創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。 創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。
知的財産
2018.12.18

中小企業に対する特許料等の軽減

経営資源の限られている中小製造業では、製品の付加価値を高めて他社ができないものづくりをすることが生き残り戦略の1つとなります。この生き残り戦略をうまく働かせるためには、特許を取得して「他社ができない」状態を長く維持することが重要です。しかし、特許を取得するには費用がかかります。この費用の軽減についてご紹介します。

特許を取得するための費用

特許料等の軽減を説明する前に、特許を取得するための費用が「いつ」、「どれくらい」かかるのかを確認しておきます。特許を取得するための費用には、特許庁に対して支払う費用と、弁理士等の手続代理人に支払う費用があります。特許料等の軽減は、特許庁に対して支払う費用のみが対象となります。
 特許を取得するためには、特許庁に対して最低3回書類を提出しなければなりませんが、それぞれについて特許庁に対する費用がかかります。(1)特許出願、(2)出願審査請求、(3)特許料納付という手続きです。

(1)特許出願

特許を取得するためには、特許を取りたい発明の内容を書類にまとめて特許庁に申請をします。これを特許出願といいます。この特許出願の際に「出願料」という費用がかかります。出願料は1件当たり14,000円です。

(2)出願審査請求

提出した書類は特許庁で審査され、合格したものだけが特許を取得できます。開発方針の変更により特許を取る必要がなくなるなど、審査を受ける必要のない特許出願が全体の半数ほどあります。そこで、審査を希望する場合には出願審査請求という手続きを行うこととしています。この出願審査請求の際に「審査請求料」という費用がかかります。審査請求料は1件当たり118,000円+(請求項の数×4,000円)となります。
※1件の特許出願には、一定の範囲にある複数の発明を「請求項」として記載することができます。たとえば、「よく消える消しゴム」を発明した場合に、請求項の1つに「よく消える消しゴム」を記載し、別の請求項に「よく消える消しゴムを付けた鉛筆」を記載して、2つの発明について特許を取得することが考えられます。このように、1件の特許出願には複数の請求項が存在するのが一般的です。

(3)特許料納付

審査に合格すると、特許を取得することができます。ここでも、合格をすればそれだけで特許を取得できるものではなく、「特許料」を支払わなければなりません。特許料は年単位でかかるため、「年金」とも呼ばれ、その額は何年目の特許料かにより以下のようになります。

ア. 第1年~第3年まで 毎年2,100円に、1請求項につき200円を加えた額

イ. 第4年~第6年まで 毎年6,400円に、1請求項につき500円を加えた額

ウ. 第7年~第9年まで 毎年19,300円に、1請求項につき1,500円を加えた額

エ. 第10年~第25年まで 毎年55,400円に、1請求項につき4,300円を加えた額

◆軽減される特許料等の範囲とその額

特許庁に対して支払う3種類の費用のうち、すべてが軽減の対象になるわけではありません。軽減の対象となるのは、審査請求料と特許料(第1年分~第10年分)です。出願料と第11年分以降の特許料は、軽減の対象とはなりません。
 なお、軽減される額は半額です。したがって、審査請求料は1件あたり59,000円+(請求項の数×2,000円)となります。また、特許料は以下のようになります。

ア. 第1年~第3年まで 毎年1,050円に、1請求項につき100円を加えた額

イ. 第4年~第6年まで 毎年3,200円に、1請求項につき250円を加えた額

ウ. 第7年~第9年まで 毎年9,650円に、1請求項につき750円を加えた額

エ. 第10年 毎年27,700円に、1請求項につき2,150円を加えた額

オ. 第11年~第25年まで 毎年55,400円に、1請求項につき4,300円を加えた額(軽減なし)

特許料等の軽減の対象となる出願

中小企業であれば特許料等の軽減の対象となるというものではありません。詳しくは特許庁のホームページをご参照ください。ここでは、どのようなものが対象となるのかを簡単に見ておきます。
 特許料等の軽減を受けるためには、特許を活用して成長できると見込まれる企業である必要があります。「特許を活用して成長できる」ことを、他のものづくり系の施策の認定で代用しているケースが多いです。したがって、特許料等の軽減を受けるには、あらかじめ何らかの認定を受けておく必要があると考えておくとよいでしょう。軽減の対象となる出願については、以下に示すとおりです。

  1. 収入金額に対する試験研究費等比率が3%超の中小企業者が行う出願
  2. 中小企業等経営強化法に基づく中小企業技術革新制度(SBIR)の補助金等交付事業の成果に係る出願(事業開始から事業終了後2年以内の出願に限る)
  3. 中小企業等経営強化法に基づく承認経営革新計画における技術に関する研究開発事業の成果に係る出願(計画開始から計画終了後2年以内の出願に限る)または承認経営革新計画に基づき承継した出願
  4. 中小企業等経営強化法に基づく認定異分野連携新事業分野開拓計画における技術に関する研究開発事業の成果に係る出願(計画開始から計画終了後2年以内の出願に限る)または認定異分野連携新事業分野開拓計画に基づき承継した出願
  5. 「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく認定を受けた特定研究開発等計画に従って行われる研究開発事業の成果に係る出願(計画開始から計画終了後2年以内の出願に限る)または特定研究開発等計画に基づき承継した出願

また、法人税が非課税や設立10年未満の中小企業も、同様の軽減を受けることができます。この場合の要件は次のとおりです。

  1. a)法人税が課されていない、もしくは設立後10年を経過していないこと
  2. b)資本金3億円以下であること
  3. c)他の法人に支配されていないこと

特許料の軽減等を受けるための手続き

最後に、特許料等の軽減を受けるための手続きを見ておきます。この手続きは、審査請求料や特許料を支払う前に行う必要がありますので、ご注意ください。軽減の対象であることを確認してもらった後に、軽減後の料金を支払うという流れになります。以下に、簡単に図示しておきます。

今後の法改正の動向

平成29年2月27日に、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。この法律案の中に、特許料等の軽減に関する改正が含まれています。これによると改正法施行後は、すべての中小企業を対象として審査請求料、特許料(第1年分~第10年分)が半減されるとなっています。今後の法改正の動向にも注意しておきましょう。

まとめ

  1. 特許料等の軽減の対象となる料金は、審査請求料と第1年分~第10年分の特許料のみである。出願料は軽減されない
  2. 審査請求料と特許料(第1年分~第10年分)が原則の額の半分に軽減される
  3. 特許料等の軽減の対象となるには、ものづくり系施策の認定や設立10年未満といった要件がある
  4. 特許料等の軽減を受けるためには、料金を支払う前に軽減対象であることの確認を受けることが必要である
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