創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。 創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。
人材関連
2019.1.9

両立支援等助成金(両立支援関係)

「優秀な従業員が子育てを理由に辞めてしまった」、「親の介護でこれまでどおりに働けない」といったように、家庭の事情でやむなく仕事を辞めなければならない方が増えています。人材難の時代、貴重な人材を囲い込むためには、企業の側で仕事と家庭を両立できる仕組みを提供することが求められます。

仕事と家庭の両立

少ない人数で日々の仕事をどうにか回している中小企業では、子育てや介護のために休みをとることが難しいのが現状です。その結果、離職を余儀なくされる方やストレスを抱えて働き続ける方が増えています。このような状況は、企業にとっても従業員にとっても好ましいことではありません。そこで、企業の側でも仕事と家庭を両立できる仕組みを作ることが必要になっています。
 働きやすい職場を作ることは、従業員の離職を防止するだけでなく、魅力ある人材の採用にもつながります。ここでは、仕事と家庭を両立するための職場づくりに役立つ「両立支援等助成金(両立支援関係)」をご紹介します。

両立支援等助成金(両立支援関係)の概要

両立支援等助成金では、仕事と家庭の両立に役立つ制度を導入し、それを実施する企業に対して一定の助成を行うこととされています。まずは、両立支援等助成金(両立支援関係)の4つのコースを確認しておきましょう。

出生時両立支援コースの助成を受けるには

ここでは、(1)出生時両立支援コースと(2)介護離職防止支援コースを見てみます。なお、ここで見るのは代表的な要件のみで、要件のすべてを挙げているわけではありません。詳細は厚生労働省のホームページに掲載されているパンフレット等をご参照ください。
 まずは、出生時両立支援コースを受ける要件とその手続きです。

(1)出生時両立支援コースの助成を受ける要件

ア. これまで育児休業をした男性労働者がいないこと
 育児休業を取得しようとする男性労働者が育児休業を開始する前3年以内に、連続14日以上(中小企業は連続5日以上)育児休業を取得した男性労働者がいないことが必要です。

イ. 男性が育児休業を取得しやすい職場風土づくりのための取組みを行うこと
 単に育児休業を取得させるのではなく、そのための環境づくりまで求められます。実施すべき取組みは、次のようなものです。
 a)男性労働者を対象にした育児休業制度の利用を促進するための資料等の周知
 b)管理職による、子が出生した男性労働者への育児休業取得の勧奨
 c)男性労働者の育児休業取得についての管理職向けの研修の実施

ウ. 男性労働者が育児休業を取得すること
 育児休業は、次の2つの要件を満たしたものでなければなりません。
 a)子の出生後8週間以内に開始すること
 b)連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業であること

エ. 労働協約や就業規則に定めがあること
 育児休業の制度と育児のための短時間勤務制度について、労働協約か就業規則に規定していなければなりません。

オ. 一般事業主行動計画の策定・届出、公表・周知をしていること
 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出なければなりません。さらに、この一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じることが必要です。

(2)出生時両立支援コースの助成を受ける手続き

出生時両立支援コースの助成を受けるためには、子どもが生まれる時期に合わせて、必要な手続きや制度導入・実施を進めていかなければなりません。出産予定日前に生まれる可能性もありますので、できるだけ前倒しで進めるとよいでしょう。全体のスケジュール例を以下に示しておきます。

介護離職防止支援コースの助成を受けるには

介護離職防止支援コースは、介護休業を利用するケースとその他の介護制度を利用するケースがあります。以下では、介護休業を利用するケースを見ていきます。

(1)介護離職防止支援コースの助成を受ける要件

ア. 社内アンケートを実施すること
 従業員に対し、「労働者の仕事と介護の両立に関する実態把握」のためのアンケート調査を行う必要があります。調査票は厚生労働省所定の様式を使用します。

イ. 育児・介護休業法に基づく介護関係制度を導入すること
 自社の仕事と介護の両立支援制度の周知状況の把握と、制度内容の確認を行った上で、自社の介護休業関係制度について見直しを行い、必要な制度を導入します。

ウ. 「介護に直面する前の労働者への支援」の取組みを実施すること
 次の2つの取組みを実施します。いずれも所定の資料を用いて行います。
 a)人事労務担当者等による社内研修の実施
 b)仕事と介護の両立支援制度等の周知

エ. 仕事と介護の両立に関する相談窓口を設置し、全労働者に周知すること

オ. 所定の措置を実施する旨をあらかじめ規定し、労働者へ周知していること
 所定の措置は、介護休業の取得、職場復帰、介護関係制度の利用を支援する措置です。

カ. 介護休業を取得する労働者に対して、所定の措置を講ずること
 これは、ア.~オ.を実施した後でなければなりません。

キ. 同一の対象家族について連続1ヵ月以上または合計30日以上の介護休業を取得し、職場復帰すること
 対象となる労働者は、介護休業開始日の1ヵ月以上前から申請事業主の雇用保険被保険者として雇用されていなければなりません。

ク. 対象介護休業取得者のための介護支援プランを作成すること
 介護支援プランは、対象家族の要介護の事実について把握後、介護休業の開始日の前日までに、対象介護休業取得者の上司または人事労務担当者と対象介護休業取得者が少なくとも1回以上面談を実施した上で作成します。

ケ. 業務の引き継ぎを実施すること
 引き継ぎは、作成した介護支援プランに基づき、対象介護休業取得者の介護休業の開始日の前日までに行います。

コ. 対象介護休業取得者を、介護休業終了後、上記ク.の面談結果を踏まえ、原則として原職等に復帰させていること

サ. フォロー面談を実施すること
 対象介護休業取得者の介護休業終了後に、上司または人事労務担当者と対象介護休業取得者とで実施します。

シ. 対象介護休業取得者を復帰後、継続して雇用していること
 介護休業終了後、引き続き雇用保険の被保険者として1ヵ月以上雇用しており、さらに支給申請日においても雇用している必要があります。

(2)介護離職防止支援コースの助成を受ける手続き

介護離職防止支援コースを利用するためには、多くの取組みをタイミングよく実施しなければなりません。全体のスケジュール例を以下に示しておきます。

平成30年度に予定されている変更点

ここまでは、平成29年度に実施されている内容です。上で説明した2コースについて、平成30年度は以下のような変更が予定されています。

<出生時両立支援コース>

  1. 「過去3年以内に男性の育児休業取得者がいないこと」という要件がなくなります。
  2. 1年度に10人まで助成を受けられます。
  3. 企業における男性の育児参加に資する育児目的休暇の導入・運用を支援するための助成措置が追加されます。

<介護離職防止支援コース>

  1. 介護休業期間が現行の1ヵ月以上(分割取得の場合は30日以上)から、2週間以上(分割取得の場合は14日以上)に緩和されます。

まとめ

  1. 仕事と家庭の両立のための職場環境づくりをすると、両立支援等助成金を受けられる
  2. 両立支援等助成金(両立支援関係)には4コースあり、子育てや介護と仕事を両立する制度導入を支援している
  3. 出生時両立支援コースは、男性の育児休業取得を推進するための助成である
  4. 介護離職防止支援コースは、家族の介護による離職を防ぐ制度づくりを支援するための助成である
  5. いずれのコースも計画や制度を作成し、実際に制度を利用することが必要である
  6. 毎年度、内容が変更されるため、注意が必要である
登録無料

J-Net21新着情報メールマガジン

毎週火曜日、元気に活躍する企業の情報や経営に関するQ&Aなど、中小企業ビジネス支援サイト「J-Net21」で更新されたお役立ち情報をお届けします。登録は無料です。

ご登録はこちら