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経営革新
■ クリーンルーム内昇降搬送機器でシェア8割を獲得した研究開発企業
中小企業・ベンチャー総合支援センター(中小企業基盤整備機構)

第一施設工業株式会社
業   種 機械器具設置工事業
 開発型企業である当社にとって資金調達は大きな問題の1つでしたが、中小企業・ベンチャー総合支援センター主催の「ビジネスプラン発表会」では直接金融におおきな風穴を開けてもらえました。また、地方には、支援を要請できるような専門家が少なく、特に株式公開等については専門の人材があまりいません。その点でも、中小企業・ベンチャー総合支援センターのアドバイザー制度を有効活用し、たいへん助かっているのが現状です。
本社所在地 福岡県福岡市
資 本 金 79,500千円
創   業 昭和42年設立
売 上 高 2,046百万円
(平成15年1月期)
代表取締役
従業員数 64名 篠原 統


■非接触搬送装置の開発で新事業を展開

 第一施設工業は、エレベーターの据付工事や小型昇降機の製造販売などで36年前に創業した。平成2年、国際物流機器展示会に独自開発の「超高速リフト」を出展したところ、多くの半導体メーカーから引き合いを得たのを機に、同社は「大手メーカーの下請企業」という地位を返上し、研究開発型企業へと変貌する。主力製品であるクリーンルーム対応「無塵搬送昇降機」は、平成3年に開発して以来、日本と東南アジアの半導体工場で使われる昇降装置の約8割のシェアを誇っている。
 地上波放送のデジタル化を機に、テレビ受像機の買え替え需要が期待されている。液晶やプラズマなどの技術を使った、薄くて大型の受像機の市場が飛躍的に伸びるといわれており、国内外の多くメーカーは一斉に大型ディスプレイ用の新しい製造ラインを建設しはじめている。同社では平成10年から、液晶やプラズマディスプレイなどに使う大型のガラスパネルを運ぶ「非接触搬送装置」の開発をスターとした。開発は平成15年に終了し、現在は半導体メーカーを中心に営業をはじめている。
 大型ディスプレイの製造ラインでは、2メートル四方の巨大なガラス板を傷つけずに運搬しなければならない。同社が開発した「非接触搬送装置」は、大きなガラス板を立てて扱い、圧搾空気を吹き付けてガイドから浮かせたまま運べる。この方法だとガラスが傷つかないうえ、運搬のためのスペースも小さくできる利点がある。すでに、大学の研究施設で実用化のための試験が行なわれているほか、海外の大手メーカーでは、現場のラインに組み込んだ実地試験をはじめている。本格的な稼動へ向けて、活発な商談が進んでいる。

■事業展開と株式公開へ向けた専門家派遣

 篠原統社長は、同社の株式公開に照準を合わせ、社内体制の強化や経営基盤の整備を図りたいと考えていた。そのため、中小企業・ベンチャー総合支援センター九州を訪れ、株式公開を視野に入れた経営力強化の支援を要請する。平成13年から専門家が同社を訪れ、「非接触搬送装置」事業の立ち上げに関し、事業計画の立案等のアドバイスを行なってきた。必要な資金を調達するために、平成15年に実施した当支援センター主催のビジネスプラン発表会で、約50社のベンチャーキャピタルへプレゼンテーションを行なった。その結果、10数社から直接投資の打診があった。非接触搬送装置の技術レベルの高さと事業化の可能性、さらにクリーンルーム内の無塵搬送昇降機の実績などが投資対象として高く評価された結果だ。
 株式公開の準備は着々と進んでいる。資本政策の見直し、ストックオプションの実施等について、専門家が同社を定期的に訪問して段階的に検討している。特に、ストックオプションは、そのスキームづくりや実施手順、申込書や契約書などの書類のチェック、実務的なアドバイスに至るまで、入念に行なわれている。その結果、役員や中堅社員向けにストックオプションを実施する目処が立ち、それによって、社員の会社に対するロイヤリティの向上、業績に対する関心の向上、といった効果が期待できる。同時に、それは社員の全員参加による株式公開へ向けた活動となるため、広報面での効果も大いに出てくるだろう。

■新事業の立ち上げに企業等OB人材派遣制度を活用

 非接触搬送装置の事業化のため、支援センターの支援ツールの1つである「企業等OB人材派遣」が平成15年秋からスタートしている。この制度は、企業や研究所に長年勤めた経験をもつOBが、その豊富な実務ノウハウを中小企業の経営のために活かせる制度だ。この制度により、実際に地元の大手電機メーカーで事業部長や工場長を経験したOBが、同社の非接触搬送装置を事業化するための具体的なプランづくりに参画している。
 このように、同社はすでに市場で高いシェアを獲得している無塵搬送昇降機につづく次世代の主力製品として、大型ガラスパネルの非接触搬送装置の開発に全力を投入してきた。同製品の事業化に当たり、資金調達やビジネスプランづくりの面で支援を行なっている。また、ストックオプション制度など、株式公開へ向けた具体的な準備の支援も進めてきている。こうした支援により、将来の目標である株式公開へ向けた道が開けると期待している。



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