本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 特集

新年特集 戦後70年の日本の技術力が新時代を切り拓く 戦後70年の節目である2015年、これまでの日本の蓄積により花開こうとしている技術を紹介します。

戦後70年の蓄積で世界を切り拓く日本の独自技術

戦後70年の蓄積で世界を切り拓く日本の独自技術

リニア新幹線、ヒューマノイドロボット、人工クモ糸、青色LED、iPS細胞。世界の近未来を切り拓く日本独自の技術を紹介します。

エネルギー新時代

エネルギー新時代

自然エネルギーやこれまで未使用だったエネルギーをビジネスに活かす取り組みを紹介します。

最新科学技術

最新科学技術キーワード

ビジネスのアイデアを刺激するような空想技術の開発最前線を紹介。

元気印中小企業

元気印中小企業

独自の技術や発想で活用する元気な中小企業です。

施策活用企業事例

施策活用企業事例

支援施策を利用して技術開発に取り組む事例を紹介します。

<施策・支援情報>

平成27年度予算関連/平成26年度補正予算関連
補助金、資金繰りなど中小企業・小規模事業者向け政策のポイントをまとめています。解説動画も公開。
事業者の皆様も準備が必要!マイナンバー制度
従業員などのマイナンバーを取扱う上でのポイントを解説しています。

特集テーマ募集

これまでの特集

J-Net21の特集は、毎回タイムリーなテーマを設定し、そのテーマに関するJ- Net21の記事をご紹介します。

戦後70年の蓄積で世界を切り拓く日本の独自技術 リニア新幹線、ヒューマノイドロボット、人工クモ糸、青色LED、iPS細胞。 世界の近未来を切り拓く日本独自の技術を紹介します。

今年は太平洋戦争の終結から70年、この間、日本は技術立国・科学技術立国として世界にその存在を確立してきた。そしていま、戦後70年に蓄積した技術をベースにさらなる高みに挑むとき、その先には世界規模での社会変革がある。日本の5つの独自技術を見てみよう。

1.リニア新幹線

リニアモーターカー

写真提供:日刊工業新聞社

2027年、リニア中央新幹線が開業する。
世界初の超電導リニアモーターカーの新幹線が時速500kmで東京-名古屋間を駆け抜ける。現在の新幹線の最高時速320km(東北新幹線の営業時速)を大きく上回る超高速鉄道輸送が実現するのだ。

日本が誇る独創技術の結晶である新幹線の開業は1964年だが、すでにその2年前の1962年に日本で超電導リニアモーターカーの研究が始まっていた。鉄のレールの上を鉄の車輪が転がって進む〔粘着(摩擦)走行〕という鉄道列車の原理は200年以上前に発明されたが、それとはまったく異なる原理で走行する列車の開発を目指し、日本の鉄道技術は独創への道を進んでいった。

超電導リニアモーターカーとは、超電導リニアモータを駆動源に走る鉄道車両であり、車両側に搭載された超電導磁石と軌道側に設置されたコイル(電磁石)の相互作用によって浮上・走行する。
ちなみにリニアモーターカーは、リニア中央新幹線のようにレールの上を浮上して走る「磁気浮上式」とレールの上を鉄輪が転がって走る「鉄輪式」(従来の鉄道車両のモータにリニアモータを用いたもの)があり、鉄輪式はすでに地下鉄などで実用化されている。

なお、磁気浮上式も中国の上海リニア(ドイツの開発技術)で営業運行されているが、中国のリニアモーターカーは通常の電磁石を用いた「常電導式」であり、日本の「超電導式」とは異なる。
常電導式は車両側に常電導磁石を搭載するが、常電導磁石は浮力を保つために常に磁石に電気を供給しなければならず、また、磁力が小さいために浮上高さは1cmほどしかなく、そのため車両とレールの間に小石が1つでも落ちていても運行に支障をきたすリスクがある。ただ、普通の電磁石を用いるため技術的には超電導磁石より容易で、設置コストも比較的安くできる特徴がある。
一方、超電導式は、車両側に搭載する超電導磁石に最初に通電すれば大電流を永久に流し続けられるため、超電導磁石の磁力は大きく、それにより浮上高さも10cmと大きくでき、車両と軌道間の障害に対する安全性を高く保てる。

