|
■ システムLSI化技術で社会のニーズを具体化
京都府中小企業支援センター(財団法人 京都産業21)
| アーベル・システムズ株式会社 |
| 業 種 | : | 半導体設計開発
|
 |
創業当時から資金調達が大きな課題でしたが、支援センターである京都産業21主催の「ビジネスプラザ京都2002」に参加したことで、ベンチャーキャピタルからの投資が実現し、その後のフィジビリティ・スタディ調査やビジネスプラン実現のためのアドバイスもいただいて、これまでの研究開発の事業化が一気に加速しました。支援センターの御協力には、たいへん感謝しており、今後もよきサポーターとしてお付き合いさせていただきたいと思います。
|
| 本社所在地 | : | 京都府京都市 |
| 資 本 金 | : | 2億9900万円 |
| 創 業 | : | 平成12年3月 |
| 売 上 高 | : | 1億6728万円 |
代表取締役 工学博士 |
| 従業員数 | : | 18名 |
鈴木 文雄
|
■人にやさしいシステムLSIで社会貢献に特化した活動を展開

歴史と伝統の古都・京都は、平安遷都以来1200年ものあいだ、西陣織や京友禅に代表される伝統産業が受け継がれている一方、京セラ、オムロンなどの独創的なベンチャー企業発祥の地としても広く知られている。
システムLSIや半導体回路の設計を本業とするアーベル・システムズ株式会社もこのような京都の土壌から生まれた有力なベンチャー企業の1つである。同社は、平成12年3月に設立された若い会社であるが、「人にやさしく、生活に即応したシステム」をLSIの活用によって具体的に実現していく「システムLSI事業」を経営の柱として、革新的な製品開発を手がけている。
鈴木文雄社長は、九州大学大学院情報工学科博士課程修了、三菱電機株式会社の元応用技術部長の経歴をもち、21世紀を迎えて多様化するニーズに対処していくため、20年前からこのシステムLSIの必要性を主張して、研究開発を続けてきた。また、株主構成も、大学教授等30%、新進気鋭の起業家30%、企業OB30%と個性的で、大学・研究機関からの幅広い提案や協力が可能な組織体制となっている。
■支援策を活用して資金調達を実現
同社が、現在急速に事業化を進めている分野の1つが新方式太陽電池の開発・販売である。
これは太陽光を電磁波として捉え、高効率の集光を可能とする同社のキーテクノロジーの1つである「誘電体アレーアンテナ」を特別の製造プロセスで安く製造し、これを太陽電池セル上に装荷することにより、エネルギー変換効率の大幅な向上を低価格化で実現するものである。
この技術を商品化し、販路拡大を図っていくためには、自己資本の増強や追加運転資金を確保する必要があったが、創業後の初期段階において研究開発に専念する経営方針を採っていた同社は、当然のことながら資金調達が大きなネックになっていた。そこで、京都府の中小企業支援センターである財団法人京都産業21の支援施策「ビジネスプラザ京都2002」に参加して出資者を募ることにした。
この制度は、ベンチャーキャピタル関係者や投資家、ビジネスパートナーなどの関係者に対して自社の技術製品のプレゼンを実施し、投資や商談などのマッチングを進めるものである。
同社も平成13年11月に当財団の事業可能性評価委員会でビジネスプランについての審査・評価を受けたあと、専門家による徹底したプレゼンのブラッシュアップ指導によりノウハウを習得した。そして、翌14年2月に日本政策投資銀行(東京)、3月に国立京都国際会館の2会場でプレゼンを行った結果、ビジネスプランの成長性・将来性などが評価され、ベンチャーキャピタル6社から、総額1億8000万円の投資を得ることに成功した。結果として、当初の調達希望金額を上回る金額を調達でき、これを契機に開発製品の商品化が大きく前進することとなった。
なお、このビジネスプラザに参加した他社からも、専門家による指導がたいへん効果的で、その後の事業展開に大いに役立っているとの感想が寄せられている。
■フィジビリティ・スタディ(F/S)調査でた販路開拓の戦略を練る
将来的に期待されるこの新方式の太陽電池は理論的に実証されてはいるものの、実際に商品化を進める際には、同社で想定している基本性能や仕様、販売分野、価格設定などが市場ニーズに適合しているか否かを事前に検証しておくことがどうしても必要であった。
この課題についても、当財団の販路開拓の支援策である「ビジネスプラン可能性調査支援事業」のサポートを受けることになった。これは、ビジネスプランの商品化・事業化に必要な実現可能性調査(フィジビリティ・スタディ(F/S)調査)を民間調査機関に委託して実施し、その調査データを提供するものである。そして、調査の際には、内容にブレが生じないように、支援センターのPM・SMの統括的な指導、管理の下に作業が進められる仕組みとなっている。
同社の場合も、用途別の性能・品質のレベルや適正価格帯に関する市場データを入手し、具体的なマーケティング戦略を確立することが可能となった。
■売上も急速に伸び将来を期待される企業に

本方式による高効率エネルギー変換原理は、デジタルカメラや液晶ディスプレイ、発光ダイオード(LED)などの多用途への応用が可能であり、すでに大幅な高輝度化を実現できる「誘電体ナノ・アンテナ付高輝度発光ダイオード(LED)」の事業化にも着手している。近畿経済産業局の近畿エネルギー・環境高度化推進プロジェクト(EEネット)の指導も得て、大手LED製造会社との共同開発など、量産化に向けての条件も整えた。
売上は14年度が1億6728万円と初年度の3倍以上に上昇し、資本金も支援開始前の2倍近くに増強。今は、これらの新製品に同社の得意とするシステムLSIを機能的に搭載して、最終的にオリジナリティのある製品として市場へ打ち出していく正念場を迎えている。
鈴木社長は、「研究開発過程において、よいタイミングで効果的な支援策を活用できたことが、よい結果につながった。」と語る。
新しいアイデアの創出、製品開発を進め、世界に通用する企業としての今後の活躍が大いに期待されている。
|