創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。 創業から事業承継まで、施策の活用メリットを具体的に紹介します。
人材関連
2018.12.11

キャリアアップ助成金

近年、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者等、正規雇用でない雇用形態で働く方(非正規雇用労働者)が増えています。企業が生産性を上げていくために、このような非正規雇用労働者が仕事ぶりや能力の評価に納得し、意欲を持って働ける職場環境づくりが求められています。

非正規雇用労働者の企業内のキャリアアップが重要

非正規雇用労働者の数は年々増加しており、平成28年には2,016万人に上っています。これは雇用者全体の37.5%を占めるに至っています。このような非正規雇用労働者の中には、不本意ながら非正規で働いているという方が15.6%存在しており、仕事ぶりや能力の評価に納得し、意欲を持って働きたいという思いを持っています。
 企業が人材不足を改善するためには、労働者一人ひとりの生産性を上げ、同時に職場への定着を促すことが必要です。そこで、非正規雇用を取り巻く雇用環境を改善し、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消や、不本意非正規雇用労働者の正社員化につなげるため、「キャリアアップ助成金」を活用することができます。

キャリアアップ助成金の概要

キャリアアップ助成金は、正社員化、人材育成、処遇改善の取組みを推進するためのもので、平成29年度は8コースが設けられています。まずは各コースの概要を確認しておきましょう。

正社員化コースの助成を受ける要件(労働者)

8つのコースのうち、ここでは活用している企業が最も多い(1)正社員化コースについて見てみます。なお、ここで見るのは代表的な要件のみで、要件のすべてを挙げているわけではありません。詳細は厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html)に掲載されているパンフレット等をご参照ください。
 正社員化コースは、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成を受けることがでます。転換前後の雇用形態と助成金の支給額をまとめると、次のようになります。

いずれのパターンも、より安定した雇用形態への転換を推進するものです。ここでの正規雇用労働者には、勤務地、職務内容、勤務時間等を限定した「多様な正社員」も含まれます。

以下に、正社員化コースによる助成の対象となる労働者の要件を列挙します。

ア.通算して雇用された期間が6ヵ月以上の労働者であること
 一定の期間雇用した労働者に対する助成とするため、6ヵ月以上を要件としています。この要件がなければ、極端なケースでは1日だけ有期雇用とし、次の日から正規雇用とすることもできてしまうため、このような制度の乱用を防ぐ趣旨と考えてください。

イ.正規雇用労働者等として雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者等でないこと
 有期雇用労働者等の処遇改善を目的とするものですので、最初から正規雇用となることが決まっている場合には対象になりません。

ウ.以前にその企業で正規雇用や無期雇用で雇用された者でないこと
 転換日の前日から過去3年以内に、正規雇用(正規雇用、無期雇用への転換)、無期雇用(無期雇用への転換)であった者は対象になりません。

エ.転換または直接雇用を行った適用事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること

オ.一定の期間において、支給対象事業主と資本的、経済的、組織的関連性等から密接な関係にある事業主に正規雇用や無期雇用で雇用された者でないこと
 ウ.の要件と類似していますが、親会社や子会社に雇用されていても対象にはなりません。なお、一定の期間とは、転換日の前日から起算して1年6ヵ月前の日から、当該転換日の前日から起算して6ヵ月前の日までの間をいいます。

カ.短時間正社員に転換された場合にあっては、原則、転換後に所定労働時間または所定労働日数を超えた勤務をしていない者であること

キ.就労継続支援A型事業における利用者以外の者であること

ク.支給申請日において、転換後の雇用区分の状態が継続し、離職していない者であること

正社員化コースの助成を受ける要件(事業主)

続いて、対象となる事業主の要件を見てみます。

ア.有期契約労働者等を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する制度を労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定していること
 社内の制度として、正規雇用等への転換をきちんと規定しておく必要があります。

イ.上記ア.の制度の規定に基づき、雇用する有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換したこと
 制度を作った後に転換を行うものであって、転換した後に制度を作っても助成の対象にはなりません。

ウ.上記イ.により転換された労働者を、転換後6ヵ月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して転換後6ヵ月分の賃金を支給したこと
 より安定した雇用形態への転換を推進するものですので、転換後すぐに離職していた場合は対象になりません。

エ.多様な正社員への転換の場合にあっては、上記ア.の制度の規定に基づき転換した日において、対象労働者以外に正規雇用労働者を雇用していたこと
 多様な正社員は、勤務場所や職務内容が限定されている労働者です。そのほかに、これらが限定されていない正規雇用労働者がいなければなりません。

オ.支給申請日において当該制度を継続して運用していること
 正社員化の制度を社内に定着させることを推進する助成金ですので、すぐに制度をやめてしまうようでは対象となりません。

カ.転換前の基本給より5%以上昇給させていること
 この要件は、平成29年度時点では有期契約労働者を無期雇用労働者に転換した場合にのみ要求されます。しかし、平成30年度にはすべてのパターンに拡大される予定です。

キ.所定の期間内に、事業主都合での解雇をしていないこと
 所定の期間は、転換日の前日から起算して6ヵ月前の日から1年を経過する日までの間です。

ク.所定の期間内に、特定受給資格離職者として受給資格の決定が行われたものの数が、その事業所における転換日の雇用保険被保険者数の6%を超えていないこと
 所定の期間は、転換日の前日から起算して6ヵ月前の日から1年を経過する日までの間です。

ケ.雇用する労働者を他の雇用形態に転換する制度がある場合にあっては、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用していること

コ.正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換した日以降の期間について、当該者を雇用保険被保険者、社会保険の被保険者として適用させていること

正社員化コースの助成を受ける手続き

正社員化コースを受けるためには、労働者、事業主のそれぞれに多くの要件が求められます。これらを満たしつつ制度を適用していくことに留意してください。全体のスケジュール例を以下に示します。

平成30年度に予定されている変更点

ここまでは平成29年度に実施されている内容です。正社員化コースに関して、平成30年度は次のような変更が予定されています。

(1)有期→正規、有期→無期の場合の対象となる有期契約労働者が転換前に雇用された期間は、3年以下に限られるようになります。

(2)有期→正規、無期→正規の場合の対象となる労働者について、転換後の賃金を一定の割合(5%)以上増額しなければならなくなります。

(3)対象となる措置を講じた労働者の上限人数が、一事業所当たり20人に拡大されます。

まとめ

  1. 非正規雇用労働者の処遇を改善しつつ活用するために、キャリアアップ助成金が利用できる
  2. 正社員化コースは、有期→正規、有期→無期、無期→正規への転換に活用できる
  3. 満たすべき要件が非常に多いため、あらかじめ整理して準備をしておく必要がある
  4. 毎年度、内容が変更されるため、注意が必要である
登録無料

J-Net21新着情報メールマガジン

毎週火曜日、元気に活躍する企業の情報や経営に関するQ&Aなど、中小企業ビジネス支援サイト「J-Net21」で更新されたお役立ち情報をお届けします。登録は無料です。

ご登録はこちら