ただし、超電導を常に保ち続けるのは容易なことではない。超電導は、ある種の物質を一定以下の温度に冷却した際に電気抵抗がゼロになる(それにより電流が半永久的に流れ続ける)現象だが、わずかに温度が上昇しただけでも超電導現象は消えてしまって走行に支障をきたす。そのため実用化するには超電導磁石の冷却を制御する高度な技術が不可欠なのだ。
開発元の鉄道技術総合研究所(旧国鉄鉄道技術研究所)でも超電導磁石の冷却制御を始め、車両、軌道、ブレーキ、列車制御などさまざまな技術開発に多く年月を費やし、走行試験を繰り返すことで実用化へのめどを立ててきた。そして2027年の開業へと着実に進んでいる。
研究開始から65年後、日本の独創技術は壮大なプロジェクトの完成に向け、いま最後のスパートをかけている。

2.ヒューマノイドロボット

ヒューマノイドロボット(ヒト型ロボット)

写真提供:日刊工業新聞社

漫画家・手塚治虫氏の「鉄腕アトム」では、2003年4月7日に少年ロボット「アトム」が誕生している。10万馬力のパワーで敢然と悪に立ち向かうアトムは、当時の少年・少女を魅了した。
そして1950年代の幼少期にアトムを見て育った世代は長じて産業用ロボットを世に送り出し、さらに1980年代にアニメ「機動戦士ガンダム」を見て育った"ガンダム世代"が世に出て二足歩行ロボットをつくり上げた。
漫画やアニメを通して日本の子どもたちはヒューマノイドロボット(ヒト型ロボット)に憧れと親しみを持ち、やがてその実現へと情熱を注いでいった。

その結果、いまや日本は世界有数のロボット大国となった。工場で稼働する産業用ロボットは日本が世界をリードし、また、最近は掃除機を手始めに家電ロボットも日本の社会で認知を広げている。
では、戦後以降の子どもたちを魅了したヒューマノイドロボットはどうか?残念ながらアトムやガンダムが実現するにはまだまだ時間を要すると言わざるを得ない。

日本のヒューマノイドロボットの原型が開発されたのが1973年(早稲田大学・加藤教授)、商用の初号機といえるホンダの「ASIMO」が世に発表されたのが2000年だ。それ以降さまざまなヒューマノイドロボットが開発されているが、現状ではヒューマノイドの商業需要は皆無に等しく、量産の可能性もほとんどない。
ただし、さらにその先については、ヒューマノイドそのものやそれを基盤とする技術へのニーズが増大すると見る向きは多い。

というのも、ロボット開発は膨大な技術の集大成であり、動力(モータ、アクチュエータなど)、電池、センサー、材料、コンピュータなどの要素技術、さらにそれらを有機的に結合させるための制御技術、画像処理技術、知覚認識技術など多様な技術が必要であり、それらの先端技術が揃って初めて複雑な動きをスムーズに実行させられる。

また、先端技術はハードウェアのみならずソフトウェアでも不可欠だ。ヒューマノイドロボットで人間とのコミュニケーションが必要となれば、顔や音源方向の認識、音声認識・音声合成、動体検知などについての技術も重要になり、さらに人工知能という言葉に象徴されるような高度なインテリジェンス機能をもたせるにはソフトウェア開発技術の高さがその実現を左右する。

つまり、戦後一貫して築き上げてきた「技術立国」「科学技術立国」という日本のアイデンティティーを維持・発展させるためにも高度な先端技術の開発は不可欠であり、ヒューマノイドロボットの開発もそれに合致する。
冷静に考えれば、実社会で人間をサポートするロボットを目指すならば、二足歩行という不安定な要素は避けるべきだろう。しかし、少しでもヒトに近づけたいとの思いから開発されたロボットが歩いたり、走ったり、踊ったりする姿は、次代の研究者、技術者の予備軍である子どもたちに多大な影響をもたらす。その意味からヒューマノイドロボット開発が先端技術を次世代に引き継ぐ確かな手法の1つであることも間違いない。

