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経営革新
■ ブラスト業界の革命児に産学官連携プレーでトータルサポート
千葉県中小企業支援センター(財団法人 千葉県産業振興センター)

株式会社ニッサンキ
業   種 各種ブラスト機の製造・販売
 支援センターから派遣された2名の専門家の助言により、「働きやすい職場づくり」「作業の標準化」「部品のモジュール化」等が進み、生産性の向上とコストダウンを図ることができました。また、「ISO9001」の認証を取得することもできました。
 しかし、何よりもうれしいことは、社員の向上心が大幅にアップしたことで、継続的改善活動が行える「企業体質」になったことです。
 また、支援センター所属の国際化コーディネーターに大変なご尽力をいただき、タイ国に合弁会社を設立することに目途がつきました。不況がつづく昨今、中小企業者等が「元気」でいるために、国・県・市町村等の各種支援策を上手に活用することが肝要かと思います。
本社所在地千葉県柏市
資 本 金1,800万円
創   業昭和40年3月
売 上 高238百万円
(平成14年12月期)
代表取締役
中山 明典
従業員数12名


■ブラスト業界の概念を変える技術革新

 金属製品の表面を磨いて汚れ(サビ)を取り除いたり、製品の型枠からはみだした部分(バリ)をとる「ショットブラストマシン」は、従来は、金属(とくに鉄)製品の専用機であった。
 自動車、家電製品、コンピュータ部品などさまざまな製品に使われるゴム成形品やプラスチック成形品のバリ取り作業は、かつては人手に頼っていた。品質の均一性、生産性の向上、作業環境の向上のために、機械化が強く求められていた。
 このようなニーズに、果敢にチャレンジし、次々と多種多様なブラストマシンを開発したのが、ニッサンキの中山明典社長だ。国内で初めてノートパソコンや携帯電話などの成型工程で生じるMgのバリ取りと、従来は脱脂処理が必要な離型剤の洗浄を同時に行う「アクアブラスター」もその開発品の1つ。水と粒子の混合材を風車状の高速回転ホイールで噴射し、効率的・安全にバリと汚れを取り去る優れものだ。
 このように次々と多種多様なブラストマシンを開発し順調に事業展開できたのも、中山社長が「ない機械をつくる(提案型)。なせば成る」という強い信念と、ブラスト業という得意分野での堅実な経営を貫いてきたためである。さらに、98年11月に県の産業総合支援施設「東葛テクノプラザ」が開設されたと同時に貸研究室に入居。入居企業、周辺企業、近隣の大学、千葉県・柏市役所の職員等の連携が密になり、国・県等の共同研究補助事業申請も採択され、開発技術力はステップアップされた。
 数十件の特許を保有し、97年「創造法」認定、98年「千葉元気印企業大賞奨励賞」受賞、01年「革新法」承認、02年「千葉県ベンチャー企業経営者表彰」を受賞した。

■世界展開へ向けて「優秀な人材」を育成・確保

 多種産業分野からの省工程・省力などのニーズに応えて、研究開発・新製品開発をつづけた結果、国内で高いシェアを獲得できるようになっただけでなく、海外においても高い評価を得るようになった。
 しかし、中山社長1人で、営業・開発・設計・製造指示等、何から何まで行う「企業体質」で、事業計画通りに売上・収益が上がらなかった。
 「人材不足」からなる労働生産性の低さ、コストダウンの計画未達の繰り返し、納期遅れ・品質不良等のクレームなどの問題点で、とても世界を舞台として競争していける企業とはいえなかった。
 中山社長は、01年12月からの「3カ年計画」で、生き残りをかけ、世界のトップメーカーをめざし、さらなる「顧客満足度」を向上させるために、全社員で以下の課題に取り組んでいく方針を打ち出した。

1)低価格化・短納期化
 (特に、価格は2004/2000年=50%)
2)独自性・汎用(普及)性のある商品
 (ニッサンキブランド及び普及型の開発)
3)海外サービス網の充実
 (自動車部品メーカーや地元企業を対象に「バリ取り」の受託サービス事業)
4)情報化の推進

