HOME > 特集

特集 農業、初めの一歩 農業での起業や新規の企業参入についてわかりやすく紹介!

中小・小規模企業が農業に参入する方法とそのポイント

中小・小規模企業が農業に参入する方法とそのポイント

農業での起業、農業への新規参入のための基礎を紹介します。

起業ABC

アグリビジネス市場-起業ABC

新たなビジネスモデルで参入する企業が築く農業市場。

ビジネスQ&A

Q028.農業法人のメリットとはなんですか?-ビジネスQ&A

農業法人となるメリットや留意点を解説。

農業ビジネスに挑む

農業の新しいカタチを創る【サラダボウル】-農業ビジネスに挑む

元金融マンが農業で小規模企業を立ち上げた事例を紹介します。

<施策・支援情報>

平成27年度予算関連/平成26年度補正予算関連
補助金、資金繰りなど中小企業・小規模事業者向け政策のポイントをまとめています。解説動画も公開。
事業者の皆様も準備が必要!マイナンバー制度
従業員などのマイナンバーを取扱う上でのポイントを解説しています。

これまでの特集

J-Net21の特集は、毎回タイムリーなテーマを設定し、そのテーマに関するJ- Net21の記事をご紹介します。

中小・小規模企業が農業に参入する方法とそのポイント

平成21年に農地法が改正される以前は、企業や法人などの一般法人が農業に参入する(農地を使って農業生産を始める)のは困難でした。しかし、改正農地法により一般法人が農業に参入しやすくなり、貸借であれば全国どこでも参入が可能になりました。

また、農業生産法人という法人格を取得すれば、一般法人でも農地を保有した形で農業に参入することも可能になっています。

ここでは、一般法人が農地を使って農業生産を始めることを「農業参入」とし、その方法とポイントを簡単に紹介します。

一般法人が農業に参入する要件は以下のようです。

基本的な要件

基本的な要件は、個人が農業を始める場合と同じで以下の通りです。

  • (1) 農地のすべてを効率的に利用する
    機械や労働力などを適切に利用するための営農計画を持っていること。

  • (2)一定の面積を経営する
    農地取得後の農地面積の合計が、原則50a(北海道は2ha)以上であること。ただし、農地面積については地域の実情に応じて市町村の農業委員会が引き下げられる。

  • (3)周辺の農地利用に支障がない
    水利調整に参加しない、無農薬栽培が行われている地域で農薬を使用するなどの行為をしないこと。

以上の基本的要件を踏まえたうえで、一般法人が農業に参入する方法として2つがあります。「農地を所有」する方法と「農地を借りる」方法です。

農地を所有する方法

一般法人が農地を所有するためには、農業生産法人になることが必要です。農業生産法人とは農地を取得できる法人のことであり、以下の条件で設立できます。

  • 1. 法人の形態
    株式会社(公開会社でないもの)、農事組合法人、合名・合資・合同会社

  • 2.事業内容
    主たる事業が農業(農産物の加工・販売等の関連事業を含む)であり、法人の売上高の過半を農業が占めること。

  • 3.構成員

    • i.農業関係者が総議決権の原則として4分の3以上を占めること。なお、農業関係者とは、農業の常時従事者、農地の権利提供者、基幹的な農作業を委託している農家、農地中間管理機構、地方公共団体、農業協同組合、農業協同組合連合会を指す。

    • ii.農業関係者以外の総議決権は4分の1以下であること。ただし、加工業者などの関連事業者の場合は、総議決権の2分の1未満まで占めることも可能。

  • 4.役員
    役員の過半が農業の常時従事者(原則年間150日以上)であること。また、そのうち過半が農作業に従事(原則年間60日以上)していること。

【ポイント】

自らの農地を所有(取得)して農業に参入するためには、農業生産法人を設立することが最大のポイントです。その設立条件も改正農地法により緩和されました。特に、法人設立時の出資比率が、従来は農業者以外だと10%以下に制限されていましたが、改正農地法以降はその制限が50%未満まで引き上げられました。

また、農業生産法人を構成する人の議決権は農業関係者以外では1/4以下に制限されていますが、農商工連携事業者など農業生産法人と連携して事業をする一定の関連事業者がいる場合は農業関係者以外でも1/2未満の議決権を持てるようになっています(農業関係者の議決権は1/2以上)。

なお、農業生産法人は農地を借りることもできます。

農地を借りる方法

農地のリース方式による農業参入については改正農地法により全面的に自由化され、以下の条件をクリアすればどんな一般法人でも参入できます。

  • 1. 貸借契約に解除条件が付されていること
    ここでの解除条件の内容は、農地を適切に利用しない場合に契約を解除することです。

  • 2.地域における適切な役割分担のもとに農業を行うこと
    ここでの役割分担の内容は、集落での話合いへの参加、農道や水路の維持活動への参画などです。

  • 3.業務執行役員が1人以上農業に常時従事すること
    ここでの農業の内容は農作業に限らず、マーケティングなどの経営や企画に関するものであっても可能です。

【ポイント】

改正農地法により賃貸期間が従来の20年から50年に延長されました。

一般法人が農地を借入(リース)する場合、農地の所在する「農業委員会」に借入を申請し、許可を得なければなりません。このフローは農地法に基づく手続きですが、それ以外にも農業経営基盤強化促進法に基づく借入方法があります。これは、都道府県にある公的機関の農地中間管理機構(農地集積バンク)から借り入れる方法です。

その仕組みは、農地中間管理機構が、耕作していない農地や飛び地となった農地をまとめて農家から借り上げ、意欲のある生産者を選んで貸し出します。

政府の農業強化策の1つであり、農地を集約することで生産者の耕地面積を広げ、生産力向上につなげることを目的としています。

企業が参入する意味

現在、日本の農業は生産者の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加によりその競争力を弱体化させています。そこで政府は農業の強化策を推進し、企業の農業参入も促しています。

生産性が低い日本の農業を強化するためには、まずは大規模な農地に集約することで生産効率を上げることです。それには個人の生産者ではなく企業・組織として取り組むことが現実的です。

また、企業として参入するうえでのポイントは、企業的経営を実施することです。企業として抱える経営・商品開発・マーケティングなどの知識やノウハウを農業の生産に活かすことです。

さらに、企業の経営する農業であれば労務管理なども現実的に実施され、その結果、求職者にとって就職先の選択肢にもなってきます。そうなれば後継者不足の解消にもつながります。

現在、農業生産法人は1万4,333法人(平成26年1月、農林水産省)で内訳は株式会社3,679、特例有限会社6,491、合名・合資・合同会社279、農事組合法人3884法人。リース方式による参入一般法人は1,576法人(平成26年6月、農林水産省)で内訳は株式会社975、特例有限会社195、NPO法人等406です。農業に参入する法人(一般法人、農業生産法人)は年ごとに増加しています。

食料自給率の低い日本にあって、企業が自らの経営ノウハウで生産性の高い良質な農産物を生産することは、1つのビジネスチャンスでもあります。J-Net21でも農業生産法人(六星や農業に参入した一般法人(ベルグアースなど)を紹介していますので、ご参考ください。

<関連情報>

日刊工業新聞電子版 特別取材班