3.夢の新素材

戦後間もない日本では繊維の輸出が経済再興の一端をなした。また、繊維以外にもさまざまな材料を開発してきた。そうした日本で発明・開発された新素材は数多あるが、戦後70年の中でもきわめて独創的と思われる新素材の中から任意に3つを選んで紹介する。

まずは炭素繊維。いまや世界市場の60%を占める日本の炭素繊維だが、その生みの親が大阪工業技術試験所(当時、現在の産業技術総合研究所)の進藤昭男博士であり、進藤博士が1961年にアクリル繊維を使った炭素繊維の基本原理を発見、特許化し、1971年に日本の企業が世界ではじめて生産を開始した。
進藤博士が発明した炭素繊維は、特殊なアクリル繊維を炭素繊維用に組成改良して焼成(高熱で焼いて性質を変化させる)することで製造する。できた炭素繊維は、鉄に比べて比重が1/4、強度が約10倍という当時の夢の新素材だった。
炭素繊維は1980年代にテニスラケットやゴルフシャフトなどの民生用途で使われ、その後航空機や自動車など高い安全性が求められる産業用途へと拡大していった。
 最近は建築・土木分野での活用も検討され、高度経済成長以降の老朽化した社会インフラの補修・補強材として新しい市場を開拓できるポテンシャルに期待がかかる。

つぎはカーボンナノチューブ。1991年、当時のNEC特別主席研究員だった飯島澄男博士(現・名城大学理工学部教授)がカーボンナノチューブを発見した。カーボンナノチューブは、直径0.5~10nmのチューブ状の形をした炭素(カーボン)の結晶であり、チューブの形をしていることから「カーボンナノチューブ」と命名された。カーボンナノチューブの比強度は鉄の15倍、質量は綿よりも軽く、「電気を伝えやすい」「熱を伝えやすい」「高熱に強い」「極めて細い」など多くの優れた特性を持つ。
発明から約四半世紀になるカーボンナノチューブの本格的な実用化はこれからだが、その用途は半導体などの電子部品から宇宙エレベーターの構造材まで広範囲にわたると考えられている。そのポテンシャルはまさに今世紀最大級の新素材だ。

最後の夢の新素材については2014年にビッグニュースが報道された。映画「スパイダーマン」のようなクモの糸が人工的に量産できる技術が確立されたと報じられた。これはクモを大量に飼育するというような“わかりやすい”方法ではなく、バイオテクノロジーを駆使して量産するという独自の技術。しかも、日本の30代の若者が立ち上げたベンチャー企業が技術をつくり上げた。
人工クモ糸の比強度は鋼鉄の5倍、比重は鋼鉄の1/6で300℃の高温にも耐え、ナイロン並みの伸縮性がある。
開発元のスパイバー(関山和秀社長)では、微生物の設計を書き換えてクモの糸と同じたんぱく質を量産させることに世界で初めて成功した。この新素材は、「クモの巣」の言葉から「QMONOS(クモノス)」と命名され、糸や繊維としてドレスが試作されているが、将来的には衣料のみならず航空機、自動車、医療機器などにも応用が可能という。
戦後連綿と続く日本の新素材開発は、映画で描くファンタジックな世界をも実現させようとしているようだ。

4.青色LED

2014年のノーベル物理学賞を3人の日本人研究者が受賞した。その研究テーマは「青色LED」。
LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)とは電気を流すと光る半導体で、1962年に米国のニック・ホロニアックによってその基本原理が発明された。

LEDの特徴は、白熱電球・蛍光灯に比べて寿命が著しく長く、また電気を直接光に変換するためエネルギー損失が少なく(高効率)、さらに素子そのものが光るので省エネで小型・軽量な電子機器を実現できることだ。
LEDは1970年代に赤色、緑色、燈色が開発・実用化されたが、青色LEDだけは半導体の材料や条件などによる制限から20世紀中の作製は困難といわれていた。ところが、それを打破し世界に先駆けて青色LEDの基礎技術(原理・製法)と量産化技術を開発したのが日本の3人の研究者(赤崎勇・名城大学名誉教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・カリフォルニア大学教授)だった。

