創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。 創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。
知的財産
2018.12.19

中小企業外国出願支援事業

経済のグローバル化が進み、中小企業といえども世界を相手にビジネスをしていかなければならなくなってきています。国内市場のみが相手であれば、知的財産権も日本で取得するだけでよかったかもしれませんが、世界を相手にしていくためには、外国での知的財産権の確保も考える必要があります。

外国で知的財産権を取得するための費用は高額

外国で知的財産権を取得するための費用は一概にいくらとはいえませんが、国内と比較して相当に高額となることは間違いありません。高額になる主な理由は、次の3つと考えられます。

(1)外国での知的財産権取得には国別の手続きが必要

知的財産権は国ごとに取得するものです。個々の国でかかる費用は日本とそれほど差がなくても、複数の国で手続きを行うと、それだけ費用が増えてしまいます。

(2)自分で直接手続きをすることが難しい

日本であれば自分で手続きを行うことも可能であり、この場合は特許庁の費用のみがかかります。しかし、外国となるとそれぞれの国で制度が異なるため、それを調べて自分で手続きを行うことは格段に難しくなります。
 また、国によっては必ず現地の手続代理人(弁理士等)を介して手続きを行わなければならないこともあります。そのため、外国出願をする場合は、以下の流れで手続きを行うことが一般的となり、手続代理人の費用も増えてきます。

(3)翻訳が必要になる場合が多い

知的財産権を取得させるかどうかの審査は、原則として各国の特許庁が独自に行います。したがって、それぞれの国が指定する言語で手続きをしなければなりません。多くの場合、英語、中国語、韓国語の3つの言語への翻訳が必要になるでしょう。翻訳にかかる費用は書類の文字数しだいですが、数百万円かかるケースも珍しくありません。

このような理由から、外国出願をする場合、特許では百万円単位、意匠や商標でも数十万円の費用がかかります。中小企業では、多額の費用をかけて知的財産権を取得するのが難しいところも多いでしょう。
 そこで、中小企業向けの外国出願に対する費用支援として「中小企業外国出願支援事業」をご紹介します。

中小企業外国出願支援事業の支援の流れ

中小企業外国出願支援事業による支援は、補助金(中小企業知的財産活動支援事業費補助金)の形で行われます。以下でご紹介する流れは平成29年度のものですが、毎年度ほぼ同じ形で実施されています。詳細は以下のホームページをご参照ください。

特許庁:https://www.jpo.go.jp/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm

(独)日本貿易振興機構:https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_appli.html

中小企業外国出願支援事業による支援の流れを、下図で確認しておきます。

まず前提として、日本の特許庁に出願をしていることが原則となります。補助金を申請する時点で日本への出願を終えていなければなりません。その後、補助金の申請書類を提出し、審査を受けます。審査に合格すれば、外国出願の費用支援を受けることができます。応募受付期間が1ヵ月程度と短いため、ご注意ください。
 補助金による補助を受けられることが決定した後に外国出願を行います。補助の決定のタイミングと外国出願の期限をしっかりと管理することが重要になります。出願に要した費用等を支払った後、実績報告(出願完了報告)をすると補助金額が確定し、補助金が交付されるという流れになります。

支援を受けられる対象者

中小企業外国出願支援事業は、外国への特許、実用新案、意匠または商標出願を予定している次の企業等が受けることができます。

  1. 中小企業者
  2. 中小企業者で構成されるグループ
  3. 商工会議所、商工会、NPO法人等(地域団体商標の外国出願)

なお、(2)中小企業者で構成されるグループとは、「グループ構成員のうち、中小企業者が3分の2以上を占め、中小企業者の利益となる事業を営む者」をいいます。

支援を受けられる補助金の額と経費の種類

中小企業外国出願支援事業で受けられる補助金は、次のとおりです。

また、補助の対象となる経費は次のとおりです。冒頭に、外国出願が高額となる理由として挙げた費用がカバーされていることがわかります。

審査の方法

最後に、「中小企業知的財産活動支援事業費補助金」の選考方法を確認しておきます。この補助金を受けるには審査がありますが、主に次の3点が審査されることになります。

  1. 先行技術調査等の結果から見て、外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないこと
  2. 助成を希望する出願に関し、外国で権利が成立した場合等に、「当該権利を活用した事業展開を計画している」または「商標出願に関し、外国における冒認出願対策の意思を有している」中小企業者等であること
  3. 産業財産権に係る外国出願に必要な資金能力および資金計画を有していること

この3点を簡単にまとめると、「(1)権利を取得できる可能性があり、(2)権利を取得した場合にその権利を活用する計画があり、(3)手続きに必要な費用を支払うことができる」ことが求められることになります。これらについて提出された書面を審査し、1ヵ月半程度で結果が通知されます。

まとめ

  1. 外国出願を行う場合、「中小企業外国出願支援事業」を利用すると、2分の1の費用補助を受けることができる
  2. 中小企業外国出願支援事業を利用するには、あらかじめ日本の特許庁に出願をしていなければならない
  3. 中小企業外国出願支援事業は補助金の形で行われるため、補助金の申請をして審査に合格しなければならない
  4. 審査で見るポイントは、「権利を取得できる可能性があり、権利を取得した場合にその権利を活用する計画があり、手続きに必要な費用を支払うことができる」かどうかである
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