|
■ 強みを活かした経営戦略策定支援と工場改善による経営改革
静岡県中小企業支援センター(財団法人 しずおか産業創造機構)
| 村松機工株式会社
|
| 業 種 | : |
金属製品加工業
|  |
「ピンチをチャンスに!」
決然と一歩前進に1年を精進努力してくれた社員諸君を私は誇りに思う。デフレ不況の渦中にあった弊社は最悪の経営状態であったが、しずおか産業創造機構、主力取引先の地元信金、そして派遣されたアドバイザーの皆さんとの良縁で弊社社員は心を1つにして、ここまで改革できた。私も「感激・感動・感謝」の三感王になれた。まだまだ発展途上である。
|
| 本社所在地 | : |
静岡県焼津市 |
| 資 本 金 | : |
1000万円 |
| 創 業 | : |
昭和45年6月
|
| 売 上 高 | : |
328,495千円 |
代表取締役 |
| 従業員数 | : |
19名 |
村松 清一
|
■強い危機感から経営革新に踏み切る
当社は近年まで、高い溶接技術と大型機械加工機を活用し、主に造船・工作機械・移動体通信業界等へ製品を提供してきた地場の優良企業であった。しかし同業界の海外展開による市場衰退、加工単価値下げ要求の激化により、平成13年度から売上が激減し、経営状況が悪化した。非常に強い危機感を抱いた経営陣は、当支援センターと主要取引金融機関である地元信用金庫と相談し、専門家派遣制度を利用することとした。
当社は造船業界で培った高い溶接技術・機械加工技術そして広い人脈を有していたが、経営体質が古くさまざまな課題が存在していた。
主な課題は、以下の4点である。
(1)経営陣の経営改革意識が共有化されていない。特に自社の強み・弱みの理解が共有化されていない。
(2)経営計画がない。経営方針はあるが、ビジョン・今後の事業領域が不明確であり、具体的な経営計画がない。売上の見通しも甘く把握されていない。
(3)作業者は各人の技術能力は高いが、個人プレーによるムラ・ムリ・ムダが多い。
(4)工場内の5Sが悪い。製缶作業が主ということもあるが、工場内が雑然としていた。特に、ムダ取り・改善意欲は感じられなかった。
ただ、個人個人の改革意欲・技術レベルは高く、これが1つにまとまれば相当な改革ができる可能性は強く感じた。
■支援はトップダウンとボトムアップの双方から
当社の強みを引き出すために、トップダウンとボトムアップの双方から支援していった。トップダウンとしては、
(1)まず経営陣の意識改革としてSWOT分析を行い、自社の強みを認識し共有化した。これにより、各経営陣の思いが統一され、進むべき方向が明確になってきた。 (2)次に経営方針・経営ビジョンの共有化。自社の強みを活かせるような経営方針・ビジョンを再構築した。 (3)経営戦略の策定。重要成功要因を抽出し、基本的な経営戦略の立案、各部門別の経営計画の構築を行い、実施することを明確にした。 (4)経営革新的な戦略内容を強化し、中小企業経営革新支援法承認へ挑戦した。
人的資源を有効に活用し、当社最大の強みである大型機械加工機を増設して、売上・利益の大幅アップを狙う計画である。
ボトムアップ対策としては、 (1)5S活動を全社的に展開することにより、グループ活動を活性化して改善意欲を高めた。この活動は、経営者の理解も深く、徹底的に行われた。 (2)工場パトロールによる改善能力の向上。工場長を中心に現場パトロールを定期的に行い、ムダ・改善点の発見能力を向上させた。 (3)製缶作業・機械加工作業での多能工化を図った。
以上のように、工場の根っこ改革としての、5S活動と、経営陣の思いを活かした経営戦略の構築、実行を短期間に平行して進めていったことが最大のポイントである。
■経営者、社員、アドバイザーが1つの方向をめざした経営革新
当社は、わずか1年間で、売上及び利益を回復させ、経営危機の回避を成し遂げた(グラフ参照)。また、平成15年秋に中小企業経営革新法の承認も取得した。成功要因としては、 (1)経営者の経営革新に対する熱意・素直さ・根気が非常に高く、革新活動を継続させていったことが最大である。特に、アドバイザーの助言が100%受け入れられ、信頼関係が強く構築できた点は特筆できる。 (2)自社の強みを共有化でき、強みに基づいた経営戦略が立てられ実行されたこと。 (3)経営陣はじめ社員全員の、潜在能力・やる気を引き出せたこと。やる気になれば人の力はすばらしいことを実証できた。 (4)人的ネットワークの広さ・加工技術の高さも、売上の増加・革新計画の推進に大きく寄与した。 (5)社内コミュニケーションが大きく改善され、自由に発言できる雰囲気が構築できたことも、根っこの改革では重要であった。
経営者と社員がアドバイザーと同じ方向を向いて経営革新に取り組んだ好事例である。経営革新法の承認も取得され、今後ますますの躍進が期待される企業である。
◆支援担当者:静岡県経営支援アドバイザー
妹尾一志(中小企業診断士)
|