LEDは赤・緑・青の3色(光の3原色)が揃ってはじめてあらゆる光をつくり出せるが、日本の青色LED開発で光の3原色が揃ったことにより白色の光をつくれるようになった。それにより日本のLED市場は1995年以降急速に伸び、信号機やイルミネーションなどの表示機器から液晶テレビなどのデジタル機器、さらに室内・屋内や自動車などの照明機器、そして内視鏡といった医療機器へとその用途を大きく広げていった。

日本のみならず世界のLED市場も急成長しており、特に今後は照明市場の革新的な成長が見込まれる。また、それ以外にも植物工場の光源、光通信の光源などLEDの用途はさらに広がる可能性が大きい。

そして、そのためにもさらなる技術の進化が必要で、コスト削減、発光効率や色再現性の向上などによる高性能化が図られるだろう。
また、さらに青色の波長を超えた紫外LEDの開発も期待される。紫外LEDは光の3原色をすべて出せるため、既存のLEDにとって替わるポテンシャルを持っている。紫外LEDも日本の企業が開発に成功している。
日本の研究者たちによってブレークスルーしたLEDは今後、世界へ光の革新を劇的にもたらすだろう。

5.iPS細胞

昨年のノーベル物理学賞に日本の研究者たちが輝いたが、その2年前にノーベル医学・生理学賞を受賞したのが山中伸弥・京都大学教授だった。研究テーマは「iPS細胞」。これは、皮膚の細胞からあらゆる組織や臓器に分化する細胞であり、正式名称は「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」、山中教授は2006年にiPS細胞の作製を世界に先駆けて成功させた。

山中教授の開発では、人間の細胞に4つの遺伝子を組み込んで培養するとiPS細胞が得られる。iPS細胞の特徴は(1)無限に増殖する(2)体の中のあらゆる細胞をつくり出す(多様性)ことにある。条件を変えてiPS細胞を培養すれば、心筋細胞や神経細胞などどんな細胞でもつくれるので再生医療に大いに期待されている。
また、患者自身の体の細胞からiPS細胞をつくり出せば、本人に移植する際も拒絶反応を防げることもiPS細胞の優れた特徴だ。

人間の体は、受精卵が分裂して200種類・60兆個の細胞に変化したものであり、「受精卵→体の細胞」という流れは一方通行で逆をたどることはあり得ないと考えられていた。ところが、iPS細胞はその常識を覆し、体の細胞から同じ細胞をつくり出すことに成功した。

iPS細胞は再生医療だけでなく、病気のメカニズムの解明や新薬の開発などにも応用できる。
例えば、筋力が衰えで動けなくなる筋委縮性側索硬化症(ALS)という難病では、ALS患者の体細胞を用いてiPS細胞からつくった神経細胞と健常者の神経細胞を比較し、ALSのメカニズムが解明されている。さらに、それを基に治療薬の候補となる物質の特定も可能となっていく。

ただ、iPS細胞の実用化には、iPS細胞の品質、生産コスト、安全性・安定性などいくつもの課題がある。
品質については、iPS細胞の作製に用いる遺伝子の1つががん遺伝子であることから、移植後にがんを引き起こす可能性もあり、その解決策としてがん遺伝子を使わなくてもiPS細胞をつくれる技術の開発が進んでいる。
また、移植した細胞にiPS細胞のままのものが混じっていない安全性・安定性、およびそれを確認する検査も重要だ。しかし、その検査には高額な費用と数カ月という長時間がかかってしまうため、安全性の確認されたiPS細胞を貯蔵しておくiPS細胞バンクを設ける計画もある。他人の細胞なので拒絶反応は妨げられないが、すぐに移植細胞がつくれるメリットを優先させる考えだ。

2013年、日本では目の難病(滲出型加齢黄斑変性:網膜が傷んで視力が急に低下して失明する危険性のある病気)の治療でiPS細胞の臨床試験が始まり、2014年9月に患部の網膜の一部にiPS細胞でつくった細胞が移植された。
このようにiPS細胞による再生医療はその歩を着実に進めており、日本発の医学が世界に革新をもたらそうとしている。

日刊工業新聞・電子版 特別取材班

このページの先頭へ