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創業型
■「自助努力」と助成金・アドバイザー派遣活用による販路拡大
大阪府中小企業支援センター((財)大阪産業振興機構)

株式会社 UTK
業   種水質・生物活性化
装置の製造・販売 



 ベンチャー企業を起こす場合、困難な問題は多くありますが、大きくは製品開発、販路開拓、資金調達の3点と考えます。
 「テイクオフ大阪21」の認定により、助成金でのスムーズな製品開発、社会的な信用、アドバイザーによる販路開拓が上手く機能し、おかげさまで当初の計画どおり黒字決算が可能となりました。
 今後とも一層の努力と、さらなるご支援、ご指導を頂き、事業の安定成長をめざす所存でございます。
本社所在地大阪府大阪市
資 本 金1000万円
創   業平成15年1月
(1985年)
売 上 高200,000千円 代表取締役
従業員数9名 田中 健二


■経営理念は「水と共に生きる」3人の共同研究からスタート
 
 今回事例に取り上げる水質・生物活性化装置メーカー・UTKの田中健二社長は、損害保険会社在職中から水と空気の環境問題に関心をもち、3人で共同研究を開始した(3人の名前からUTKの名称が決まった)。『「良い水」とは、好気性の微生物や水生生物が多数生存繁殖し、それらが活発に活動し自然な"生物循環""生物浄化"が恒久的に可能な「活性化された水」である』という考えを理念とし、その具体化のための装置を開発しようという研究である。
 現在、ため池や湖沼、ダム、鑑賞池、人工水系施設などの閉鎖性水域は慢性的に有機汚濁化されている。生活排水の流入や人的な護岸工事などにより、富栄養化し、さらに温暖化により、アオコの発生、藻類の異常繁殖、悪臭などが多発し、環境にも悪影響を与えている。
 このような状況を打開するための試行錯誤を重ねた末、生物処理法である活性汚泥法・曝気法を基本とする水質・生活活性化装置「グラナ」を完成させ(特許出願)、勤務していた損害保険会社の解散を機に事業化を開始した。

■装置性能の検証実験で競争優位性が確認される

 「グラナ」はため池などの閉鎖性水域で貧酸素化状態にある環境を改善し、アオコや藻類の発生を抑え、悪臭を解消する装置であり、しかも薬品や処理剤を一切使用しない。
 つまり、対象となる水域に空気を送り込み、酸欠状態を解消するのと併せて水中に生息する好気性土着菌を活性化させる曝気装置である。
 しかし先発企業も多く、また装置の性能や構造についても、薬剤やバクテリアの投与、ろ過・攪拌循環装置、人工滝や噴水などの設置のために高額な費用を要するものなど多岐にわたっており、こうした業界特性のなかで「グラナ」の優位性を訴えてもなかなか取り上げてもらえず、コストだけがかかる状態がつづいていた。
 ところが、平成14年4月、大阪版SBIR(中小企業技術革新制度)事業に応募し、その認定を受けたことにより、大阪府泉南郡熊取町の長池での「グラナ」の検証実験が開始された。
 そして同年10月には実証結果を公表することができ、その競争優位性が確認された。またテレビでこの検証実験の様子が特集で放映され、販売促進に大きな効果をもたらした。



■助成金制度を活用してマスコミでは一躍有名企業に

 事業化の目途が立ち、法人設立を計画していた平成14年12月に、(財)大阪産業振興機構(大阪府中小企業支援センター)の事業可能性評価事業「テイクオフ大阪21」に申請し、そこで高い評価で認定され、助成金(創業バックアップ奨励金)も最高の400万円の交付を受けた。
 収入の少ない事業立ち上げ期の資金援助は実に有効であり、さらに「テイクオフ大阪21」の認定は社会的信用力ともなった。
 また、京都の有名神社仏閣の景勝池や全国の各自治体の池やダムに至るまで代理店と連携して実験検証を進めるなかで、一定の販売活動の成果はあったが、本格的な販路開拓まで手が届かない状況にあった。
 こうしたなかで同支援センターのアドバイザー派遣制度を活用し(平成15年11月末までの活用回数17回)、時にはアドバイザーの人脈を使った支援も得ながら徐々に販路と代理店を拡大し、現在全国二十数カ所において装置導入にこぎつけており、初年度から黒字決算になる見込みである。
 また平成15年10月には、池田銀行主催の「ベンチャー助成金制度」へ応募したところ、優秀賞と奨励金50万円を授与され、それらに関連してマスコミからの取材も増え、一躍有名企業にまで成長している。
 来期もすでに全国約30カ所の導入予定案件があり、また新たな技術開発のため、「中小企業創造活動促進法」を利用して実験検証する予定も入っているなど、いよいよ本格的な事業展開となった感がある。

■最大の成功要因は自助努力目標は10年後の上場

 田中社長は「厳しい経済環境下において、環境分野での弊社のこのような実績をつくり得たのは、(1)既成概念の打破、(2)強い経営理念、(3)経験則により積み上げた継続的な技術開発、(4)独自な販路開拓、(5)コンプライアンスの遵守と誠実な対応の5点と、この5点に対する多くのチェック機能が働き、失敗と時間や経済的なロスを最小限に留めたこと」と総括されている。
 このような自助努力と相まって、「大阪府SBIR事業」による高い性能評価や「テイクオフ大阪21」の認定による社会的信用力や助成金、アドバイザー派遣などの効果的支援、地方銀行主催のベンチャー支援事業などがタイムリーにかみ合い、さらにそれらをマスコミが報道してくれることで、社会的信用力がますます高まり、販路拡大にもつながるなど、結果的に1つの成功事例となったと考えられる。
 国や都道府県などの各種支援メニューは多岐にわたるが、やはり対象企業の経営理念に裏打ちされた自助努力が最大の成功要因である。
 環境保護はいまや世界的規模での問題であり、日本国内でも、水と空気はタダという認識から徐々にコストがかかるものと変化しており、環境分野への対応ニーズは確実に増大する。
 田中社長は「将来的には養殖場や下水道分野の市場も拡大したい。目標は10年後の上場です」とその抱負を語っている。たゆまぬ技術革新とさらなる販路開拓でさらなる飛躍を期待したいものである。

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