■企業風土・文化に適合した体質改善活動

 前記のニッサンキの「課題解決促進」支援の要請を受けて、支援センターは以下の方針で、支援を継続的に進めることにした。
1)教科書的なものを押し付けることなく、企業独自の風土・文化を活かして、改善活動を進める。
2)専門家は、あくまでも「助言」のみとし、「企業主体」の活動とする。助言事業終了後は、自力で改善が可能な体質にする。
3)助言事業開始前に、派遣日数分の詳細活動計画を作成し、毎月、支援センターが進捗状況のフォローアップを行う。
 この方針を、派遣専門家にも理解いただき、下記のとおり、5テーマに分けて活動を進めた。

【テーマ1】作業のムダの排除活動
 支援センターのサブマネージャーの助言により、「5S」 活動を進めた。とくに重点的に実施した活動は以下のとおり。
  (1)整理:不要な、またはあると便利という程度の機械・道工具・事務品等を思い切って廃棄。古い機械、遊休品のモーターなど小型トラック6台分となる。その結果、空場所が生じたことと、管理すべき機械・道工具・材料等が減少した。
  (2)整頓:道工具・材料等の識別保管及び作業段  取場所の確保
【テーマ2】作業の標準化と繰り返しの訓練
 派遣専門家(中小企業診断士・ISO審査員)の助言により、主に以下の活動を実施。
  (1)組織の見直し及び責任分担の明確化
  (2)業務フローに基づき各業務の標準化
  (3)顧客ニーズの把握と分析
  (4)独自の品質システム(マニュアル)の構築
  (5)PDCA活動(継続的改善活動の定着)
【テーマ3】部品のモジュール化等のデザイン  派遣専門家(工業デザイナー)の助言により、主に以下の活動を実施。
  (1)従来、個々の仕様に合わせて、部品を製造していたが、共通モジュール化
  (2)外観構造の組立簡易化(嵌め込み式)
  (3)一目みてわかる「ニッサンキブランド」のデザイン
  (4)「普及型」「可搬型」ブラスト機の開発
【テーマ4】海外サービス網の充実
 自動車産業・各種ハイテク商品業界の中国・東南アジアへの進出に伴い、金属・ゴム・樹脂材等部品加工時の「洗浄・表面処理」の効率化に関するニー
ズが多くなってきた。この加工の受託事業展開のため、02年上海に会社設立。さらに、最近、工業化の著しいタイに合弁会社を設立したが、現地政府機関の支援等に関し、支援センター所属の国際化コーディネータが助言を行っている。
【テーマ5】情報化の推進
 支援センター紹介のハード&ソフト会社と、本格的な「ERP(生産管理システム)」を構築中。

■世界トップメーカーへと意欲的に事業展開を進める

 前記5テーマに分けての活動を、02年1月から進めたことと、某大企業の技術・経営経験者を統括本部長として迎えたことにより、2年間弱で、以下の成果を挙げることができた。
  (1)「ISO9001」の認証取得 (02年11月)
  (2)03年度実績見込み(対前年度比)
 売上……・25%増 労働生産性……30%増
 標準工期…… 16日 ⇒ 7日
 製造コスト……18%減
 このような成果をあげることができたのは、「活動」を通し、社員の意識革命が進んだ証である。
 標準化が進むにつれ、以下の意見が出てきた。
  (1)会社全体の仕事の流れが解ってきた
  (2)自分の業務が明確になり、効率も上がった
  (3)会議・話し合いの場が増えた
  (4)何事もやる気になればできると自信がついた
中山社長は、「ようやく、狙っていた経営体質ができはじめた」とし、次の事業展開へと意欲的である。「業界の革命児」から「トップメーカー」へと大きく羽ばたきだしたことは、確かである。
 中山社長は、技術があっても信用力に乏しい中小企業のために、資金調達・販路開拓などを協力する協同組合「東葛テクノクリエイト」の代表理事を務めるなど、数多くの団体の役員として、またセミナーの講師として「地域中小企業の活性化」のためにも、積極的に活動している。

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