中小機構のナレッジリサーチ事業

「新連携」に関する調査研究

本調査研究のテーマである新連携支援制度は、異分野で連携して新事業を行う中小企業を支援する制度である。本稿では、新連携支援制度について概観した後、連携事業では、多くのメリットを享受できる半面、連携体の構築のためには多くの課題を伴うことを説明し、本制度がこれらを軽減し中小企業に新しい連携事業に取り組む動機を与える有効な施策であることを明らかにしている。
その上で、制度を活用して事業化を促進するための要点をまとめることを目的としている。具体的には、関連する文献調査を行った後、新連携に認定された中小企業(コア企業)へのアンケート調査・ヒアリング調査の結果を考察している。

第2章

第2章第1節では、2社以上の中小企業が連携に含まれること、計画期間は3〜5年間の計画であること、一時的な取引関係にある企業同士については対象外とすること、具体的な販売活動が計画されていることなど、新連携に要請される具体的な条件を挙げている。また新連携支援の流れについても記述してある。
新連携として有望な案件は、各地域に設置されている新連携支援地域戦略会議の事務局で、新連携の認定を受けるまでのブラッシュアップ支援を受けられる。作成した計画が経済産業局に認定されると、補助金などの8つの支援策を活用する対象となる。補助金など新連携計画に認定された後に活用できる支援策の詳細については付属資料として掲載している。

続く第2節では、認定された計画の特徴を取り上げる。そこでは、半数以上の認定計画が販売を達成していることや、コア企業の半数以上が従業員数20人以下・資本金5千万円未満の企業であることなどが示される。

第3章

第3章では、連携における課題のひとつとして、社会的ジレンマとその解消について理論的な面から考察する。

個別の企業が、ノウハウ等を外に持ち出すなど、連携事業から逸脱する誘因を持っている状況においては、本来社会的に、連携して事業を行うことが効率的な結果をもたらすにもかかわらず、連携事業が選択されにくいという社会的ジレンマと呼ばれる状況が発生する。このジレンマの解消には、長期的な関係を結ぶこと、逸脱した時にペナルティを課すことをルール化すること、連携して事業を行ったときの魅力を高めることが有効になることを議論し、それらを可能にするためには第三者の存在が重要になることを示唆する。

第4章

第4章では、アンケート調査の結果を考察し、本制度によるメリット・課題の解消について議論する。その際、新連携事業を連携事業としての側面からだけでなく、新事業としての側面からも考察している。

連携面については、連携内の役割分担の明確化や規約作成が重要であり、その際に第三者である事務局の支援者を活用することが有効になることなどが示される。新事業としての側面については、事業計画作成段階や事業化段階で事務局の支援者による助言が有効であり、新連携事業から得られる成果として、知名度向上・コア企業社員ののモチベーション向上・連携の結束強化などを挙げている。また、新連携に認定された計画の多くでも、依然として販売面に課題を抱えるケースが多いことに触れる。

第5章

第5章はヒアリング調査先の事例について、どのように新連携事業に取り組んできたのか、新連携事業を成功させる鍵は何かという観点で考察したものである。ここでも、連携事業としての側面と新事業としての側面とに分けて議論を進めている。

連携面については、第4章同様、役割分担や規約策定の有効性が述べられる。さらに、信頼関係を構築するには頻度の高い密なコミュニケーションやコア企業のリーダーシップとコーディネート力が重要であることが示される。新事業としての側面については、綿密な事業計画を作成することや新規性と事業性を客観的に示すことの重要性が示される。

第6章

第6章では、報告書のまとめとして提言と残された調査課題の提示を行う。

連携面では、次の8つの項目を提言する。

  1. 必要な経営資源について第三者の助言を受ける姿勢
  2. 必要な経営資源を積極的に求める姿勢
  3. 販売面を担当するメンバーの確保
  4. 役割分担の明確化
  5. 規約の策定
  6. Win−Winのシナリオ構築
  7. コア企業の企画力とリーダーシップ
  8. 信頼関係の構築

新事業としての側面では、次の5つの項目を提案している。

  1. 支援者の助言を活用した綿密な事業計画策定
  2. 客観性を確保するための研究機関等の活用
  3. ジレンマを打ち破るために敢えてリスクをとる姿勢
  4. リスクを軽減するための新連携支援制度の積極活用
  5. 新連携事業を通して学んだことを次へとつなげる取り組み

また、残された調査課題として、認定から一定期間が経過した後の事業化成果についての詳細な調査、新連携計画の認定数を蓄積した上でカテゴリーに分類した調査を挙げている。

ヒアリング調査を行った事例の詳細については、報告書後半に事例編としてまとめてある。また、新連携支援施策一覧と新連携支援地域戦略会議事務局一覧を付属資料に掲載した。

関連情報

「新連携に関する調査研究」(平成20年3月)

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