創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。 創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。
事業承継・事業再生
2019.1.22

「第二会社方式」による事業再生に関する支援

思うように売上が上がらず、運転資金として借入金が増える。さらに業績が悪化し、借入金の支払利息を払うのが精一杯で、元本返済もままならない。過剰債務の財務状況となり、倒産を決断しようかと悩んでいる――このような中小企業は、複数存在しています。
 多額の債務を抱えて自力での経営改善が困難である中小企業を救うための手段として、「第二会社方式」による事業再生があります。

「第二会社方式」とは

「第二会社方式」とは、過剰債務を抱えて財務状況が悪化している会社が、収益性の高い事業を会社分割または事業譲渡し、不採算事業がある旧会社と分離した別会社(第二会社)を設立することで再生を図り、不採算事業のある旧会社を清算する手法です。
 「第二会社方式」の対象者は、過剰債務等で財務状況が悪化し、会社全体の事業継続が困難であるものの、その中で収益性の高い事業がある中小企業です。

「第二会社方式」を活用するメリット

「第二会社方式」による中小企業の事業再生支援を受けるには、産業競争力強化法の規定に基づく「中小企業承継事業再生計画」を作成し、国による認定を受けることが必要です。
 国から計画の認定を受けると、いくつかの優遇措置を受けることができます。これにより、経営が悪化した企業でも事業再生に取り組みやすくなります。

(1)営業上必要な許認可等の承継

第二会社が営業するために必要な許認可を再取得する必要がある場合、旧会社が保有している事業にかかる許認可を承継することができます。通常、新会社を設立した場合、新たに許認可を取得する必要がありますが、「第二会社方式」を使うとその必要がなく、新会社は旧会社から許認可を引き継ぐことができます。
 「第二会社方式」で承継対象となる許認可の業種は、旅館業、一般建設業・特定建設業、一般旅客自動車運送業(バス・タクシー)、一般貨物自動車運送業(トラック)、火薬類の製造・販売、一般ガス事業・簡易ガス事業、熱供給事業です。「第二会社方式」を使う事業者がこれらに該当しない業種である場合、許認可申請を円滑にするための法律として、食品衛生法、酒税法、自然公園法があります。

(2)税金負担の軽減措置

第二会社を設立した場合等の登記にかかる登録免許税、第二会社に旧会社の不動産を移転した場合に課される登録免許税と不動産取得税が軽減されます。

(3)金融支援

第二会社が必要とする事業を取得するための対価や設備資金等、新規の資金調達が必要な場合、次の金融支援を受けることができます。

  • 日本政策金融公庫の特別融資
    設備資金および運転資金について、日本政策金融公庫により長期固定金利で融資を受けることができます。
  • 信用保証の特例
    信用保証協会により普通保険、無担保保険、特別小口保険に同額の別枠を設定することができます。
  • 中小企業投資育成株式会社法の特例
    中小企業投資育成株式会社から、第二会社設立の際に発行される株式の引き受け等の支援を受けることができます。

なお、これらの支援を受けるためには、関連機関等による別途審査が必要になります。

計画の認定を受けるための要件

国から中小企業承継事業再生計画の認定を受けるには、次の要件を満たす必要があります。

  • 計画の申請時に、過剰債務等により財務状況が悪化している
    (判断基準:計画申請時点で、(1)有利子負債÷キャッシュフロー>20、または(2)キャッシュフロー<0であること)
  • 計画期間の終了時に、事業収支や財務状況が改善する
    (判断基準:計画期間終了時点で、(1)有利子負債÷キャッシュフロー≦10と(2)経常収支≧0の両方を満たすこと)
  • 会社分割や事業譲渡によって旧会社から新会社へ収益性の高い事業を承継し、承継後に不採算事業がある旧会社について、特別清算または破産の手続きをする
  • 再生支援協議会、RCC企業再生スキーム、事業再生ADR、中小企業再生支援機構、私的整理ガイドライン、民事再生法、会社更生法等の公正な手続きを行っている
  • 新会社が事業にかかる資金調達計画を適切に作成している
  • 新会社が営業に必要な許認可を保有している、あるいは取得する見込みがある
  • 承継される事業にかかる従業員について、約8割以上の雇用が確保されている
  • 労働組合への説明等により、従業員と適切な調整が図られている
  • 取引先の売掛債権(売掛金や受取手形等)を毀損させない

「中小企業承継事業再生計画」の申請様式は、次のウェブサイトからダウンロードできます。

中小企業庁 産業競争力強化法の規定に基づく「中小企業承継事業再生計画」の概要について:
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/2009/090622ShoukeiJigyouSaisei.htm

まとめ

  1. 「第二会社方式」は、過剰債務で財務状況が悪化している会社が収益性の高い事業を移して新会社を設立するとともに、不採算事業のある旧会社を清算する手法である
  2. 「第二会社方式」を行うには、「中小企業承継事業再生計画」を作成し、国の認定を受ける必要がある
  3. 「中小企業承継事業再生計画」の認定を受けると、営業上必要な許認可等の承継、登録免許税・不動産取得税の軽減、政府系金融機関等による金融支援の活用といったメリットがある
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