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創業型
■インキュベータ入居企業に対する適切な専門家派遣での人材育成支援
神戸市中小企業支援センター(財団法人 神戸市産業振興財団)

株式会社シーナ
業   種ソフトウェア開発
(介護関連) 

 神戸市中小企業支援センター様との出会いは、創業3カ月前の合同支援説明会でした。同センターのインキュベーションを知り、弊社が行う介護事業にはお客様の信用を得るうえで最高の環境でした。入居により、他の創業ベンチャーのなかに身を置き、皆が同じような悩みをもち、解決方法も具体的にアドバイスいただけました。創業3期目を迎えた現在、新たな悩み事が次から次に発生するなかで、なかなか卒業できそうにないのが不安です。今後とも、ご指導ご支援をお願いします。
本社所在地神戸市中央区
資 本 金2100万円
創   業平成13年8月
(1985年)
売 上 高36,003千円 代表取締役
従業員数6名 糟谷 有彦


■介護現場の混乱を憂いて創業を決意
 
 シーナ(Care Information Network Association)は介護分野のITシステム会社として、平成13年に糟谷有彦社長がIT関連企業を脱サラして起業した。
 社長が父母の介護経験から介護保険制度の施行による介護現場の混乱や情報不足による被保険者の不安を憂い、創業を決意した。
 平成13年5月に神戸市産業振興センター企業育成室に応募、審査の結果、7月からの入居が決まった。同月には、兵庫県新産業創造プログラムの事業化認定も決まり、株式会社シーナの設立に至る。
 シーナの当初の事業は、メーカーとのタイアップ商品「ナーシングネット」の販売であった。これは、かつて糟谷社長が勤めていた会社の商品で、彼はその代理店として事業の足がかりをつかむこととなる。この商品は居宅支援のアセスメントからケアプランの作成、介護報酬請求、訪問用各種報告書等がiモードやパソコンから簡単に作成できる。
 一方、自らの父を介護したときの経験から、地域の介護情報があまりにも少ないことを痛感し、困った方々の助けになりたいとの思いから、介護情報ネットワーク協会を立ち上げた。これは要介護者や介護事業者の方々が地域での情報交流を図れるように、ホームページを中心に運営されるネットワークで、年々充実してきている。
 シーナが入居した企業育成室では毎月1回交流会を開催し、マーケティング、資金計画、労務等のテーマで、経営の基礎を勉強するとともに、3〜6カ月ごとに事業の進捗状況をマネージャーがヒアリングして支援内容を検討する。

■商品化には成功したが人的資源が不足

 シーナでは新規事業展開を積極的に行い、神戸市産業振興財団が行うマーケティング支援制度や兵庫県の助成制度等も活用して、簡易カード発行システム「らくらくけんたくん」の開発・販売を開始する。このカードと出退勤システムやASPによる介護事業者の総合管理システム「ハッピーケアシリーズ」は介護事業者向けの総合ソリューションとして、のちに販売されることとなる。
 その間、同社に2足歩行ロボットの技術者が合流し、ロボット技術の介護事業への応用を模索することとなる。人間のような介護ロボットというのはいまだ実現は難しいが、2足歩行を達成するためには複数センサの制御が必要であり、その技術を応用する「離床・離席センサ」を現在開発中である。また、近い将来、排泄介助・入浴支援ロボットや車椅子の移動ロボットの実現も視野に入れている。
 このように商品開発が進むなか、販売の本格化に向け、営業責任者に大手企業の退職者を雇用したが営業効果があがらなかった。
 ちょうど同じ時期に、事業の立ち上げ当初から一緒に働いてきた従業員が病に倒れた。その従業員は長期にわたって仕事を任せられないような状況だったが、糟谷社長は、最初から一緒にいた従業員に対して情からなかなか退職勧告ができなかった。従業員が少数しかいない企業で1人分の人的資源がなくなれば大きな痛手となるのは誰の目にも明らかであった。
 そこでマネージャーは、経営と情とのあいだで揺れる社長に対して、経営の厳しさを説くことになる。併せて、経営戦略と人材戦略について専門家派遣を受けてもらい、バランススコアカードと人材マップの活用によって人材戦略の指針を得ていただく機会を提供した。

■デイサービス事業に進出新たな課題へと取り組む

 14年度は売上倍増となり、単年度で黒字化を達成。兵庫県のキャピタルの増資(資本金2100万円)も決まった。シーナは新たな営業のパートナーも得て、次なる展開を進めていく。地域密着型のデイサービス事業である。設備経費は商工中金から融資を受け、施設管理所長と生活相談員、看護士の3名を採用し、平成15年11月、神戸市中央区に「アーチ・デイサービス春日野」をオープンした。
 ここはハッピーケアシリーズや離床・離席センサなどの介護支援を目的に最新のITを駆使したデイサービスセンターとして稼動した。シーナがこれまで進めてきた介護関連商品の実証運用場所兼生きた展示場ともなる。
 糟谷社長はこれらのシステムを組み合わせて、要介護者の生活環境の改善を運営理念に掲げ、「要介護者が、ここに通っていただくことで無意識に健常時の生活形態に近づけることができるサービスを提供していきたい」と語っている。
 しかし、ここでまた人に関する問題が浮上することとなる。ベンチャー企業であるシーナには従業員教育に関するノウハウがなかったのだ。
 そこでマネジメント人材の育成に主眼を置いた専門家派遣の追加支援を決めた。
 労務・人事専門家による人材教育プログラムを実行し、管理所長とそれ以外の従業員教育を行った。内容は基礎的な応対マナーの実践とエゴグラムによる自己分析により問題点を意識して自分の果たすべき役割を従業員自身で認識し、行動に移すことを織り込んだものである。

■複数の支援を効果的に活用適切な専門家派遣が成果を生んだ

 通所介護施設は立ち上がったばかりだが、昨期は36,003千円と売上は着実に増加している。
 しかし、人材問題に直面するたびに、中小企業に必要な人材の要件は何かと問われている。
 支援センターでも人材面に重点を置いて支援してきた。
 シーナへの支援は創業支援と人材育成が中心であったが、神戸市の支援センターだけでなく他の支援センターの制度も効果的に活用してきた点もよい方向に作用していると思われる。
 また、インキュベータ(企業育成室)に入居しているため、迅速な情報収集と相談対応が可能で、適切な専門家を適切に派遣できる点が有利に働いている。
 介護分野の市場は大きいが、ライバルも多い。事業者・要介護者・その家族の掛け橋となる企業として将来の発展を期待する。 

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