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新連携アベニュー 異業種企業の連携による新事業開拓をサポートする「新連携」をさまざまな角度から紹介しています。


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

生鮮品の新しい輸送方法の提供と専用包装資材の開発・生産・販売

庫内環境

庫内環境

コア企業:マルヤ流通(徳島県小松島市)
代表取締役:笠谷順資
設立年月日:1997年1月
資本金:500万円
年商:1,400万円
従業員数:2名
所在地: 〒773-0008
徳島県小松島市田野町溝ノ木33番地
TEL(0885)32-7331
FAX(0885)32-7338
新連携認定:平成20年5月21日

生鮮品の新しい輸送方法とは

従来の生鮮品の物流においては発泡スチロール及びその他の梱包資材を用いて個々に商品を梱包し、密封性を高めた状態で輸送されている。

その目的は定温と湿度を保つことにより商品の鮮度を維持するためである。

しかし、この発泡スチロールを用いた輸送形態はさまざまな課題を有している。まずは生鮮品生産者にとっての利益圧迫である。発泡スチロールや保護シート、保冷材等の梱包資材は生産者の調達であり、梱包に関わる手間賃についても生産者の負担である。また、輸送業者にとっては積載効率の悪化の課題がある。さらに、市場や卸売業者、量販店にとっては発泡スチロール等の廃棄に費用を要するとの課題がある。そして、これらの処理費用を負担しているのは結果的に最終消費者である。

これらの課題解決を図ったのが車載式加湿装置(Mist Coolユニット)である。冷凍冷蔵車庫内に微細な霧を発生させ、定温高湿状態で輸送を行う方法である。

この方法により、梱包は段ボールのみでも鮮度維持が可能となった。段ボールには耐水性が必要であり、一般の段ボールに比べて割高であるが、紙資源としてリサイクルが可能である。資材の廃棄に関わる費用も削減され、ひいては環境負荷対策にも有効である。

新連携事業取り組みのきっかけと経緯

鱧(上:Mist Cool、下:通常下氷輸送)

鱧(上:Mist Cool、下:通常下氷輸送)

コア企業であるマルヤ流通有限会社(以下、当社)は1997年1月創業で運送業を営んでいた。しかし、物流業界の構造不況の中にあって、また生産者側・消費者側のそれぞれの実態を運送業者の視点で見る中で、笠谷社長が発泡スチロールを用いる輸送形態のさまざまな無駄に疑問を抱いたことが本事業の出発点であった。

この疑問の解決策を模索する中で、本事業の根幹となる定温高湿状態での輸送を考案した笠谷社長は、この考案を事業として具現化すべく中小機構四国(以下、当支部)に相談した。相談を受けた当支部はまずは特許出願を勧め、次に徳島県立工業技術センターを紹介し、数種類の野菜での72時間の保存実験を行った。そして、本方法による効果の確証を高めるとともに、その実証結果をもとにマーケティング調査を行い、事業化の確度を高めることができた。

結果として、コア企業である当社に加え、ユニットの開発・製造を担当する有限会社日幸電業社、ユニット及び専用段ボールの構造/配置設計を担当する松崎設計、専用段ボールの開発・製造・販売を担当する日本青果包装株式会社の4社による連携体が構築された。そして新連携事業化・市場化支援事業へと歩みを進めた。

新事業の現状と今後の取り組み

笠谷順資社長

笠谷順資社長

市場実績のない新たな取り組みである本事業の営業活動においては、本(Mist Cool)輸送方法での効果を実感してもらうことが最も有効な手段であると考えた。野菜類の輸送に加え、鮮魚輸送にも応用できないかとの展示会訪問者からの要望を受け、笠谷社長から相談を受けた当支部は新たに独立行政法人水産大学校を紹介した。

平成20年12月に徳島県の小松島漁業協同組合と水産大学校の協力を得て行った鮮魚(鱧、真鯛、イカ、アシアカエビ)の輸送実験の結果、すべての魚種において従来の下氷保蔵したものと同等あるいは同等以上の試験結果を得た。特に鱧においての効果が顕著であった。

これをきっかけとして小松島漁業協同組合が本輸送方法の採用を決定し、本事業にとっての初の受注となった。

その用途は鮮魚丸ごとでの輸送に限らず、鱧を三枚におろし骨切りをした加工魚としての輸送も計画されており、導入した事業者にとっての付加価値の取り込みや販路の拡大への貢献が期待される。

また、漁獲後の一時保存を行う保冷庫への応用も検討がなされ、応用範囲の拡大が模索されている。

同社では現在も試験用車両を準備し、積極的な営業活動を展開しており、海外を含めての問い合わせが続いている。当支部では中小機構近畿とも連携し、販路開拓コーディネート事業での支援も行い、更なる販路開拓にも取り組んでいる。当面はこれら問い合わせに対し、効果の実証を具体的に示しながらの営業活動が重要な取り組みであるとの認識のもと、近々にも別途の魚介類での引き合いに対する輸送実験を行う予定である。

生鮮食品を新鮮な状態で、無駄な資材を使わず、安価に消費者に届け、生産者、流通業者、消費者のそれぞれが恩恵を享受できる新しい輸送方法の拡大に向けて、一運送業者の問題意識によって始まった新事業の挑戦は続く。

((独)中小機構四国 地域活性化支援事務局プロジェクトマネージャー 武田健司)

掲載:2009年10月号

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