HOME > 支援情報・機関を知る > 全国の支援センター支援事例集
経営革新
|
■ 自社の強みを活かして異業種分野に進出
岐阜北地域中小企業支援センター(岐阜商工会議所)
| 株式会社ユニバーサル・ライン |
| 業 種 | : |
環境機器製造販売 |
 |
UL菌開発過程で一番苦労しました。行き詰まっていたときにセンターの支援を受け、タイムリーな助言を得たことを、大変ありがたく思います。また、販路の開拓にも派遣頂いた専門家の幅広い人脈に大いに助けられました。
|
| 本社所在地 | : | 岐阜県岐阜市 |
| 資 本 金 | : | 50,200千円 |
| 創 業 | : | 昭和35年11月
|
| 売 上 高 | : | 3億円
| 代表取締役 |
| 従業員数 | : | 10人 |
原 二三男
|
■支援に至る経緯
岐阜地域は繊維産業が集積する中で多段階に分業されている。しかし近年、地場・伝統産業の相対的な地位の低下に加え、グローバリゼイションの進展によって、今まで材料・部品の納入先であった大企業の海外シフトに伴って自立の道を求めざるをえなくなった。(株)ユニバーサル・ラインは、紳士服などの肩パットのメーカーで、国内でも独自の省人化製造ラインを持つ優良企業であるが、自立を求めて異業種分野(環境機器)への進出を決め、平成12年からスタートした岐阜北地域中小企業支援センターの専門家派遣事業を利用して新分野研究開発の「戦略型企業」へと変身した。
■支援前の課題
繊維機械のシステム開発には高い技術を有するものの、経験のないバイオの分野であるためノウハウがなく、キーポイントとなる「UL菌」の開発にも苦労があった。
また、開発の前提となる紙オムツ処理機をめぐる状況を整理すると以下のとおりであった。
(1)病院・施設・家庭からの紙オムツは、「燃えるゴミ」として自治体が収集・焼却処分しているが、その減量化が問題となっている。
(2)生分解性紙オムツの素材開発が進みすでに市場化されているが、現状では需給の関係でコスト高である。しかし今後地球環境問題の高まりとともに解決されると思われる。
(3)使用済み紙オムツには、病原菌などの有害微生物が多く付着している。これら滅菌が可能で簡易操作のできる装置はない。
(4)市場に出ているボックス型の処理機では、処理量に限界がある。病院などの現場では、一日に数回投入するが、これらを可能にするユニット式装置はまだない。
■支援のポイント
専門家によると、技術経営における研究開発マネージメントに関する重要な問題点は次の3点に集約できるため、この点について支援を行った。
(1)新製品開発の独創性の発揮(QFD手法)
(2)研究開発効率の向上(DTCN手法)
(3)新製品の事業性の上市前評価(QFD手法)
第1の独創性の発揮は、これまでのようなもの真似や改良のための開発でなく、広く世界に通用するオリジナリティのある研究を行い、それに基づいた新市場を創造する。第2の研究開発効率の向上は、企業の研究開発である以上必ず要求される。研究開発のコストパフォ―マンスをあげることは、企業トップの最大の関心事である。DTCN(Design To Customers` Needs)手法で研究開発効率の向上を図る。第3の新製品の事業性の上市前評価は、その後の事業展開を左右する最重要課題である。その販売単価の策定方法は、原価を試算し、それに妥当な水準の利益を上乗せた値・また類似製品群との競合関係の調査を含め、新製品が占有可能な市場規模を売値の関数とする2通りとし、QFD(品質機能展開)による品質表を作成して評価基準とした。この他、経営者が大学と行っていたUL菌の共同開発に専門家が介在することにより、県の試験研究機関の有用活用に努めたが、これは開発のスピードアップに寄与した。
また、販路を持たない異業種分野進出につき、専門家が持つ幅広い人脈を利用した販路開拓支援にも注力した。
■支援の成果
岐阜大学との共同研究により、処理機の主役である特種菌(UL菌)の量的培養に成功し、平成14年3月には消滅型生ゴミ処理機の商品化を行った。開発した処理機は、公共学校の給食センター・民間のホテルなどの業務用として活躍している。また関連製品として平成14年後半にはバイオ式紙オムツ処理装置を開発し、岐阜県から創造法の認定を受けた。
○開発製品
(1)消滅型生ゴミ処理機「ULエース」は、有機物を完全に分解・消滅させる「UL菌」の活躍で、従来の処理機に比べて減容率(80%)・毎日の残渣スラッジの排出なし、米飯・タマネギの皮などの投入可の最新装置になった。まず、生ゴミを破砕機能を備える一次処理槽に投入、次に仕切りでユニット化した二次処理槽で攪拌しながら次の槽へとオーバーフローさせていく省人化システムができた。
(2)自社開発した消滅型生ゴミ処理機をモデルにして、破砕⇒滅菌⇒バイオ処理(特種菌)の手順で生分解 性素材の紙オムツを48時間以内で処理する機能とした。この開発の技術要素の新規性・独創性は次の通りである。
(ア)破砕機構
使用済みの紙オムツは、汚物の有機・無機物、オムツの素材が含まれている。それを砕き・引き裂き処理を同時に行う圧縮・せん断機で細分化し、バイオ処理に適合させる。
(イ)消臭機能
糞尿を含んだ紙オムツは、アンモニアなど悪臭を発生する。またアンモ二アは、PHを上昇させたり、臭気中の有機物質は常温でも速やかに酸化されやすい性質がある。無機物は、温度を上げなければ酸化しにくい。オゾン脱臭では対象物質の種類・温度・湿度・時間・使用環境を考慮した濃度の選定が必要である。
(ウ)病原菌の殺菌システム
潜熱の大きい150−200℃の過熱蒸気による高効率殺菌―サイクルタイム30分・ダイオキシンの発生はなし。オートクレイブのような高圧でなく、誰もが操作できる安全な常圧装置にした。
(エ)ユニット式発酵システム
バイオによる好気性発酵であるため絶えず槽内の一定量の酸素濃度が必要である。
そのため最適な切り返し機能を備えること、槽から槽への移送機構、UL菌と分解物の均等な混合バランスを保つことのできる攪拌システムの構築、各槽の水分・空気・温度制御が可能なバイオ式環境システムとする。
■成功要因等支援後の分析
大学との共同研究を実施できたことも大きな要因であることはもちろんであるが、派遣した専門家は技術指導のみならず、幅広い人脈を持っていたことが開発時のブレイクスルーとなったと共に、販売先の開拓にも繋がり、異業種分野という壁を超える原動力となった。
○今後の企業化戦略(オムツ・生ゴミ処理機)
オムツ・生ゴミ処理装置とも1台1,000万円の売価を想定すると年間5台×2=10,000万円の販売にて中小企業の商品としては、継続販売が可能である。生ゴミ処理機の販売実績(年間5台=5,000万円)を維持し、オムツ処理装置も同額の売上を事業目標値とし、病院・老人ホームなどへターゲットを絞り小・中型装置の商品化する企業戦略が妥当である。
|
|
