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経営強化・起業
2019.3.4

中小企業の会計

中小企業が経営力や資金調達能力、取引先との交渉力を高めるためには、数字で会社の経営状態を正しく把握する必要があります。したがって、「会計の力」で財務諸表の質を向上させていくことが重要です。
 しかし、経営資源が限られている中小企業では、大企業向けに作成された企業会計基準に従った財務諸表を作成するのは困難である場合が多いでしょう。そこで、中小企業向けに作られた「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、「中小会計要領」)や「中小企業の会計に関する指針」(以下、「中小会計指針」)に拠って財務諸表を作成することをおすすめします。

「中小会計要領」と「中小会計指針」の意義

(1)「中小会計要領」とは

中小会計要領は、中小企業関係者等が平成24年1月27日に開催された「中小企業の会計に関する検討会」で取りまとめたものです(http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/youryou/about/download/0528KaikeiYouryou-1.pdf)。この検討会では中小会計要領を、中小企業の多様な実態に配慮し、その成長に資するため、中小企業が会社法上の計算書類等を作成する際に参照するための会計処理や注記等を示すことを目的として作成されました。冒頭では、中小会計要領が以下の考えに基づき作成されたことが明記されています。

なお、中小会計要領は、平成24年2月1日に作成されて以来、改正は一度も行われていません。

(2)「中小会計指針」とは

中小会計指針は、平成17年8月に日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所および企業会計基準委員会の4団体により策定された、中小企業の会計処理等に関する指針です。会計専門家が役員に入っている会計参与設置会社が拠ることが適当とされており、一定の水準を保った会計処理が示されています。中小会計要領にはない「税効果会計」や「組織再編の会計」等も示されていますので、必要な場合には参照するとよいでしょう。中小会計指針は策定以来、会計基準の改正に合わせて、毎年のように改正を重ねています。

(3)「中小会計要領」と「中小会計指針」の比較

会社区分ごとに依拠すべき会計ルールは異なります。会社全体の中での中小会計要領と中小会計指針の位置づけは、次のようになっています。

また、いわゆる中小企業に適用されるのが「中小会計要領」と「中小会計指針」ですが、それぞれには次のような違いがあります。

上記特徴をふまえ、自社で「中小会計要領」と「中小会計指針」のいずれを適用すべきか、会社の実態に合わせて検討してみてください。

「中小会計要領」と「中小会計指針」にかかる支援内容

(1)中小企業の会計に関するパンフレットの頒布

中小企業庁のホームページでは、「中小会計要領」と「中小会計指針」の内容についてわかりやすく解説されたパンフレットを無料で入手することができます。

(2)セミナーの実施(平成31年度分は4月以降に募集開始)

中小企業基盤整備機構と支援機関が共催で、中小企業経営者や経理担当者向けに財務・管理会計の理解が深まる「中小企業会計啓発・普及セミナー」を実施しています。「中小会計要領」を活用した「信用力のある決算書」の作成について知ることができます。

(3)金融機関の融資商品

日本政策金融公庫では、「中小会計要領」と「中小会計指針」を適用した計算書類を作成し、期中に資金計画管理等の会計活用を目指す中小企業に対して貸付を行う融資制度があります。融資の際には、次のチェックリストの提出を求められることになります。

その他の金融機関においても、上記の「中小会計指針」の適用に関するチェックリストを利用した金融商品を取扱う金融機関が多数あります。

まとめ

  1. 中小企業が経営力や資金調達能力、取引先との交渉力を高めるために、「中小会計要領」や「中小会計指針」に拠った財務諸表の作成がおすすめ
  2. 「中小会計要領」では、広く中小企業一般を対象会社として、実態に即した簡便な会計処理が規定されている
  3. 「中小会計指針」は、主に会計参与設置会社を対象会社として、中小企業が拠ることが望ましい会計処理等を示すため、一定の水準を維持したものとなっている
  4. 「中小会計要領」と「中小会計指針」を会社の実態に合わせて使い分けるとよい
  5. 中小企業庁ホームページでは、中小企業の会計に関するパンフレットの作成、配布が無料で行われている
  6. 「中小会計要領」を活用した「信用力のある決算書」の作成に関するセミナーがある
  7. 「中小会計要領」と「中小会計指針」を適用した計算書類を作成すると、日本政策金融公庫その他の金融機関で特別の融資制度を受けられる場合がある
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