創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。 創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。
人材関連
2018.12.12

障害者雇用安定助成金

多くの企業で人手不足が経営課題となっています。この課題を解決するためには、これまで活用が不十分だった人材を積極的に採用していくことが重要です。このような人材として高齢者とともに挙げられるのが障害者です。

障害者の就労を促進するための職場環境づくり

障害者の働く環境は改善しつつありますが、依然として雇用義務のある企業の約3割が障害者をまったく雇用していない状況にあります。障害者が希望や能力、適性を十分に活かし、障害特性等に応じて最大限活躍できるようにするため、福祉就労の場を障害者がやりがいをより感じられる環境に変えていく必要があります。
 ここでは、障害者等の職場適応・職場定着を図ることを目指す企業に対する支援として、「障害者雇用安定助成金」をご紹介します。

障害者雇用安定助成金の概要

障害者雇用安定助成金は、雇用する障害者の職場定着を図るため、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫、職場定着に困難を抱える障害者に対する支援、および労働者の障害や傷病の特性に応じた治療と仕事を両立させるための制度の導入に対して助成するもので、3コースが設けられています。まずは各コースの概要を確認しておきましょう。

障害者職場定着支援コースの助成を受けるには

3つのコースのうち、ここでは(1)障害者職場定着支援コースと(3)障害・治療と仕事の両立支援制度助成コースについて見ていきます。なお、ここで見るのは代表的な要件のみで、要件のすべてを挙げているわけではありません。詳細は厚生労働省のホームページに掲載されているパンフレット等をご参照ください。

(1)障害者職場定着支援コースの助成を受ける要件
 障害者職場定着支援コースは、障害者の雇用を促進するとともに、職場定着を図るため、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じることを推進するものです。このような措置として次の6つがあります。

障害者職場定着支援コースの助成を受けるには、対象労働者(身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難治性疾患のある方、高次脳機能障害のある方)に対して、次の要件を満たしつつ各措置を行う必要があります。また、このほかにも各措置に応じた要件がありますので、ご注意ください。

ア.職場定着支援計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けること

イ.計画期間内に職場定着に係る措置に取り組むこと

ウ.所定の期間内に、一般被保険者等を事業主の都合によって解雇していないこと
 所定の期間は、職場定着に係る措置の開始日の前日から起算して6ヵ月前の日から1年を経過する日までの間です。

エ.ウ.の所定の期間内に、一般被保険者等を特定受給資格者となる離職理由により、当該職場定着に係る措置の開始日における一般被保険者等の6%を超えて、かつ4人以上離職させていないこと

オ.対象労働者を職場定着支援計画の期間を超えて雇用し、かつ、継続して雇用することが確実であると認められること
 「継続して雇用」とは、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。

カ.本助成金の申請に要する経費について、全額負担すること

キ.支給申請時点において、支給の対象となる対象労働者について解雇していないこと

ク.職場定着に係る措置の開始日以降において、当該対象労働者について最低賃金法第7条の最低賃金の減額の特例の許可を受けていないこと

(2)障害者職場定着支援コースの助成を受ける手続き
 障害者職場定着支援コースは他の助成金とやや異なるところがあるため、手続きの際には注意が必要です。他の助成金は一括払い、障害者職場定着支援コースは分割払いと考えると理解しやすいでしょう。
 各措置に応じて1年または2年の支給対象期間が定められており、これを6ヵ月ごとの支給対象期に分割します。支給申請は、支給対象期分の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内に行います。全体のスケジュール例を以下に示します。

障害・治療と仕事の両立支援制度助成コースの助成を受けるには

障害・治療と仕事の両立支援制度助成コースは、労働者の雇用維持を図るため、労働者の障害や傷病の特性に応じた治療と仕事を両立させるための制度の導入を推進するものです。反復・継続して治療を行う必要がある傷病を負った労働者、または障害のある労働者の、治療と仕事の両立を支援するための就業上の措置を行うことが必要です。

(1)障害・治療と仕事の両立支援制度助成コースの助成を受ける要件
 対象となる労働者は、傷病、障害に応じて次のようになります。

<傷病を負った労働者>
 a)がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎等の反復・継続して治療が必要となる傷病を負った方で、治療と仕事の両立のために一定の就業上の措置が必要な方
 b)治療の状況や就業継続の可否等に関する主治医の意見書において、一定の就業上の措置が必要な期間が3ヵ月以上で、かつ、事業主に対して支援を申し出た方

<障害のある労働者>
 a)身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難治性疾患を有する方、高次脳機能障害のある方
 b)障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律施行規則第6条の10に規定する「就労継続支援A型」の事業における利用者でない方

これらの労働者に対して、次のすべてを満たす両立支援制度を導入します。

ア.事業主が雇用している対象労働者または新たに雇い入れる対象労働者の、障害や傷病に応じた治療のための配慮を行う制度であること
 この制度として、時間単位の年次有給休暇、傷病休暇・病気休暇等の休暇制度や、フレックスタイム制度、時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務(テレワーク)、試し出勤制度等の勤務制度等が挙げられます。

イ.雇用形態を問わず適用される両立支援制度であること

ウ.当該制度が実施されるための合理的な条件(両立支援制度を労働者に適用するための要件および基準、手続き等)が労働協約または就業規則に明示されていること

エ.対象労働者(傷病を負った労働者)に関する治療の状況や就業継続の可否について、主治医意見書に関する費用を事業主が負担するものであること

(2)障害・治療と仕事の両立支援制度助成コースの助成を受ける手続き
 傷病を負った労働者の場合を例に、全体のスケジュール例を以下に示します。

平成30年度に予定されている変更点

ここまでは平成29年度に実施されている内容です。障害者職場定着支援コースと障害・治療と仕事の両立支援制度助成コースに関して、平成30年度は以下のような変更が予定されています。

<障害者職場定着支援コース>
 (1)7つ目の措置として、中高齢障害者を職場で継続的に雇用するための職務内容や職場環境の整備を行うことが新設されます。この場合の助成額は70万円(中小企業以外は50万円)です。

<障害・治療と仕事の両立支援制度助成コース(改称)>
 (1)両立支援制度の導入と労働者への適用がセットであったものを、環境整備(制度導入)と制度活用のそれぞれで助成されるようになります。

まとめ

  1. 障害者の雇用を増やすのであれば、障害者雇用安定助成金を活用することができる
  2. 障害者雇用安定助成金には3コースあり、障害者等の職場適応・職場定着を図ることを目的としている
  3. 障害者職場定着支援コースは、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じる場合の支援で、措置として6つ定められている
  4. 障害・治療と仕事の両立支援制度助成コースは、労働者の障害や傷病の特性に応じた治療と仕事を両立させるための制度を導入する場合の支援である
  5. 毎年度、内容が変更されるため、注意が必要である
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