創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。 創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。
研究開発
2019.2.5

医工連携事業化推進事業(開発・事業化事業)

中小企業のものづくり技術はわが国が誇るものの1つですが、医療現場への導入は欧米諸国に比べて遅れており、医療機器産業は輸入超過で推移しています。これは、(1)開発に時間を要することが多い、(2)生命に直接かかわる分野のため製造物責任が重く、参入リスクが高い、(3)医療現場の有するニーズがものづくり現場に行き届いていない、といった点が要因として挙げられます。一方で、医療分野の活性化は、わが国の成長戦略の大きな柱となっており、医療機器産業の活性化が求められています。
 これらを背景として、中小企業のものづくり力を活用し、医療現場等における課題解決に寄与する医療機器の実用化を推進することを目的に、経済産業省によって、平成22年度より「課題解決型医療機器等開発事業」が実施されました。その後、平成26年度からは、医療現場等における課題の選定とそれに対応する医療機器の開発・改良をより戦略的に行うために「医工連携事業化推進事業」として実施し、平成27年度からは新たに設立された「国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development、通称:AMED)」において事業が継続されています。
 ここでは、「医工連携事業化推進事業」の2本柱である、開発事業としての「開発・事業化事業」と、ソフト支援事業としての「医療機器開発支援ネットワーク」のうち、「開発・事業化事業」についてご紹介します。医療機器の開発・事業化における課題を解決したい場合は、「医療機器開発支援ネットワーク」をご活用ください。

「医工連携事業化推進事業」(開発・事業化事業)の概要

この制度は、高度なものづくり技術を有する中小企業・ベンチャー企業等の医療機器分野への新規参入や、医療機関との連携・共同事業を促進することで、わが国の医療機器産業の活性化と医療の質の向上を実現することを目的としています。安全性の向上や操作性の向上等、医療現場における課題を選定し、それに応える医療機器を開発・改良するために、金銭的な補助と事業の推進にあたっての助言を行うものです。
 補助事業の対象となるのは、下図の点線の範囲です。開始時には開発する機器のターゲットや基本的な事業戦略がまとまっており、終了時には薬事申請の目処がつくような提案が想定されています。

本事業の対象

本事業は「ものづくり中小企業」、「製造販売企業」、「医療機関」を置く共同体として実施することを必須としています。共同体は、研究開発代表者が所属する1つの「代表機関」と、研究開発分担者が所属するその他の「分担機関」により構成します。共同体の構成員のうち、企業の場合は国内に本社を置き、かつ国内で機器の開発や製造を行うことが必要です。
 なお、代表機関はAMEDから直接補助金の交付を受けることになり、民間企業に限定されます。分担機関の追加・変更は、原則として認められていません。
 また、応募対象となるのは、(1)医療費削減効果、(2)海外市場の獲得、(3)国産医療機器市場の拡大、のいずれかに対応する医療機器または非医療機器の上市を目指した開発・改良を実施する事業でなければなりません。つまり、(1)当該医療機器の利用により国の医療費の削減が見込まれる、(2)日本発の医療機器を輸出することで海外市場を獲得する、(3)従来は輸入品で占められていた分野において、国産医療機器を事業化することで国産医療機器の市場が拡大する、といった事業が求められています。
 ここで医療機器とは、「医薬品医療機器法(通称:薬機法)」に規制される機器を指し、非医療機器とは、医療現場で用いる周辺機器を指します。

補助の内容

補助の対象となる分野や補助対象経費の上限額は、下図のとおりです(平成30年度の場合)。

補助対象経費の年間の上限は原則6,153万円までで、直接経費のみが対象となっています。補助率は2/3ですので、1事業あたり年間で最大6,153万円の経費に対し、4,102万円の補助を受けることが可能となります。補助機関は最長で3年となっていますが、補助金の交付決定通知は単年度ごとに行われますので、年度が変わる際に継続にあたっての条件を満たしている必要があります。
 なお、平成30年度の予算案額は、平成30年2月時点で30.4億円となっており、新規採択課題予定数は12課題程度となっています。

知的財産の取扱い

本事業を活用するにあたって、医療機器等の開発過程で派生した知的財産権が国やAMEDに帰属することはありません。また、知財戦略を届け出る義務や、申請提案書に営業秘密や特許出願を考えている技術の記載義務もありませんので、知的財産等の流出については気にすることなく利用できます。

手続き方法

提案書類の様式等、必要な資料はAMEDのWebサイトの公募情報からダウンロードが可能です(https://www.amed.go.jp/koubo/)。例年、2月上旬に公募が開始され、2月下旬~3月上旬にかけて地方ごとに公募説明会が実施され、3月末までが提案書の受付期間とされています。その後、書面での審査が4月中旬~5月下旬にかけて実施され、必要に応じて面接(ヒアリング)が6月下旬に実施されます。
 最終的な採択可否の通知は7月中旬となっています。次年度以降の利用を計画する場合は、定期的に上記のAMEDホームページのご確認をおすすめします。

まとめ

  1. 「医工連携事業化推進事業」は、「開発・事業化事業」と「医療機器開発支援ネットワーク」の2本柱で構成される
  2. 「開発・事業化事業」は、医療現場における課題に応える医療機器の開発・改良を目的とし、補助を行う
  3. 「ものづくり中小企業」、「製造販売企業」、「医療機関」の共同体としての実施が必須
  4. 提案はア)医療費削減効果、イ)海外市場の獲得、ウ)国産医療機器市場の拡大、のいずれかに該当する必要がある
  5. 補助金は直接経費の2/3について交付される
  6. 手続きはAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)のホームページから
  7. 「開発・事業化事業」の提案書類受付は例年、3月度に実施
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