試験対策の学習に切り替えました。結果的に、1次試験合格に必要な実力の底上げもできたので、やって損はない方法ですね。

吉成:どの科目にもいえることですが、最初の問題から解くのではなく、解ける問題や見慣れた問題、取組みやすい領域の問題等を最初に見つけて、そこから解くやり方がいいですよね。最初から順番どおりに解いてしまうと、時間が足りなくなってしまうことがありますから。

全員:そう思います。

上品:「財務会計」は、問題の文章が長いと理論的な問題である場合が多いので、そこから解いていましたね。精算表等の複雑で時間がかかる問題は、後回しにするようにしていました。

吉成:「経済学」は、基本問題の選定が重要ですよね。基本的な知識で解ける問題なのか、太刀打ちできない問題なのかを見極め、解ける問題を選ぶ判断力が必要です。たとえば、選択肢に知っているキーワードが出てくる問題から解くとか。

安藤:選択肢がシンプルな問題は、解きやすいですよね。

上品:「経済学」の経済白書からの出題問題は、一般常識で解ける問題が多いのですが、まったく意味のわからない問題も多く、どちらにしても読み込むのに時間がかからないので、最初にやるようにしていました。

大森:見たことのあるグラフ問題は先に解いて、見たことがない問題は後回しという判断もできますよね。

安藤:私は、最近解いたことがある問題に似た問題から、先に解くようにしていました。

吉成:「経営法務」では、頻出と言われていた機関設計は、テキストの表を丸暗記していたので、その表を自分で書いてから問題を解いていましたね。

司会:どの科目でも、領域単位で得意分野をつくるといいですよね。

上品:「法務」は、きれいに領域ごとには出題されないので、知財法の問題を先に拾いにいくようにしていました。英文の問題も、読んでみれば既存の知識で解ける問題か解けない問題かがすぐにわかるので、先にやっていました。

司会:「企業経営理論」も、「後半のマーケティングから解く」といった具合に、領域ごとに解く順番を決めている方が多いですよね。

大森:私は、「運営管理」は後半の店舗管理から解いていました。

司会:問題文や選択肢の文字の量が多いか少ないかは、判断基準として重要ですか。

全員:重要です。

安藤:同じ点数なら、できるだけ楽をしてとりたいですから。

司会:名言が出ましたね(笑)。

(つづく)

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