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経営革新
■ 自社ブランドを構築して製造卸からの脱却と製造小売への転換を図る
広島市中小企業支援センター(財団法人 広島市産業振興センター)

矢野食品株式会社
業   種和菓子製造販売
 「もみじ庵」の出店により、お客様に本当に喜んでいただける商品づくりができるようになりました。
 無添加、手づくり、原材料のこだわりと、私たちが長年夢みた本物の朝生和菓子をご提供できる喜びは格別のものがあります。
本社所在地広島県広島市安芸区
資 本 金10,000千円
創   業昭和39年
売 上 高426,639千円 代表取締役
従業員数80人 玉本 精二


■直営店を出店して製造販売体制を確立する

 当社は昭和39年創業の和菓子・餅の製造卸業者である。市内のスーパーに自社製造の商品を直接卸しているが、パンメーカーや他県からの参入など競争が激化するうえに、取引条件も厳しくなり、販売単価が下落して売上高が伸びても利益が出にくい状況がつづいている。また、よりよい商品をお客様に提供したいという会社の理念が達成しにくい状況になってきた。その打開策として、直営店を出店して製造販売体制を確立し、他社との差別化を図る自社ブランドをつくり、収益の改善を図ることを検討していた。
 直営1号店の開店や運営について、計4名の専門家を派遣し、事業計画の策定、新店舗のコンセプト、開店準備作業、販売促進の考え方、ホームページの活用、商標登録などについて検討・実施している。

■店舗コンセプトの設定とその実践を支援

 直営店を成功させるには、わくわくする商品・サービス、お店の雰囲気とアイデアが必須であり、そのためには、(1)商品力、(2)接客力、(3)集客力、(4)店舗演出力の4つの力が必要である。そして、店舗コンセプトを明確にしないと、これら4つの方向性は見出せない。検討の結果、直営店の店舗コンセプトは、「本物志向・高品質の和菓子を手頃な価格で提供することにより、他社との差別化を図る」とした。

1.商品力(商品企画・構成・価格)について
 お客様の立場からの発想による新商品を出し、和紙の手づくり値札や、竹の皮の敷紙など和を全面に出した渋いものにした。また、材料などのこだわりを記載した「もみじ庵のしおり」をつくり、必ず商品に添えている。
 当初、主要商品としていた祝い餅などは、季節変動が大きいという問題があったため、手づくりで商品に「こだわり」をもたせることもでき、年中多彩なバリエーションが組めるおはぎと炭火で焼いた団子を主要商品とし、会社のお茶菓子用や贈答用として、詰め合わせも用意した。
 商品価格は、製造原価から考えるだけでなく、適正利益を確保でき、お客様に納得していただけるようにした。

2.接客力について
 親しみのあるだけでなく、顧客志向のキメ細かい接客を心がけるようにしている。

3.集客力について
 出店地区の事情を分析・検討した結果、祝い事や家族連れの利用促進のため、定休日は火曜日とし、開店時間は9時から、閉店時間は勤め帰りの人も対象と考えて19時とした。実際、最も売れる時間帯は11時から15時となっている。
 主要顧客は、近隣のOLと主婦層を想定し、周辺の女性がわいわい集まる店づくりを行い、口コミによる固定客化を図ることとした。店舗レイアウトを工夫して4人のグループが2組入る「食べるスペース」を提供した。実際は、顧客は老若男女を問わず、サラリーマンが意外と多く、その客単価は非常に高い。

4.店舗演出力〜おしゃれな雰囲気の店づくり
 店舗演出については店長自ら行い、主要顧客層が和の雰囲気へのあこがれをもっていると考え、暖簾を用意するなど「和」の雰囲気を全面に出した。また、大きいショーケースは多量の商品が必要となるため、小さいものにして店内を広く活用できるようにした。さらに和菓子に興味をもってもらうため和菓子に合う陶器・雑貨を店長自ら買いつけ、店内で販売し、照明を工夫して陶器を照らすことで店のインテリアとしても活用している。
 こうして、直営店「和菓子処もみじ庵」の1号店を、広島市中区の元和菓子販売店の店舗(20坪)を取得し、平成14年3月に開店。1号店は、売上・利益とも順調に推移している。


■直営2号店の支援で実施した3年間の月次経営シミュレーション

 1号店の実績が好調に推移していることから、当社は直営2号店の出店を計画。しかし、直営1号店が自己資金を中心に実施されたものに対し、直営2号店は銀行借り入れで行うとともに、賃借料などの運営条件が厳しいことから、事業計画の策定のなかで、既存事業(製造卸)と新事業(直営店)をふまえた、今後3年間のキャッシュフローベースの月次経営シミュレーションを行い、そのなかで、2号店の必要売上高を算出した。そして、2号店の出店地区の事情を分析・検討し、必要売上高を満たすための店舗コンセプトを構築した。
 こうして計4名の専門家を派遣し、直営店「和菓子処もみじ庵」の2号店を、平成15年11月に開店。2号店も目標売上高を達成している。


■高収益な直営店の展開と既存事業の効率化に期待

 直営店自体の収益性は良好であり、年々厳しくなる製造卸の体質から脱却するきっかけとなった。しかし、自己資金で行った1号店と違い、2号店は銀行借り入れを活用していることもあり、会社全体の収益改善に貢献するものにはまだ至っていない。
 引きつづき、限られた経営資源のなかにおいて、店長につづく「能力とやる気」のあるスタッフの育成及びお客様に飽きられないための新商品・新企画への取り組みを行うことによる高収益な直営店の展開と、物流を含む既存事業(製造卸)の効率化の両立を期待するところである。

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