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経営革新
■費用を最小限に抑えたIT導入による業務改革への取り組み
徳島県中小企業支援センター(財団法人 とくしま産業振興機構)

大亜ツール工学株式会社
業   種金属製品製造業  ソフト構築に伴う、指導者のみごとなアドバイスと、社内技術能力が結集し、ここまでたどり着くことができました。完成までにさらなる努力をし、より一層の効率化・業務の改善を図って参りたいと思います。
本社所在地徳島県徳島市
資 本 金1000万円
創   業昭和38年11月
(1985年)
売 上 高167,000千円 代表取締役
従業員数10名 大向 弘重


■情報システムを全面的に見直し業務の効率化とスピードアップを図る
 
1.経営環境
 当事例企業の主要市場である木工関連産業の国内生産高は近年著しく落ち込んでおり、需要環境は極めて厳しい状況にある。一方、特注刃物製造については、高品質と短納期対応が高く評価され、当分野の受注量は増大傾向にある。
 当企業では、思い切った組織改革を実施し、ピーク時の約半数の人員で業務を遂行する態勢を整えたことで、競争力強化を図るとともに、やる気のある少数精鋭のメンバーにより業務改革を行うことが可能な態勢となっている。

2.情報化の状況
 情報化面では、パソコンLAN上で、販売管理・購買管理・CAD/CAMの各システムが利用されていたが、すでに導入から10年近く経過し、機器老朽化による故障や代替機調達の面で不安があった。また機能面でも、当企業の業務にマッチしていない販売業向けパッケージ製品を利用していたうえ、独自の機能追加や蓄積データの活用を新しいパソコン環境上で容易には行えないという問題があった。CAD/CAMについても、新しい加工機に完全には対応しておらず、CAMデータをベテラン社員が手動で調整する必要があること等の問題があった。
 生産管理面では、スケジューリングや所要量計算等の本格的な生産管理システム機能の必要性は小さいものの、生産実績データを記録して進捗管理と実績分析を行うことの必要性は以前より指摘されていた。
 営業部門では、ワープロや表計算等の汎用ソフトウェアが個々に利用されているのみであった。特に煩雑となる再研磨等の預かり品の管理を、基幹システムの受注管理機能と連動させて実施することの必要性が従来から認識されていたものの、手つかずの状態となっていた。

3.取り組み課題と目的
 こうした環境下、まずは「老朽化した既存の販売・購買管理システム環境を更新し、日常的業務の遂行に支障をきたさないよう対策すること」が短期的なシステム課題であった。そのうえで、従来からの懸案である「受注〜購買〜生産〜在庫〜販売〜請求・支払という一連の基幹業務の流れを統合的にコントロールし、全社的な業務効率化とスピードアップを図ること、及び、迅速で正確な実績把握に基づいて管理水準の向上を図ること」が中期的な課題であった。
 これらの課題への対処を目的として、とくしま産業振興機構の専門家派遣制度による支援を受け、段階的な情報システム化に取り組むこととなった。

■システム構築の基本方針と実施のプロセス

 当面は費用を最小限に抑えるため、以下の3点を基本方針とした。

 [1]ハード・ソフト調達やシステム環境設定等を社内で実施する。
 [2]機能変更・追加が可能な廉価なパッケージを導入し、
    簡易データベースツールを利用して、社内で機能の変更・追加を順次実施する。
 [3]サーバー専用機他は当面導入せず、既存資源を利用しつつ、
    進捗状況に応じて順次最適なハードウェアの導入を検討していく。

 こうした基本方針の下、以下のようなプロセスで段階的なシステム構築・導入が実施された。

(1)基本方針・基本計画・役割分担の設定
(2)システム環境とパッケージ製品の選定
(3)販売・購買管理システムの更新
   1.テスト環境構築、標準機能の学習
   2.不足機能の洗い出し
   3.機能変更および機能追加作業
   4.旧マスター・過去データの変換・移行
   5.テスト稼働、本格稼動開始
(4)各種集計機能の付加(販売・購買実績)
   1.集計帳票検討、集計プログラム作成
   2.計画実績管理機能の追加作成
(5)CAD/CAMシステムの移行準備
   1.Windows版への社内独自機能の適用検討
   2.独自機能の開発(開発元に依頼)
(6)受注管理機能の見直し
(7)受注・売上入力の営業担当者への移行
(8)生産管理機能の追加(今後実施)
   1.生産管理業務の定義・フロー設定
   2.実績集計内容検討〜システム開発


■短期的課題には対応、今後は本格的な改革に

 これまでの段階で、販売・購買管理システムの更新は完了し、当面の短期的課題への対応がなされて、事務部門は最少の人員で業務遂行が可能な状態になった。蓄積されたデータを活用した各種集計機能も整備され、営業担当者による受注入力にはじまる営業管理のしくみも動き出した。これにより、迅速な顧客対応が可能となり、また、行動と成果の関係を継続的に検証する仮説検証型の改善活動が浸透するものと期待される。
 しかし、当事例が真の成功事例となるか否かは、今後の当企業の取り組み如何による。今後の段階の対象範囲は、従来のままでも日々の仕事を進めることはでき、これまでも改革とシステム化の必要性を感じながらも放置されてきた部分である。これを"変える"には、全社を挙げた協力態勢の下、高い目的意識と強い改革意欲をもって取り組むことが求められる。
 "目前の忙しさ"を理由に"改革"が二の次となってしまうことなく、当初目的を達する情報システム化を実現し、当事例が同様の課題を抱える中小企業のモデルとなることが大いに期待される。


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